インド人の名前は、その人の属する家系の宗教、カースト、祖地などが記されたバイオデータになっているという話は「人名」でした通りである。インド人同士なら、相手の名前を見聞きした瞬間に、大体その人がどういうバックグラウンドを持っているのかが分かるため、初対面で推測し合うことになる。日本人であっても、インドや南アジアに長らく関わっていると、自然とそういった洞察力が身に付く。
ただ、良識ある人ならば、「こういう名前の人はこういうカーストだ」みたいな知識を一般の日本人の前でひけらかすことはしない。なぜなら、インド人を名前で判断するような偏見を日本人に不用意に広めたくないからである。
それでも、インド映画を鑑賞する際、登場人物の名前からその人の社会的な立ち位置を察知する能力は、実は必要になることがある。なぜならインド映画は基本的にインド人向けに作られており、インド人同士の暗黙の了解になっている事項が映画理解に必要な前知識になっていることが多いからだ。特にカーストに関わる事項はセンシティブな問題なので、あえて言葉などには出さず、名前などの婉曲的な情報からそっと指し示される手段が採られることがある。いわば、インド映画において登場人物の名前は、インド人の間で機密情報をやり取りするための「コード」になっていることがあるのである。
この記事では、特にヒンディー語の娯楽映画によく登場する、主にヒンドゥー教徒の氏姓を取り上げる。娯楽映画の登場人物は上位カーストであることが多く、自然とここで紹介するのも上位カーストのものが中心となる。また、日本では氏・姓・苗字が一緒くたに使われている一方、インドでは厳密には「Surname/उपनाम」と「Title/उपाधि」を分けて考えていることが多いが、この記事ではどちらもひっくるめて便宜的に「氏姓」としている。氏姓をカースト判別の指標と捉え、その適切なカタカナ表記と、それが象徴するコミュニティーや雑学を紹介する。
【凡例】
- カーヤスト=書記階級
- カトリー=地主階級と商人階級、クシャトリヤ扱い
- 北インド=特にウッタル・プラデーシュ州とビハール州を中心としたヒンディー語圏をイメージしている
- ジャート=豪農階級
- ダリト=不可触民
- ナーヤル=地主階級、クシャトリヤ扱い
- バニヤー=商人階級、ヴァイシャ
- ブラーフマン=司祭階級、バラモン
- マラーター=豪農階級
- ラージプート=地主階級、クシャトリヤ扱い
- Adhikari
- अधिकारी。カタカナ表記は「アディカーリー」。インド各地のさまざまなコミュニティーによって使われており、これだけではその人のカーストを判別することができない。元々は「役人」という意味。
- Advani
- आडवाणी。カタカナ表記は「アードヴァーニー」。スィンド地方(現パーキスターン)を祖地とする商人階級に特有の氏姓。
- Agarwal/Agrawal
- अग्रवाल。本ブログではカタカナ表記を「アガルワール」に統一しているが、「アグラワール」なども可能。北インドのバニヤーに特有の氏姓。
- Agnihotri
- अग्निहोत्री。カタカナ表記は「アグニホートリー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。
- Ahuja
- आहूजा。カタカナ表記は「アーフージャー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓だが、スィンド地方(現パーキスターン)を祖地とする商人階級にも見られる。
- Anand
- आनंद。カタカナ表記は「アーナンド」。北インドのカーヤストに特有の氏姓。
- Apte
- आप्टे。カタカナ表記は「アープテー」。マハーラーシュトラ地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Arora
- अरोड़ा。カタカナ表記は「アローラー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Bagchi
- बागची。カタカナ表記は「バーグチー」。ベンガル地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Bahl/Behl
- बहल。カタカナ表記は「ベヘル」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Bakshi
- बक्शी。カタカナ表記は「バクシー」。元々「給与係」という意味で、本来特定のコミュニティーに限定された氏姓ではない。主にパンジャーブ地方のブラーフマンやカーヤストが名乗っている。
- Bandhopadhyay
- बंधोपाध्याय。カタカナ表記は「バンドーパーディヤーイ」。ベンガル地方のブラーフマンに特有の氏姓。これの英語化した形が「Banerjee」。
- Banerjee
- बनर्जी。カタカナ表記は「バナルジー」。ベンガル地方のブラーフマンに特有の氏姓。「Bandhopadhyay」の英語化した形。
- Bansal
- बंसल。カタカナ表記は「バンサル」。パンジャーブ地方を中心とした北インドのバニヤーに特有の氏姓。
- Basu
- बसु。カタカナ表記は「バス」。ベンガル地方のカーヤストに特有の氏姓。これの英語化した形が「Bose」。
- Bhardwaj
- भारद्वाज。カタカナ表記は「バールドワージ」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。
- Bharti
- भारती。カタカナ表記は「バールティー」。パンジャーブ地方ではカトリーの氏姓だが、ウッタル・プラデーシュ州やビハール州ではダリトの氏姓になり、大きな地域格差があることでよく話題になる。
- Bhatia
