Dhamaal

3.5

 1993年に犯した武器不法所持で6年の懲役刑を言い渡され、一時服役していたものの、最近保釈されて各地の寺院巡りをしているサンジャイ・ダット。その主演作の「Dhamaal」が本日(2007年9月7日)より公開された。

監督:インドラ・クマール
制作:アショーク・タークリヤー、インドラ・クマール
音楽:アドナーン・サーミー
作詞:サミール
出演:サンジャイ・ダット、アルシャド・ワールスィー、リテーシュ・デーシュムク、ジャーヴェード・ジャーフリー、アーシーシュ・チャウダリー、プレーム・チョープラー、アスラーニー、ムルリー・シャルマー、ヴィジャイ・ラーズ
備考:PVRナーラーイナーで鑑賞。

 デーシュバンドゥ・ロイ(リテーシュ・デーシュムク)、アーディティヤ(アルシャド・ワールスィー)、マーナヴ(ジャーヴェード・ジャーフリー)、ボーマン(アーシーシュ・チャウドリー)の仲良し四人組は、家賃滞納のために下宿を追い出されてしまった。たまたま彼らは人里離れた場所で自動車事故現場に遭遇する。自動車に乗っていたボース(プレーム・チョープラー)は息を引き取るが、その前に四人に一生かけてため込んだ1億ルピーの在りかを教える。それは、ゴアのセント・カテドラル・ガーデンの大きなWの下とのことだった。四人は一獲千金の幸運に狂喜する。

 ところがそのとき、カビール・ナーヤク警部補(サンジャイ・ダット)がやって来る。カビールは過去10年間ボースを追いかけて来たが、その死体を前に愕然とする。彼は不審な4人を警察署に連行しようとするが、四人は隙を見て逃げ出す。

 四人は、ボーマンの父ナーリー・コレクター(アスラーニー)の愛車を無断で借りてゴアを目指す。ところが、ジャングルの中の近道を通ったために車は壊れ、爆発してしまう。一方、ボース逮捕に失敗して上司から左遷を言い渡されたカビールは、警察署に自動車の盗難届を出しに来たナーリーと会い、その息子が四人組の一人であることを知る。カビールとナーリーは一緒に四人を追尾する。ナーリーは大破した愛車を見つけて復讐の鬼と化す。

 追跡の結果、カビールは四人を捕まえるが、彼は警察上層部を信頼できなくなっており、1億ルピーを自分のものにしようと考えていた。五人は1億ルピーを山分けにする契約を結ぼうとするが、それは仲たがいによって破談となり、先に見つけたものが独占できるということになった。五人は我先にとゴアへ向かう。

 ロイは途中で盗賊に出くわして殺されそうになるが、1億ルピーを山分けする話を持ち出して、一緒にゴアへ向かう。アーディティヤとその弟のマーナヴは、ヒッチハイクしながらゴアへ向かう。ボーマンは途中で父親に見つかるが、やはり1億ルピーの話を出して一緒にゴアへ向かうことになる。また、カビールは途中で仮装した子供たちの乗ったバスに乗り込んでゴアへ向かう。

 七人はセント・カテドラル・ガーデンに着き、「W」を探し回る。それは、「W」型に重なったヤシの木のことであった。その下を掘ると、本当に1億ルピーが出て来た。再びその配分を巡って喧嘩が起こるが、その漁夫の利を得る形でカビールが1億円の入ったバッグを持って逃げる。彼は気球に1億円を乗せて逃げようとするが、自分が乗り遅れてしまい、気球だけ飛んで行ってしまう。しかし、気球も燃料切れでそれ以上上には上がらず、そのまま風に流されて漂う。七人は一生懸命気球を追う。

 夜中までかけて気球を追った結果、やっとのことで七人は1億ルピーを手にする。ところがその場所は、孤児のための義捐金募集の場であった。引っ込めなくなった七人は仕方なく1億ルピーを孤児たちに寄付する。

