The Great Grand Superhero: Aliens Ka Aagman

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The Great Grand Superhero: Aliens Ka Aagman
「The Great Grand Superhero: Aliens Ka Aagman」

 2026年5月29日公開の「The Great Grand Superhero: Aliens Ka Aagman」は、おじいさんがスーパーヒーローになって地球を救うという異例のスーパーヒーロー映画である。副題の「Aliens Ka Aagman」は「異星人の到来」という意味だ。基本的には子供向け映画だが、今回スーパーヒーローになるのはまさかのジャッキー・シュロフ。かつてはヒンディー語映画界切ってのプレイボーイとして名を馳せてきたが、現在は70歳近い。息子のタイガー・シュロフはスター俳優として一線で活躍しており、ちょうど10年前に「A Flying Jatt」(2016年)というスーパーヒーロー映画に主演していた。それを思えば異例の起用である。

 監督は専らグジャラーティー語で「Dhh」(2018年)などの映画を作り続けてきたマニーシュ・サイニー。本作は彼にとって初のヒンディー語映画になる。キャストは、主演のジャッキー・シュロフ以外には、バーギヤシュリー、シャラト・サクセーナー、ドゥルゲーシュ・クマール、プラティーク・バッバル、サハルシュ・シュクラー、クマール・サウラブ、クンダン・クマール、リッディ・シュクラーなどが出演している。また、子供向け映画ということで、ミヒル・ゴードボーレー、シヴァーンシュ・チョールゲー、ジハーン・ホーダール、アスミー・デーオなどの子役俳優が起用されている。

 ラッドゥー(シヴァーンシュ・チョールゲー)の通う学校アーダルシュ・ヴィディヤー・マンディルに、ディープー(ミヒル・ゴードボーレー)という転校生がやって来た。ディープーはやたらと博識で、先生たちの質問に何でも答えることができ、クラスメイトから一目置かれる存在になった。だが、彼はクラスメイトと交流せず、常に一人でいた。そこでラッドゥーは勇気を出して彼に話し掛ける。ディープーはラッドゥーにとある秘密を話す。

 実はディープーの祖父ジャグディーシュ・チャンドラ(ジャッキー・シュロフ)はスーパーヒーローであった。空を飛んだり重たい物を持ち上げたりすることができ、異星人とも戦っていた。この秘密が18歳以上の成年に漏れると祖父はスーパーパワーを失ってしまうとのことだった。早速ラッドゥーはクラスメイトとその秘密を共有する。クラスメイトたちはジャグディーシュに興味津々で、彼を一目見ようとし始める。

 ジャグディーシュは家を訪れた子供たちにスーパーヒーローになった経緯を話す。彼は子供の頃、宇宙からやって来たムースィー(バーギヤシュリー)という女の子と仲良くなった。だが、彼女の両親に見つかってしまい、ムースィーは宇宙に帰ることになった。ムースィーは去り際にジャグディーシュにスーパーパワーを与えた。以来、彼はスーパーヒーローになったのだった。

 だが、疑り深いチャーナキャー(ジハーン・ホーダール)は執拗にジャグディーシュにスーパーパワーを見せるように要求する。ジャグディーシュがストリートフードを食べて下痢になったことでますます疑念を深める。元レスリングチャンピオンのカルタール・スィン(シャラト・サクセーナー)と戦わせようとまでした。

 ちょうどその頃、地球に2人の異星人(サハルシュ・シュクラーとクマール・サウラブ)が降り立った。彼らは地球のスーパーヒーローを探していた。たまたま彼らと出会ったチャーナキャーはジャグディーシュの家を教える。なんと彼らはムースィーの弟たちであり、ジャグディーシュは本当にスーパーパワーを持ったスーパーヒーローであった。彼らが言うには、彼らの星で軍事クーデターがあり、もうすぐ侵略者が地球を征服しにやって来るとのことだった。ジャグディーシュはスーパーヒーローとしてそれを阻止しなければならなかった。

 宇宙船が地球に降り立ち、異星人(プラティーク・バッバル)率いる軍勢が出て来る。ジャグディーシュはムースィーからスーパーパワーを授けられ、彼らと戦う。また、軍人の子供でテロリストに立ち向かって負傷し車椅子生活を送っていた少女チンギー(アスミー・デーオ)もスーパーパワーを与えられ、スーパーガールに変身する。二人の活躍により侵略者たちは撃退される。