- भाटिया。カタカナ表記は「バーティヤー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Bhatt/Butt
- भट्ट。カタカナ表記は「バット」。カシュミール地方を起源とするブラーフマンに特有の氏姓。ヒンドゥー教から改宗したカシュミール系イスラーム教徒も名乗ることがある。
- Bhattacharya
- भट्टाचार्य。カタカナ表記は「バッターチャーリヤ」。ベンガル地方のブラーフマンに特有の氏姓。英語化すると「Bhattacharjee/バッターチャールジー」になる。
- Bhosle/Bhonsle
- भोसले。カタカナ表記は「ボースレー」。「Bhonsle」の場合は「ボーンスレー」でもいいだろう。マハーラーシュトラ地方のマラーターに特有の氏姓。シヴァージーの氏姓もボースレーだった。
- Bose
- बोस。カタカナ表記は「ボース」。ベンガル地方のカーヤストに特有の氏姓。「Basu」の英語化した形。スバーシュ・チャンドラ・ボースが有名。
- Chaddha
- चड्ढा。カタカナ表記は「チャッダー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Chakraborty
- चक्रवर्ती。本ブログでは「チャクラボルティー」としているが、ヒンディー語に忠実に「チャクラヴァルティー」としてもいいだろう。ベンガル地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Chatterjee
- चटर्जी。カタカナ表記は「チャタルジー」。ベンガル地方のブラーフマンに特有の氏姓。「Chattopadhyay」の英語化した形。
- Chattopadhyay
- चट्टोपाध्याय。カタカナ表記は「チャットーパーディヤーイ」。ベンガル地方のブラーフマンに特有の氏姓。これの英語化した形が「Chatterjee」。シャラトチャンドラ・チャットーパーディヤーイが有名。
- Chaturvedi
- चतुर्वेदी。カタカナ表記は「チャトゥルヴェーディー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。これの訛った形が「Chaubey/Chaube」。
- Chaubey/Chaube
- चौबे。カタカナ表記は「チャウベー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。「Chaturvedi」の訛った形。
- Chaudhary/Chowdhury
- चौधरी。本ブログではカタカナ表記を「チャウダリー」に統一しているが、「チョードリー」「チョウドリー」など複数の表記が可能。この氏姓は、中世に地主階級に与えられた称号が由来となっており、さまざまな宗教、カーストに属するコミュニティーが使用しているため、これだけではその人のカーストを判別できない。
- Chauhan/Chowhan
- चौहान。本ブログではカタカナ表記を「チャウハーン」としているが、「チョウハーン」でもいいだろう。北インドのラージプートに特有の氏姓であり、映画中では軍人にこの姓が付けられることが多い。チャウハーン朝(10-12世紀)のプリトヴィーラージ・チャウハーン王が有名。映画「Samrat Prithviraj」(2022年)の主人公。
- Chawla
- चावला。カタカナ表記は「チャーウラー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Chopra
- चोपड़ा。カタカナ表記は「チョープラー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Das
- दास。カタカナ表記は「ダース」。ベンガル地方を中心に広範な地域において、さまざまな宗教、カーストのコミュニティーによって、ミドルネームやファミリーネームとして使われており、これだけではその人のカーストを判別できない。元々は「奴隷」という意味。
- Dasgupta
- दासगुप्ता。カタカナ表記は「ダースグプター」。ベンガル地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Dayal
- दयाल。カタカナ表記は「ダヤール」。「慈悲深い」という意味で、ファーストネーム、ミドルネーム、ファミリーネームに使われる名前だが、ファミリーネームがダヤールの場合、北インドのカーヤストの可能性が高い。
- Desai
- देसाई。カタカナ表記は「デーサーイー」。マハーラーシュトラ地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Deshmukh
- देशमुख。カタカナ表記は「デーシュムク」。マハーラーシュトラ地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Deshpande
- देशपांडे。カタカナ表記は「デーシュパーンデー」。マハーラーシュトラ地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Devi
- देवी。カタカナ表記は「デーヴィー」。正確には氏姓ではなく、女性の名前に付けられるミドルネーム。元々は「女神」という意味。
- Dhar
- धार。カタカナ表記は「ダール」。カシュミール地方のブラーフマンまたはベンガル地方のカーヤストに特有の氏姓。
- Dixit/Dikshit
- दीक्षित。カタカナ表記は「ディークシト」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。
- Dubey/Dube
- दूबे。カタカナ表記は「ドゥーベー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。「Dwivedi」の短縮形。
