Elaan

2.0

 今日はPVRプリヤーで、2005年1月14日公開の新作ヒンディー語映画「Elaan」を観た。「Elaan」とは「宣言」という意味。監督はヴィクラム・バット、音楽はアヌ・マリク。キャストはラーフル・カンナー、ジョン・アブラハム、アルジュン・ラームパール、ラーラー・ダッター、アミーシャー・パテール、ミトゥン・チャクラボルティーなど。

 国際的テロリスト、バーバー・スィカンダル(ミトゥン・チャクラボルティー)は、2億ルピーの献金を断った大富豪カーンティラール・シャーを暗殺する。カーンティラールの養子、カラン(ラーフル・カンナー)は、どこにいるか分からないバーバーに対し復讐を誓い、必ずインドに連行することを決意する。

 カランは、若くして退職した元警察官アルジュン(アルジュン・ラームパール)を仲間に誘い、アルジュンの作戦に従って、バーバーの手下だったアビマンニュ(ジョン・アブラハム)を脱獄させ仲間に引き入れる。アビマンニュの情報により、バーバーはイタリアのヴェネツィアにいることが分かる。また、カランの動向を探って特ダネを狙っていたリポーターのプリヤー(アミーシャー・パテール)もこっそり彼らを尾行する。

 ヴェネツィアに着いたカラン、アルジュン、アビマンニュは、バーバーの愛人ソニア(ラーラー・ダッター)と接触する。ところがソニアはアビマンニュの恋人だった。アビマンニュはカランから大金を奪ってソニアと逃げようとしたが、バーバーに捕まってしまう。アビマンニュが裏切ったことをカランらに伝えたのは、尾行していたプリヤーだった。アビマンニュとソニアが殺されそうになっていたところへカランらは駆けつけ、救出する。5人は改めてバーバーに復讐することを誓い、結束を高める。

 カランらはバーバーの後を追って、ドイツのミュンヘンへ赴く。バーバーが雪山の中の別荘にいることを掴んだ5人は、隙を見計らって突入するが、それは罠だった。バーバーの手下に囲まれ、絶体絶命のピンチに陥るが、アルジュンの命を懸けた行動により、何とか逃げ出すことに成功する。しかし、そのときにアルジュンはバーバーに数発撃たれ、死んでしまう。

 バーバーの一隊が陸路で独仏国境近くを通過していることを突き止めたカランたちは、フランス警察の協力を得て、バーバーらを追い詰める。カランとアビマンニュは次々とバーバーの手下や兄弟をやっつけ、遂にバーバーを捕まえる。バーバーはインドに引き渡され、裁判所で死刑を宣告される。

 ハリウッド映画っぽいテイストのアクション映画であるが、竜頭蛇尾な尻すぼみの映画だった。カラン、アルジュン、アビマンニュ、プリヤー、ソニアと仲間が揃っていく過程は面白いのだが、インターバル過ぎた辺りから急にスピード感と方向性を失ってしまうように感じた。そもそもプリヤーとソニアが銃を取って戦う理由が分からない。プリヤーがカランに惚れているという設定にもなっているのだが、いつ、なぜ惚れたのかも描写されていなくて唐突過ぎた。ところで、「マハーバーラタ」では、アビマンニュはアルジュンの息子。若気の至りで敵陣の中に無謀にも突入して死んでしまう。それを反映して、てっきりアビマンニュが死亡するかと予想していたが、死んだのはアルジュンだった。

 ロケ地は豪華。インドの他、イタリア、スイス、ドイツ、オーストリアなどヨーロッパの各都市でロケがされていた。監督は元々エジプトでピラミッドの間を潜り抜けるようなカーチェイスを撮影したかったらしいが、エジプト政府はドキュメンタリー映画しか撮影許可を出しておらず、代わりにヨーロッパが舞台となったという。中盤、雪山の中のカーチェイスは氷点下の中行われ、トラックの上に立って銃をぶっ放したアルジュン・ラームパールは一瞬にして雪男となり、バイクを運転したジョン・アブラハムの手はかじかんで、バイクのクラッチを握れなくなったとか。なかなか迫力のあるシーンだった。だが、見ていて情けなかったのはヴェネツィアでのボート・チェイスのシーン。世界的に有名なあの運河をボートで追いかけっこするのだが・・・ボートの制限時速が5kmだったところを無理矢理20~30km出して撮影したらしいが、それでもスピード感に欠けていたことは否めない。よって、チェイスなのにチェイスになってないスピードで2槽のボートがゆっくり動くだけの退屈なシーンになってしまった。しかも撮影中、スピードを出しすぎたおかげで高波が発生して停泊中のボートが数艘壁にぶつかって壊れてしまい、賠償金を支払わされたとも聞く。挙句の果てに「二度と運河で映画撮影をしないでくれ」と警告されたらしい。インド映画の恥だ・・・。さらに、アルジュン・ラームパールが走行中の車の上から落ちそうになったとか、俳優5人が乗ったジープがあと少しで崖から落ちそうになったとか、危なっかしい裏話が映画のウェブサイトにいくつも載っている。この映画監督、正気じゃない・・・。

 ラーフル・カンナーは有名俳優かつ政治家ヴィノード・カンナーの息子で、アクシャイ・カンナーの弟。兄と同じく、やっぱり前髪の後退が気になる。おぼっちゃま顔なので、今回のようなアクション映画にはちょっと無理があった。ジョン・アブラハムは熱演と言っていい。ちょうど「Dhoom」(2004年)のウダイ・チョープラーのような、ムンバイヤー・ヒンディーをしゃべるゴロツキの役を演じていた。左胸になぜか「吉戦」という漢字の刺青がしてあったが、「吉田戦車」を思い浮かべてしまったのは僕だけではないと思う。アルジュン・ラームパールは、「Deewaanapan」(2001年)や「Asambhav」(2004年)を思わせる肉体派の活躍振り。だが、彼の演技はいつもそうだが、二枚目過ぎて1つ1つのシーンが「演技」よりも「ポーズ」になってしまっているような気がする。アミーシャー・パテールとラーラー・ダッターは、ただのヒロインに甘んじることなく、銃をぶっ放してアクションにも努めていた。悪役バーバー・スィカンダルを演じたミトゥン・チャクラボルティーは間違いなく一番の好演。だが、キャラクター設定自体があまり悪役として研ぎ澄まされていなかったため、その分損をしていたと思う。

 音楽はアヌ・マリク。ラーラー・ダッターの登場シーンのミュージカルは秀逸だったが、それ以外の挿入歌は映画の進行を邪魔していたとした思えなかった。

 気楽に見れるアクション映画で、暇つぶしには最適だが、撮影裏話を予め読んで映画を観に行くと、違った楽しみ方もできるかもしれない