
2026年4月24日公開の「Sunny Wedss Sunny 2」は、「Ginny Weds Sunny」(2020年)のいわゆる「精神的」続編である。ストーリーやキャラクターの直接的なつながりはないが、同じ主題にもとづいて作られているということである。続編が作られる映画は一般的に前作がよほどヒットした場合がほとんどだが、「Ginny Weds Sunny」はコロナ禍ということもあって、NetflixでOTTリリースされたので劇場での興行成績はなく、何ともいえない。正直な感想をいわせてもらえば、続編が作られるほどの作品だったとは思えない。よって、あまり期待はせずに鑑賞することになった。
前作の監督はプニート・カンナーだったが、本作ではプラシャーント・ジャーに交代している。ジャー監督は、「Hum Do Hamare Do」(2021年)や「Gustaakh Ishq」(2025年)の脚本を書いた人物で、監督は初となる。プロデューサーは前作と変わらずヴィノード・バッチャンである。
主演は、「Laila Majnu」(2018年)や「Sikandar Ka Muqaddar」(2024年)などのアヴィナーシュ・ティワーリーと、「12th Fail」(2023年)のメーダー・シャンカル。ちなみに、前作の主演はヴィクラーント・マシーとヤーミー・ガウタムだった。両者ともこの5-6年の間にかなりキャリアアップした。
他に、リレット・ドゥベー、スディール・パーンデーイ、ゴーヴィンド・ナームデーヴ、ゴーピー・バッラー、ローヒト・チャウダリー、ナヤニー・ディークシト、ヴィシュワナート・チャタルジー、プリーティカー・パーワーなどが出演している。
リシケーシュで生まれ育ったシヴァーンシュ・チャトゥルヴェーディー、通称サニー(アヴィナーシュ・ティワーリー)は、クシュティーの州チャンピオンで、町の有名人だった。だが、試合に行く途中に痴漢の冤罪を掛けられ、彼が逮捕された動画がネットで出回り、名声は地に墜ちた。おかげでクシュティーからも足を洗うハメになり、あれから5年経った後でも結婚できずにいた。観光客向けの手工芸品店を開き生計を立てていた。それでも父親のラームセーヴァク(スディール・パーンデーイ)は何とか息子を結婚させようと、新聞紙に花嫁募集の広告を出す。
一方、オールドデリー在住のギーターンジャリ・ゴーエンカー、通称ギニー(メーダー・シャンカル)は、コールセンターで働くモダンな女性だった。母親のニールー(リレット・ドゥベー)はギニーを結婚させようと、新聞紙の花嫁募集欄を見て、サニーを見つける。早速ニールーはチャトゥルヴェーディー家に電話をし、お見合いをまとめる。
ラームセーヴァクは花嫁募集にサニーを「大卒の起業家」と書いていた。ヒンディー語ミディアムの学校出身で大学に行っていないサニーは、お見合いの席で何とか取り繕うために一夜漬けの英語でスピーチをする。一方、ギニーもサニーの前で家庭的な女性を演じる。二人はお互いを気に入り、縁談がまとまる。
つつがなく結婚式が行われ、初夜を迎えた。友人に酒を飲まされたギニーはサニーをベッドに押し倒す。ショックを受けたサニーはそれ以来ギニーとまともにしゃべれなくなる。また、サニーはすぐにギニーが英語を使いこなす高学歴の女性であることに気付く。次第にお互いの化けの皮がはがれ始め、二人は仲違いする。怒ったギニーはデリーに帰ってしまう。
残されたサニーは離婚届に署名をもらうため、親友のルドラナーラーヤン・デコスタ(ローヒト・チャウダリー)と共にデリーに乗り込む。すると、彼は向こうから離婚届を渡されてしまった。なかなか離婚届に署名ができなかったサニーは、ギニーの勤めるコールセンターの運転手になり、常に彼女の近くにいようとした。バーでギニーに言い寄る男を殴って彼女を助けたことでギニーもサニーを認め、ホーリー祭に合わせてリシケーシュに行くことに同意する。ただし、ホーリー祭が終わったら離婚するという条件付きだった。
サニーとギニーはバスでリシケーシュに向かう。乗るバスを間違え、ハリドワールで降りることになり、叔父のアヨーディヤー・プラカーシュ(ゴーヴィンド・ナームデーヴ)の家で一泊するというハプニングがあったものの、二人はリシケーシュに到着し、家族と一緒にホーリー祭を祝う。その後、ギニーは列車でデリーに帰ろうとするが、サニーは彼女と別れられず、列車に乗って彼女に結婚の継続を懇願する。ギニーもそれを了承する。