 コテコテだが面白い単発ギャグをうまく組み合わせて、一応ストーリー性のあるひとつのコメディー映画にしていた。単発ギャグに力を入れ過ぎて中盤から終盤にかけてスローテンポでグダグダの展開になっていたきらいがあるが、最後は急転直下、全く予想外の感動的エンディングでまとめていた。佳作のコメディー映画と言える。

 ヒンディー語映画初心者の日本人にはなかなか理解しがたい事実なのだが、サンジャイ・ダットはインド人の間でナンバー1の人気を誇っていると言っても過言ではない。映画監督や俳優の中にも、彼を神のように信奉する人が少なくない。例えばサンジャイ・グプター監督は、サンジャイ・ダットをいかにかっこよく演出するかに命をかけている奇特な映画監督だ。「Kaante」(2002年)、「Musafir」(2004年)、「Zinda」(2006年)など、ここ最近の彼の映画は全てサンジャイ・ダットが主演である。「サンジャイ・ダットと仲間たち」、「サンジャイ・ダットを囲む会」みたいな、「サンジャイ・ダット+若手俳優数人」の映画もよく作られる。例えば「Plan」(2004年)や「Shaadi No.1」(2005年)がその例だ。そのような映画を観ると、サンジャイ・ダットの人気におんぶに抱っこしながら、若手の俳優たちを売り出そうとしている魂胆が見え隠れする。「Dhamaal」もその一例のように見える。サンジャイ・ダット以外の主演の中に、サンジャイ・ダットに匹敵するような俳優は一人もいない。敢えて言うなら、「Munna Bhai M.B.B.S.」(2003年)や「Lage Raho Munna Bhai」(2006年)でサンジャイ・ダットと共演したアルシャド・ワールスィーだが、彼の存在感もサンジャイ・ダットあってのものであり、まだ1人立ちできるほどの実力はない。

 だが、実際に「Dhamaal」を観てみると、意外なことにサンジャイ・ダットの見せ場は少なく、代わりに他の四人がそれぞれの持ち味を活かして頑張っていた。最近絶好調のリテーシュ・デーシュムクは、二枚目半の容姿を存分に活かした「キザなドジ男」を演じ、アルシャド・ワールスィーは「Munna Bhai」シリーズで培った胡散臭い演技を全開させ、ジャーヴェード・ジャーフリーも水を得た魚のようにノンストップのおとぼけギャグで突っ走っていた。それに加え、まだ本格デビューから日が浅いアーシーシュ・チャウダリーもいい感じの演技をしており、四人組のケミストリーは見事に成功していた。

 ひとつひとつのギャグはしょうもない。日本にもよくあるコント劇のようである。飛行機に乗っていたらパイロットが気絶し、代わりに操縦桿を握るボーマンらは空港管制塔と交信して着陸の方法を聞く。管制官(ヴィジャイ・ラーズ)はいろいろもったいぶったあげく、「操縦桿の近くに赤いボタンがあるだろう」と言う。それを聞いたボーマンはすぐに赤いボタンを押してしまう。すると管制官は「それを押してはいけないと言おうと思ったのに・・・」とのたまう。ボーマンは大パニック。・・・こんな感じのギャグが続く。

 しかし、古典的ギャグがつまらないと言うわけではなく、むしろ分かりやすくて大笑いできる。インドのコメディー映画はセリフ回しで笑わせることに力を入れる傾向にあり、ヒンディー語が分からないと何が面白いのかよく分からないということが少なくないのだが、「Dhamaal」なら誰でも笑えるのではないかと思う。特にジャーヴェード・ジャーフリーは見ているだけで笑いがこみ上げて来る。

 この映画には特殊なことに、ヒロインが1人もいない。確かにストーリー上、ヒロインは必要なかった。無理にヒロインを入れるよりも数倍賢い選択である。

 音楽はアドナーン・サーミーだが、それほど優れた楽曲はなかった。

 「Dhamaal」は、4人の若手男優のコメディーが面白い佳作のコメディー映画である。今年のヒット・コメディー、「Partner」(2007年)や「Heyy Babyy」(2007年)に比べると派手さに欠けるが、観て損はない。


Dhamaal {HD} - 2007 - Sanjay Dutt - Arshad Warsi - Superhit Comedy Film