 こうして地球は危機を脱したが、すぐにディープーの父親(クンダン・クマール)の転勤が決まり、ディープーやジャグディーシュは別の町に引っ越すことになる。

 インドの地方都市の学校が主な舞台となって、子供たちの視点を通して繰り広げられる牧歌的な映画である。物語は、語り手の少年ラッドゥーの通う学校に謎めいた転校生ディープーが転校してくるところから始まる。ディープーによれば、彼の祖父ジャグディーシュは異星人の攻撃から地球を守るスーパーヒーローとのことだった。

 「The Great Grand Superhero: Aliens Ka Aagman」においてサスペンスの源泉になり観客を引き付けているは、ジャグディーシュが本当にスーパーヒーローなのかどうかという点である。

 ディープーは、父親が転勤族ということもあって、数ヵ月に一度、転校を繰り返す生活を送っていた。その中で彼は新しい学校で友達を作るために、祖父をスーパーヒーローに仕立て上げクラスメイトの関心を引き寄せるというテクニックを身に付けていた。もし嘘がばれてもすぐに転校になってしまうのでダメージは少ない。そんな彼の本音が少しだけ披露もされているので、てっきり祖父がスーパーヒーローというのはディープーの口から出任せなのだろうと考えてしまう。

 ただ、ジャグディーシュ自身がディープーに荒唐無稽な話を言い聞かせている場面もあって、ディープーは祖父の話すホラ話を少年時代特有の空想力でもって拡張し、クラスメイトに吹聴している可能性もあった。また、ディープーが祖父に、話を合わせるように叱っている姿も見られた。こうなると、祖父と孫がグルになって嘘を広めているとも受け止められた。

 ここまでが前半の展開である。スーパーヒーローや異星人はいないのにホラ話の中でそれがあたかも存在するかのように提示され、純粋な子供たちがそれを信じてしまっているという、あくまで現実的な物語である。だが、後半になると様相が一変する。まず、本当に異星人が地球に降り立つ。彼らは特徴的なコスチュームとサングラスを身に付けており、目の前の人を空に飛ばすスーパーパワーを持っていた。異星人は存在したのである。

 しかも、その異星人たちは地球のスーパーヒーローを探しており、それがまさにジャグディーシュだったのである。彼らは地球を救うために送り込まれた異星人であったが、別の異星人の一団は地球を征服するためにやって来るところだった。ジャグディーシュは侵略者と戦わなくてはならなくなった。

 後半では異星人が登場し、スーパーヒーローと異星人との間で「ドラゴンボール」的なバトルも繰り広げられるため、一転して純粋なスーパーヒーロー映画と化す。ただ、悲しいかな低予算映画のためCGなどに金が掛けられておらず、非常にチープなVFXでそのスーパーパワーやバトルが描写することになる。「子供だまし」という言葉があるが、こんな映像表現では今時の子供をだますこともできないだろう。バトルの最中に車椅子の少女チンギーが突然スーパーパワーを与えられてスーパーガールになったのも訳が分からなかった。この無理のある映像と展開で、一気に盛り下がってしまった。もしかしたら子供にとってはいくらチープであってもこういう分かりやすい展開の方が盛り上がるのかもしれないが、前半のリアリズム描写を後半でも維持し何とかまとめる脚本の方が良かったのではないかと感じた。

 ジャグディーシュ役を演じたジャッキー・シュロフは、肩の力を抜いた演技をしていて適役だった。だが、この映画を支えていたのは有能な子役俳優たちだ。ラッドゥー、ディープー、チャーナキャー、チンギーなどの役を演じた子役俳優たちは自信に満ちた演技をしており、素晴らしかった。

 ちなみに、異星人からスーパーパワーを与えられるという設定は、「インド初のSF映画」と呼ばれる「Koi… Mil Gaya」(2003年)そのものである。劇中には「Koi… Mil Gaya」に登場する宇宙人ジャードゥーにも言及される。

 「The Great Grand Superhero: Aliens Ka Aagman」は、老人がスーパーヒーローになって地球を救うというユニークな筋書きの、子供向けのスーパーヒーロー映画である。前半と後半でガラリと雰囲気が変わるが、個人的には前半を高く評価したい。後半は残念ながら低予算映画であることが露呈してしまう。映画の最後では続編「Aliens Ka Palatwar(異星人の逆襲)」がアナウンスされていたが、興行的に失敗しており、続編の製作は実現しないだろう。