ラクシャー・バンダン祭の今日、2002年8月9日公開のヒンディー語映画「Mujhse Dositi Karoge!(私と友達になる?)」を見にPVRアヌパム4へ行った。2週間ほど前に封切られた映画で、友人の評価は一方で「なかなかよかった」、他方で「頭痛がするほど退屈」と分かれていたが、少なくとも2週間上映されているということは、超が付くほどの駄作ではなかろうと思い、今日観に行くことにした。クナール・コーリー監督、リティク・ローシャン、カリーナー・カプール、ラーニー・ムカルジー主演の映画である。
舞台はヒマーチャル・プラデーシュ州の州都シムラー。この有名な避暑地に三つの家族が住んでいた。それぞれの家庭には一人ずつ子供がおり、親子共々3家族は非常に仲良しだった。三人の子供の名前はラージ(リティク・ローシャン)、ティナ(カリーナー・カプール)、そしてプージャー(ラーニー・ムカルジー)である。ラージとティナは幼心ながらも愛し合っており、プージャーはそんな二人の愛を温かく見守りつつも、密かにラージに思いを寄せていたのだった。 物語はラージの家族がロンドンへ転勤となるところから始まる。ラージ、ティナ、プージャーは離れ離れになっても三人の友情は変わらないことを誓い合う。そしてラージはティナに絶えずEメールを送ることを約束する。しかしティナは面倒なことが嫌いな性格で、ラージにいちいちEメールを送るのに嫌気がさした。そこでティナは、プージャーに適当にメールを送っておくように言う。プージャーはティナの代わりにラージとEメールを送り合う。自分の名前ではなく、ティナの名前を使って。プージャーは、ラージとティナの仲を壊したくなかったのだ。 やがて15年が経った。15年間、プージャーはラージとEメールを交換し合っていた。もちろんラージはティナとEメールを交換しあっていると思っていた。そして遂にラージがシムラーに2週間だけ帰ってくることになる。しかしそのときティナはすっかり色気ムンムンのプレイガールになっており、ラージのことなどすっかり忘れていた。プージャーは15年間ティナの名前を使ってラージとEメールを送りあっていたことをティナに話し、ティナには何とか話を合わせてもらうように頼む。 ラージが15年ぶりにシムラーに戻ってきた。それを一番待ち望んでいたのはプージャーだった。しかしラージは真っ先にティナの元に駆け寄る。ティナはラージが予想外にハンサムであることに驚き、やがて恋に落ちる。ラージはティナに少年時代と変わらぬ愛を抱きつつも、いろいろと話が合うのはプージャーであることに気付いたのだった。2週間の滞在はあっという間に過ぎ、ラージは再びロンドンに帰ることになる。 その後、プージャーはロンドンの大学に留学するためにロンドンを訪れる。ラージはプージャーの来訪を歓迎し、彼女のためにロンドンを案内する。しかしその過程で、15年間Eメールを交換し合っていたのはティナではなく、プージャーであることを悟る。その15年の間、ずっと愛していたのはティナではなく、ティナの名を使ったプージャーであることが分かった今、ラージはプージャーと結婚することを決意する。そして2人は両親に説明するためにシムラーを訪れる。 ところが、シムラーに戻った二人を待っていたのは、ティナの父親の死という悲しいニュースだった。ティナはラージのもとに駆け寄る。また、亡き父の遺志を継ぐ形で、ティナとラージの結婚が決定してしまう。ラージはプージャーと結婚することを望んでいたが、プージャーはティナの気持ちを害することを恐れ、ラージとティナの結婚を受け入れる覚悟をする。そのときラージはプージャーに誓った。ラージとティナの結婚式と同時に、プージャーと他の誰かの結婚式も同時に行うと。ラージは、自分たちの結婚式の前にプージャーに結婚相手を探すように強制し、ロンドンに戻る。 3ヵ月後、結婚式を挙げるためにプージャーやティナたち一家もロンドンにやって来る。しかしプージャーは全く結婚相手を決めていなかった。なぜならプージャーはラージを愛していたからだ。そこで、ラージとプージャーの盛大な婚約パーティーが開かれている中、ラージは友達のローハンを紹介し、二人をなんとか結婚させようと画策する。最初はプージャーは拒絶していたが、遂にローハンとの結婚を承諾する。それを聞いたラージは、自分で画策したことながらショックを受けるが、プージャーの結婚を祝福する。こうして、ラージとティナ、プージャーとローハンの結婚式が同時に行われることになる。 しかしローハンはラージとプージャーが恋仲であることを悟る。また、ティナもプージャーがラージのことを愛していることに気付く。いざ結婚の儀式が行われようとするとき、ティナは、ラージとプージャーこそが真に結ばれるべきであることを主張し、ローハンもそれを認めた。こうしてめでたく二人の結婚が成就したのだった。
多分ヒンディー語が分からなくても容易にストーリーを理解できるような、非常に分かりやす~い映画だった。カリーナー・カプールはタカビーな現代風ギャル、ラーニー・ムカルジーはおしとやかで友達想いな優しい女の子、リティク・ローシャンは無邪気で才能豊かなハンサムガイ、という風に、今まで培われてきたそれぞれのイメージそのまんまの配役だし、最初の5分で結末が完全に予想可能なありふれた脚本だ。一歩でも間違ったら何の変哲もない駄作映画として永久に歴史の影に葬り去られるところだったが、物語の中で度々「ムジュセ・ドースティー・カローゲー?(私と友達になる?)」と質問し、握手を交わすシーンがあり、それに場面場面で深い意味が加わってくるのが物語の節目節目になっていたのと、プージャーのいじらしい恋心と友情を大事にする心が観客の共感を得ていた(と思われる)ところが救いとなり、まあまあのレベルの映画に落ち着いていた。
しかしあらゆる意味で圧巻だったのは、ラージとティナの婚約パーティーでのインド映画音楽メドレー。インド映画の有名な曲が次々とメドレーで流れるのだ。脈絡なくメドレーが流れるのではなく、前後で歌詞の内容が関連しているようだった。昔の曲は全然分からなかったが、「Kuch Kuch Hota Hai」(1998年)、「Kaho Naa… Pyaar Hai」(2000年)、「Gadar: Ek Prem Katha」(2001年)ぐらいは分かった。しかしこの場面でのインド人の観客の反応は、僕が観たときにはちょっと冷め気味だったように思える。
リティク・ローシャンのダンスは相変わらず冴えていた。カリーナー・カプールもだんだん見れる踊りを踊れるようになっては来ているが、リティクと並んで踊るとやはりまだまだだ。歌のレベルは並み程度。何曲か耳に残った曲はあったが、CDを買おうと思わせるほどのパンチ力はなかった。
ラーニー・ムカルジーは、友情と恋愛の板ばさみになったり、二者択一を迫られたりする役がなぜか多いような気がする。「Kuch Kuch Hota Hai」(1998年)にしろ、「Kabhi Khushi Kabhie Gham」(2001年)にしろ・・・。でもカリーナー・カプールとの相性は案外よかったかもしれない。カリーナー・カプールと並ぶと、ラーニーの方が色も黒いし背も低い。だから今回のようなカリーナーの影になって目立たない女の子、みたいな役はけっこうはまっていた。