Rishtey

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Rishtey
「Rishtey」

 午後からチャーナキャー・シネマで、2002年12月6日公開の新作映画「Rishtey(関係)」を観た。監督はインドラ・クマール。アニル・カプール、カリシュマー・カプール、シルパー・シェッティー主演の映画である。

 ある港で働く労働者スーラジ(アニル・カプール)にはカランという一人の息子がいた。スーラジとカランは父子二人で協力し合い、深く愛し合いながら幸せに暮らしていた。同じ港で魚を売るヴァイジャンティー(シルパー・シェッティー)は、スーラジに惹かれていたが、おっちょこちょいな性格からスーラジを困らせていた。

 スーラジには実は妻がおり、今も生きていた。妻の名前はコーマル。大富豪ヤシュパール・チャウダリー(アムリーシュ・プリー)の娘だった。昔、スーラジは場末の格闘家で、夜な夜な賭博場のリングに上がって殴り合いをしていた。そんなスーラジの心の支えになっていたのがコーマルだった。しかし父親のヤシュパールは娘の結婚を拒絶する。スーラジとコーマルは駆け落ちするが、ヤシュパールの策略によってコーマルはスーラジが不倫をしたと思い込み、スーラジの元を離れる。しかしそのときコーマルのお腹には命が宿っていた。コーマルはカランを産むが、ヤシュパールの部下がその子を殺そうとするのを見てスーラジが駆けつけ、カランを助け出し、そのまま姿をくらましたのだった。それから7年の歳月が過ぎていた。

 スーラジに裏切られ、息子を失ったコーマルは、毎日絶望のどん底で生きていた。ヤシュパールは娘の心を癒すには息子を取り戻すしかないと医者から言われ、息子を探させていた。やがてカランとスーラジはヤシュパールに発見され、カランは誘拐される。そのときはスーラジが間一髪駆けつけて取り戻すものの、今度は法的な策略によって、カランはコーマルの元へ連れて行かれてしまう。

 カランを失い、同時に職も失い、落ち込むスーラジを支えたのはヴァイジャンティーだった。良心的な裁判官の助けにより、スーラジはもう一度カランを取り戻すために裁判を行う機会を得る。そこで、スーラジはヤシュパールと契約を交わす。カランを養育していけるだけの能力があることを示すため、もしスーラジが3ヶ月以内に1,000万ルピーの金を稼ぐことができたら、カランはスーラジの元へ返される、という契約だった。

 コーマルとの結婚を機にリングに上がるのを止めていたスーラジだったが、1,000万ルピーを手に入れるためにもう一度戦うことを決意する。そのスーラジを迎え撃つのは、ヤシュパールの息のかかった怪力大男スコーピオンである。スーラジは7年間のブランクを埋めるべく猛特訓をする。

 一方、ヴァイジャンティーはスーラジとコーマルの間に起こった出来事を知り、またスーラジの不倫はヤシュパールの策略であり、真実ではないことを突き止める。ヴァイジャンティーはコーマルの家に押しかけ、その真実を明らかにする。そのときちょうど、スーラジとスコーピオンの戦いのゴングが鳴り響いていた。

 スコーピオンの力は圧倒的で、スーラジは一方的に殴りこまれていた。スコーピオンはヤシュパールから、ただ勝つだけでなく、スーラジを殺すよう指示されていた。スーラジは何もすることができず、リングに身を埋める。ところが、そこへ現れたのはコーマルだった。コーマルは今までのことをスーラジに謝る。力を得たスーラジは一気にスコーピオンに反撃し、逆転KOを奪う。こうしてスーラジはカランを取り戻しただけでなく、コーマルの心も取り戻すことができたのだった。また、ヤシュパールもその場に現れ、スーラジに謝罪した。

 久々に典型的かつ古典的なインド映画を観た気分だった。9月の「Shakti: The Power」(2002年)以来である。マサーラー映画の名に恥じない、いろんな要素が盛りだくさんの映画だった。

 いろんな要素の中でも、まずやってくれたのはインド映画お得意の「パクリ」。カランは最初足が不自由な子で、歩くのに補強器を付けなければならなかった。しかし父親のスーラジは何とかカランを走らせようと、学校の運動会の徒競走に参加させる。カランも大好きな父親の期待に答えようと、一生懸命補強器を付けながら走る。しかし、やはり他の健康な子供にかないっこない。どんどんカランは遅れて行ってしまう。遂にカランの足も止まる。スーラジも「やっぱり駄目だったか」と頭を抱える。その様子を見たカランはもう一度奮起し、走り出す。すると、補強器が壊れ、なんとカランは自分の足で走り出した。しかもすごいスピードで。カランはそのまま他の子供たちを追い抜き、1等賞になる。これはまるで「フォレスト・ガンプ」(1994年)じゃないか!!あ~、「フォレスト・ガンプ」になっちゃうよ~と思いながら指をくわえて見ていたが、やっぱり「フォレスト・ガンプ」になってしまったのでちょっと拍子抜け。でも感動した!

 全体としてシリアスなストーリーだったが、コメディーも上々、アクションシーンもまあまあで、バランスのとれた映画だったと言える。唯一音楽だけは不合格。音楽が悪いのでダンスも印象に残らない。しかし歌とダンスで売る映画ではないと感じたので、あまり深く突っ込むことはしない。いい映画だとは思ったが、ヒットするにはまだ個性が足りない。残念ながら、2002年フロップ映画リストに名を連ねることになってしまうだろう。

 アニル・カプールの演技はさすが。非の付け所がない。カリシュマー・カプールは、本当に悲劇の女を演じさせたら右に出る者はいない。いや、いるとしたらタブーぐらいだろうか。だが、シルパー・シェッティーはミスキャストの匂いがプンプンした。今回、能天気な田舎娘を演じたシルパーだったが、全然似合っていなかった。この役は誰に演じさせるべきだったか・・・。プリーティ・ズィンターあたりがよかったかもしれない。


https://www.youtube.com/watch?v=NaW2Xnr9yN4