お見合いで出会った男女が結婚するが仲違いし、離婚の危機を迎えるが、それを乗り越えて真の夫婦になるという、ほとんどひねりのないロマンス映画であった。あまりにひねりがないし、スターパワーもないので、一体何のために作ったのかよく分からなくなる。
推測にはなるが、おそらく「Ginny Wedss Sunny 2」の監督や脚本家は、格差婚を主題にしたかったのだと思われる。しかも、どちらかといえば女性の方が上の、いわゆる「逆毛婚」だ。ギニーは、大都市であるデリー在住、英語ミディアム校出身、大卒、コールセンター勤務の、典型的な中流階級のワーキングウーマンである。しかもパーティー好きで、酒も飲み、おそらく料理もできなければヴァージンでもない。インドの婚活市場では忌み嫌われるタイプの女性である。一方のサニーは、田舎町であるリシケーシュ在住、ヒンディー語ミディアムの男子校出身、かつてはクシュティー(相撲)のチャンピオンだったが痴漢冤罪により前途を絶たれ、現在は手工芸品店経営というパッとしない男性だった。
そんなこともあって、サニーの父親ラームセーヴァクは、息子と釣り合うように、低学歴で家庭的な女性をサニーの嫁として求めていた。あまりにいい相手が見つからないため、持参金もなしという好条件を出していた。それでも見つからないため、ラームセーヴァクは「嘘を付かなければ縁談はいつまで経っても来ない」と考え、サニーを高学歴の起業家に仕立て上げ、花嫁募集をする。それに引っ掛かったのがギニーと母親ニールーだった。ニールーはニールーで娘の花婿探しに苦労しており、本性は派手好きで男勝りの娘を家庭的で従順な女性に仕立て上げ、サニーの前に出す。お互いが猫をかぶって縁談を進め、結婚にまで至ってしまった。
まず大きな問題は、サニー役のアヴィナーシュ・ティワーリーが、低学歴で奥手の田舎者に見えなかったことだ。確かにアヴィナーシュはビハール州の田舎町出身だが、幼少時に家族に連れられてムンバイーに引っ越し、都会で育ってきたためか、彼の中から田舎のインド人の味や匂いがちっとも出ていない。リシケーシュのペヘルワーン(力士)といわれても素直に信じることができない。完全にミスキャストである。
一方、ギニーは何となく「Delhi-6」(2009年)でソーナム・カプールが演じたビットゥーをイメージしているように感じたが、それを演じたメーダー・シャンカルにソーナムほどの華があるわけでもない。どちらかといえばTVドラマ向けの女優ではなかろうか。ヒロインに魅力が少なかったのも「Ginny Wedss Sunny 2」の足を引っ張っていた。
嘘から始まった夫婦生活だったため、サニーとギニーの関係が崩壊するのも時間の問題だった。すれ違いは初夜から始まった。酔っ払ったギニーがベッドの上で主導権を握ろうとし、サニーを萎えさせてしまったのだ。「Ginny Wedss Sunny 2」という題名では女性が主体になっているが、ギニーが主体的に動くのは初夜のシーンが最初で最後である。サニーはギニーを避けるようになり、徐々にお互いの嘘がばれていったことで、とうとう仲違いに発展する。
ところで、サニーはギニーに、5年前の痴漢冤罪事件のときに世に出回った動画をひた隠しにしていた。可能な限りネット上から削除したとのことだったが、「デジタルタトゥー」という言葉がある通り、ひとたびネット上に出回ってしまった画像や動画を完全に消し去るのは不可能に近い。すぐにギニーにもそれが知れてしまう。だが、リシケーシュのような田舎町で、いつまでサニーの過去を隠し通すことができただろうか。安穏な結婚生活を送りたかったら、最初からリシケーシュを出るしか手段がなかった。それなのにデリーから嫁を迎えるというのは自殺行為だ。この点も大きな疑問だった。
ギニーはデリーの実家に帰ってしまい、サニーは彼女を追い掛ける。当初は離婚届に署名をさせるためだったが、彼女から離婚届を突き付けられたことで考えが変わる。そしてデリーに滞在する内にギニーを失うことの方に痛みを感じるようになり、最後には仲直りする。全く予想通りの結末であり、何のサプライズもなかった。
「Ginny Wedss Sunny 2」は、何の新規性もないプロットに、中途半端な歌と踊りが乗せられ、スター性の乏しい俳優たちを起用して作られた、存在意義がよく分からないロマンス映画である。興行的にも大失敗に終わっている。観るだけ損な映画である。
