Phamous

2.5
Phamous

 ウッタル・プラデーシュ州、ラージャスターン州、マディヤ・プラデーシュ州の3州にまたがるチャンバル渓谷は、盗賊たちが跋扈する無法地帯として有名である。チャンバル渓谷の盗賊たちはインド映画の格好の題材となっており、「Bandit Queen」(1994年)、「Paan Singh Tomar」(2012年)、「Revolver Rani」(2014年)などの映画が作られてきた。

 2018年6月1日公開の「Phamous」も、チャンバル渓谷を舞台にしたギャング映画である。監督はカラン・ラリト・ブーターニー。「Paan Singh Tomar」のティグマーンシュ・ドゥーリヤー監督が撮った「Saheb Biwi aur Gangster」(2011年)などで助監督を務めており、長編映画の監督は今回が初となる。

 キャストは地味に豪華で、ジミー・シェールギル、ケー・ケー・メーナン、シュリヤー・サラン、パンカジ・トリパーティー、ジャッキー・シュロフ、マーヒー・ギル、ブリジェーンドラ・カーラー、ジャミール・カーンなど、個性的な俳優たちが出演している。

 題名の「Phamous」とは、英語の「famous(有名な)」が訛った形である。チャンバル渓谷では銃が力の象徴であり、名のある盗賊を殺した弾丸が「有名」になる、というような台詞が劇中で何度か出て来た。チャンバル渓谷の掟を象徴する言葉である。

 チャンバル渓谷のラーム・サラーイで権勢を誇っていたシャンブー(ジャッキー・シュロフ)は、ライバルギャングのカラク・スィン(ケー・ケー・メーナン)に誘拐されそうになった娘を誤って殺してしまい、警察に逮捕され、刑務所に入れられる。その権力の空白をカラクは埋め、瞬く間にチャンバル渓谷の支配者になった。また、カラクの親友ラームヴィジャイ・トリパーティー(パンカジ・トリパーティー)とその弟バッバン(ジャミール・カーン)は国会議員や州議会議員になり、カラクを支えた。

 カラクに憧れる少年だったラーデー(ジミー・シェールギル)は、かつて殺人の容疑で警察に逮捕されたカラクを助けたことがあった。カラクはラーデーを可愛がっていた。だが、ラーデーが学生時代に片思いをしていた女性教師ロージー(マーヒー・ギル)をラームヴィジャイは強姦した上に殺したため、彼はラームヴィジャイを恨んでいた。成長したラーデーは、ラッリー(シュリヤー・サラン)という女性と結婚し、幸せに暮らしていた。だが、女好きのラームヴィジャイはラッリーにも目を付けていた。

 ラーデーは無職だったが、カラクが彼を雇い、銃も渡す。ラーデーは、ラームヴィジャイが市場でラッリーにちょっかいを出したと聞き、彼の家に銃を持って殴り込む。だが、銃は不発だった。カラクはラーデーを見捨て、彼はラームヴィジャイとその部下たちに暴行を受け、埋められてしまう。カラクはラッリーを誘拐し、ラームヴィジャイと結婚させようとする。

 そこへ、17年振りに刑務所から釈放されたシャンブーがラーム・サラーイに帰って来る。シャンブーは埋められていたラーデーを助ける。ラーデーはラームヴィジャイとバッバンを殺し、シャンブーはカラクを殺す。

 まずは言語が特徴的な映画であった。チャンバル渓谷ではヒンディー語の一方言であるブンデーリー語が話されているが、「Phamous」の登場人物たちはコテコテのブンデーリー方言で会話をし、文明と隔絶されたチャンバル渓谷の地方色をよく醸し出していた。

 登場人物の力関係も独特だった。銃を持ったギャングが社会のトップに君臨しており、政治家や警察も彼らにはおいそれと手出しができなかった。むしろ、結託していた。チャンバル渓谷の支配者であるカラク・スィンには、政治家のラームヴィジャイやバッバンという仲間がおり、彼らよりも上の立場だった。ただ、義理人情に厚い人間で、自分の命を救ってくれたラーデーを可愛がり、彼を舎弟にした。

 ただ、ストーリーは意外に牧歌的だ。「Gangs of Wasseypur Part 1」(2012年)や「Gangs of Wasseypur Part 2」(2012年)のような血で血を洗う抗争が繰り返されるわけでもなく、「Saheb Biwi aur Gangster」のような重厚な政治ドラマが繰り広げられるわけでもない。ラストのクライマックスを除き、スリリングな出来事は起こらず、淡々と進んでいく。

 ジミー・シェールギル、ケー・ケー・メーナン、パンカジ・トリーパーティーなど、技巧派の俳優たちが勢揃いして演技を競い合っているのはこの映画の美点である。特にパンカジのエロ親父ぶりは、悪役ながら愛しくなってくるほどだ。逆に言えば、これだけの俳優を揃えたのだから、もう少し引き締まった映画にまとめて欲しかった。

 「Phamous」は、悪名高いチャンバル渓谷で、力でもって支配するギャングたちの物語である。ただ、一般的なギャング映画のように血なまぐさい映画ではなく、特に大きな事件なしにのんびりと物語が進んでいく。やっと物語が動くのは終盤に入ってからである。いい俳優が揃っているが、彼らを活かした映画にはなっていなかった。


Phamous Hindi Movie (HD) - Jimmy Shergill - Shriya Saran - Kay Lay Menon - Pankaj Tripathi