Dhamaal 4

3.0
Dhamaal 4
「Dhamaal 4」

 2026年7月10日公開の「Dhamaal 4」は、「Dhamaal」(2007年)、「Double Dhamaal」(2011年)、「Total Dhamaal」(2019年)と続いてきた「Dhamaal(ドンチャン騒ぎ)」シリーズの第4弾で、コメディー映画である。「Dhamaal」シリーズは、若干のキャスト変更をしながら一応の連続性を保って展開している。シリーズに共通するのは、欲深い主人公たちが一獲千金を狙ってお互いを蹴落としながらドタバタ劇を繰り広げるという筋書きである。

 「Dhamaal」シリーズの監督は一貫してインドラ・クマールである。1990年代から活躍している映画監督で、コメディー映画を得意としている。

 キャストは、アジャイ・デーヴガン、アルシャド・ワールスィー、リテーシュ・デーシュムク、ジャーヴェード・ジャーファリー、ラヴィ・キシャン、サンジャイ・ミシュラー、ウペーンドラ・リマエー、アンジャリ・アーナンド、サンジーダー・シェーク、イーシャー・グプター、ヴィジャイ・パトカル、ブリジェーンドラ・カーラーなどである。

 また、冒頭ではAIで生成したと思われるアニメが流れるが、そこにジャッキー・シュロフとサティーシュ・カウシクに似たアニメキャラが登場する。サティーシュは「Double Dhamaal」に出演し、バーターバーイー役を演じたことがあったが、2023年に逝去した。声はAIで生成されているようである。

 歌手などのカメオ出演もある。グル・ランダーワーとケーティカー・シャルマーがエンドクレジットのダンスシーン「Qeher」に、ニールカマル・スィンが「Chatni」に、サンジュー・ラートールが「Saree」に顔を出している。

 グッドゥー(アジャイ・デーヴガン)は相棒のジョニー(サンジャイ・ミシュラー)と共に海賊シャイターン・スィンの隠した財宝の在処を示した地図を探していた。その地図はプリトヴィー(ウペーンドラ・リマエー)が手に入れるが、海賊アドゥーラー(ラヴィ・キシャン)が燃やしてしまった。プリトヴィーは地図を暗記しており、今度はグッドゥーとアドゥーラーは彼を捕まえようと躍起になる。グッドゥーは、言い寄っていたアーリヤー(イーシャー・グプター)の子供アマイラーとアーラヴを連れてドライブしているときにプリトヴィーを見つけ、彼を捕まえて自動車で連れて行く。だが、逃げようとしたプリトヴィーは自動車から落ち、そのまま崖にぶら下がる状態になった。プリトヴィーを助けようとしたグッドゥーとジョニーも崖っぷちで落ちそうになる。

 アーディ(アルシャド・ワールスィー)は、ドジな弟マーナヴ(ジャーヴェード・ジャーファリー)の失敗のせいで妻ロージー(サンジーダー・シェーク)と離婚の危機にあった。また、ラッラン(リテーシュ・デーシュムク)は一獲千金を目論んで太ったパーロー(アンジャリ・アーナンド)と結婚する。彼女のことを大富豪セート・ガリーブダースの娘だと考えていたが、実際にはガリーブダースの運転手ゴーパールダース・セート(ブリジェーンドラ・カーラー)の娘だった。

 プリトヴィー、グッドゥー、ジョニーが崖っぷちで落ちそうになっていたところにアーディ、マーナヴ、ロージー、ラッラン、パーローが通りがかる。アマイラーとアーラヴは海賊の財宝のことを話し、彼らに助けを求める。欲深い彼らはプリトヴィーから財宝の在処を聞きだし、我先にと「M」の山の島へ向かう。プリトヴィーは崖から落ちてしまった。

 ラッランとパーローは熱気球で島へ向かい、アーディ、マーナヴ、ロージーは船で向かい、グッドゥー、ジョニー、アマイラー、アーラヴはモーターボートで向かう。途中彼らは嵐に巻き込まれるものの、何とか島にたどり着く。「M」の形をした山の麓に洞窟があり、彼らはその中で財宝を見つける。だが、そこにアドゥーラーが現れる。崖から落ちたものの奇跡的に助かったプリトヴィーから財宝の在処を聞きだし島に来ていたのだった。グッドゥーたちはアドゥーラーに財宝を横取りされそうになる。だが、アドゥーラーが誤って爆弾を爆発させたために混乱が起き、財宝は地中に埋まり、彼らは洞窟に生き埋めにされそうになる。

