Gollu Aur Pappu

3.5
Gollu Aur Pappu
「Gollu Aur Pappu」

 2014年11月21日公開の「Gollu Aur Pappu(ゴールーとパップー)」は、天然ボケ二人組が繰り広げる抱腹絶倒のコメディー映画である。

 監督は「Tum Milo Toh Sahi」(2010年)や「Fugly」(2014年)のカビール・サダーナンド。コメディー映画が得意な監督だ。主演はヴィール・ダースとクナール・ロイ・カプール。他に、ディンプル・カパーリヤー、カリシュマー・タンナー、サンディーパー・ダール、ディーパク・ティジョーリー、ヴラジェーシュ・ヒールジーなどが出演している。

 ジャンムー&カシュミール州の田舎町に住むゴールー(ヴィール・ダース)とパップー(クナール・ロイ・カプール)は天然ボケの兄弟だった。ゴールーはツアーガイド、パップーはメカニックをしており、母親のバブリー(ディンプル・カパーリヤー)と共に住んでいた。父親は事故で亡くなっていた。

 彼らの住む町では、グスタード・カーン(ディーパク・ティジョーリー)というテロリストが暗躍していた。手違いでパップーのガレージが爆破されてしまい、二人はグスタードを探しに森の中へ行く。そこでグスタードに捕まってしまう。グスタードは彼らを自爆テロリストに仕立てあげ、ルディヤーナーに送る。母親の元には4人のテロリストが付き、彼女を人質に取っていた。

 ゴールーとパップーは列車でルディヤーナーに向かうが、紆余曲折を経てデリーに着いてしまう。彼らはパシフィックモールの誰もいない映画館に爆弾の入ったスーツケースを置いてくるが、何者かに盗まれてしまう。しかもモールはストライキの影響で閉鎖されてしまい、外に出られなくなる。

 偶然、モールには、ジャンムー&カシュミール州警察のパリー(カリシュマー・タンナー)、家出をしたピヤー(サンディーパー・ダール)、引退した警官プリーなど、ゴールーとパップーの知り合いが集まっていた。しかも、カシュミール地方の森林に隠れているはずのグスタードも、妻子と共にショッピングに来ていた。

 爆弾を巡って混乱が起こる中で、ゴールーとパップーはギリギリで起爆装置を解除する。グスタードは逮捕され、二人はお手柄で表彰される。また、ゴールーはパリーと、パップーはピヤーと結婚する。

 インドで深刻な社会問題になっているテロ問題やカシュミール問題を、かなりチープな風味でコメディー映画にした作品だった。だが、主演を演じたヴィール・ダースとクナール・ロイ・カプールの掛け合いが絶妙な上に、肝っ玉母ちゃん役を演じたディンプル・カパーリヤーが大活躍で、安っぽいながらも大いに笑える映画だった。たまにはこういう映画があってもいいだろう。

 この映画の売りは台詞回しである。なるべく低予算で映画を作ろうとしたための工夫であろうが、台詞で笑いを取る場面がほとんどだ。そしてそれらはヴィール・ダース、クナール・ロイ・カプール、ディンプル・カパーリヤーなどの演技力によって首尾良く実現されており、とにかく笑える。そして、ゴールーとパップーの天然ボケはテロ事件を解決してしまうし、母親バブルーの底抜けの母性愛はテロリストたちを改心させてしまう。

 全て丸く収まったはずだが、一点だけ解決されていないものがあった。それはピヤーが盗まれたバッグの件である。ピヤーは家出するときに、バッグの中に、家の中にあった金品を入れてきていた。それを盗まれてしまい、その犯人がゴールーとパップーだと勘違いしたことから、彼女は二人を追うことになる。最後まで、バッグを盗んだ真犯人は不明だし、金品も戻ってこなかった。

 「Gollu Aur Pappu」は、低予算映画ながら、ヴィール・ダース、クナール・ロイ・カプール、ディンプル・カパーリヤーらの演技や脚本の妙から、成功したコメディー映画に仕上がっている。軽い映画を観たいときにおすすめである。