 脱出する中で、グッドゥーはアマイラーとアーラヴから父親と認められるようになり、ロージーはマーナヴを義弟と認め、ラッランとパーローは真の夫婦になった。洞窟から何とか脱出した彼らは、財宝は失ったものの、大切なものを得た。そこへアドゥーラーとプリトヴィーが現れ、彼らを本土まで送り届けてくれることになった。そのとき、マーナヴが持っていた筒からもうひとつの宝の地図が出てきた。

 「Dhamaal 4」で繰り広げられるギャグやその他の設定には、過去の「Dhamaal」シリーズのネタを焼き直したものが多い。たとえば、「Dhamaal 4」で目的地になる「M」の形をした山というのは、「Dhamaal」での「W」、「Total Dhamaal」での「OK」に対応する。「Dhamaal 4」の中盤で熱気球が登場するが、「Dhamaal」でも熱気球が使われていた。マーナヴはシリーズ皆勤賞であり、彼の極度の天然ボケから引き起こされるトラブルの数々はトレードマークになっている。他にも細かい「Dhamaal」ネタがちりばめられている。だが、「Dhamaal」シリーズの内容をそこまで詳細に覚えている観客はあまりいないのではないかと思う。インドラ・クマール監督は買いかぶりすぎではなかろうか。

 男性キャストは豪華といっていいだろう。アジャイ・デーヴガンは文句なくトップスターとして、リテーシュ・デーシュムクやラヴィ・キシャンは一定の層に訴求力のある準スターたちであるし、アルシャド・ワールスィー、ジャーヴェード・ジャーファリー、サンジャイ・ミシュラーなどもコメディアン俳優として人気だ。彼らは過去の「Dhamaal」シリーズに出演していた俳優たちばかりであり、安定したドタバタ振りを見せている。

 一方で女優陣にスター性がなかった。「Total Dhamaal」に出演のイーシャー・グプターは、別の役で今回も出演していたが、特別出演扱いで限定的な役柄だった。2010年代に一定の活躍をしていた女優だったが、最近は引退気味で、彼女をスクリーンで見たのは久しぶりだった。イーシャーを除外すると、パーロー役のアンジャリ・アーナンドとロージー役のサンジーダー・シェークがヒロイン候補になるが、アンジャリは重量級であるし、サンジーダーはヒステリックな中年女性役で、あまりいい役ではない。一般的なコメディー映画ではグラマラスな女優を起用して手軽に派手さと色気を演出するものだが、「Dhamaal 4」ではなぜかそういう小細工を施していなかった。コストカットであろうか。

 「Dhamaal」シリーズは、チープだが安定的に笑える作品だ。「Dhamaal 4」も悪くないコメディー映画だった。だが、変なところでやたら時間を使っていたのは気になった。物語の起点になっているのは、海賊シャイターン・スィンが100年前に島に隠した財宝の地図の存在であり、当然それを巡る冒険活劇的な作品になるかと思ったが、財宝の在処が分かるまでに上映時間の半分を費やしており、島に着いて財宝探しをする時間は驚くほど少ない。では何に時間を使っていたのかといえば、地図を暗記したプリトヴィーが崖から落ちそうになっており、一獲千金を狙った登場人物たちが人間の鎖を作って彼を助けようとする場面である。ここまで時間を使う必要があるのかと疑問に感じた。

 前作から7年の歳月を経て公開された「Dhamaal 4」では、さすがに俳優たちの高齢化が目立った。たとえば、幼児のような知能のマーナヴを演じてきたジャーヴェード・ジャーファリーも既に還暦を過ぎている。この年齢の俳優が演じ続ける役なのかという素朴な疑問が湧き起こってくる。映画の最後では「Dhamaal 5」の製作発表がされていたが、いつまでもシリーズを存続することは難しいだろうと感じた。

 「Dhamaal 4」は、これまでの「Dhamaal」シリーズのテイストを踏襲した、チープなコメディー映画である。だが、こういう映画が楽しめるようになってくるとインド映画マスターといえる。興行的に成功しているが、それは十分納得できる内容である。本当はこのくらいの気軽に楽しめる気取らないお馬鹿映画がコンスタントに公開されるのが映画産業の維持のために理想なのである。分かる人にだけ分かる、玄人向けのコメディー映画だといえる。