- Dutt/Datt
- दत्त。カタカナ表記は「ダット」。パンジャーブ地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Dutta/Datta
- दत्ता。カタカナ表記は「ダッター」。ベンガル地方のカーヤストに特有の氏姓。
- Dwivedi
- द्विवेदी。本ブログではカタカナ表記を「ドイヴェーディー」としているが、「ドゥヴィヴェーディー」などといった表記も見られる。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。これの短縮形が「Dubey」
- Fadnavis
- फ़डणवीस。カタカナ表記は「ファドナヴィース」。マハーラーシュトラ地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Gaikwad/Gaekwad
- गायकवाड。カタカナ表記は「ガーイクワード」。マラーターに特有の氏姓。バローダー藩王国の統治者の氏姓がガーイクワードだった。
- Gandhi
- गांधी。カタカナ表記は「ガーンディー」。主にグジャラート地方のバニヤーに特有の氏姓だが、他の地域でも分布している。マハートマー・ガーンディーが有名。ちなみに、インド第3代首相インディラー・ガーンディーは拝火教徒の男性と結婚してガーンディー姓になっただけで、マハートマー・ガーンディーと血縁ではない。
- Gangopadhyay
- गंगोपाध्याय。カタカナ表記は「ガンゴーパーディヤーイ」。ベンガル地方のブラーフマンに特有の氏姓。これの英語化した形が「Ganguly」。
- Garg
- गर्ग。カタカナ表記は「ガルグ」。北インドのバニヤーに特有の氏姓。
- Ganguly/Ganguli
- गांगुली。カタカナ表記は「ガーングリー」。ベンガル地方のブラーフマンに特有の氏姓。「Gangopadhyay」の英語化した形。
- Ghosh
- घोश。カタカナ表記は「ゴーシュ」。ベンガル地方のカーヤストに特有の氏姓。
- Gill
- गिल。カタカナ表記は「ギル」。パンジャーブ地方のジャートに特有の氏姓。
- Gokhale
- गोखले。カタカナ表記は「ゴーカレー」。マハーラーシュトラ地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Goswami
- गोस्वामी。カタカナ表記は「ゴースワーミー」。アッサム地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Goyal/Goel
- गोयल。カタカナ表記は「ゴーヤル」。パンジャーブ地方を中心とした北インドのバニヤーに特有の氏姓。
- Gupta
- गुप्ता。カタカナ表記は「グプター」。北インドのバニヤーに特有の氏姓。
- Iyengar
- ऐयंगर。カタカナ表記は「アイヤンガル」。タミル地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Iyer
- ऐयर。カタカナ表記は「アイヤル」。タミル地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Jadhav
- जाधव。カタカナ表記は「ジャーダヴ」。マハーラーシュトラ地方のマラーターに特有の氏姓。
- Jaiswal
- जायसवाल。カタカナ表記は「ジャーイスワール」。ウッタル・プラデーシュ州のジャーイスを祖地とするコミュニティーの氏姓だが、さまざまなコミュニティーが名乗っており、これだけではカーストの判別ができない。元々は酒造に関わるコミュニティーだったとされるが、禁酒を教義とするジャイナ教徒にもこの氏姓は見られる。
- Jha
- झा。カタカナ表記は「ジャー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。「Upadhyay」が訛った形。
- Jindal
- जिंदल。カタカナ表記は「ジンダル」。パンジャーブ地方を中心とした北インドのバニヤーに特有の氏姓。
- Joshi
- जोशी。カタカナ表記は「ジョーシー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。
- Juneja
- जूनेजा。カタカナ表記は「ジューネージャー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Kadam
- कदम。カタカナ表記は「カダム」。マハーラーシュトラ地方のマラーターに特有の氏姓。
- Kakkar
- कक्कड़。カタカナ表記は「カッカル」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Kapadia
- कपाड़िया。カタカナ表記は「カパーリヤー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Kapoor/Kapur
- कपूर。カタカナ表記は「カプール」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の姓。ヒンディー語映画界を代表する名家もカプール姓である。
- Kashyap
- कश्यप。カタカナ表記は「カシヤプ」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。
- Khandelwal
- खंडेलवाल。カタカナ表記は「カンデールワール」。ラージャスターン地方のバニヤーに特有の氏姓。
- Khanna
- खन्ना。カタカナ表記は「カンナー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Kher
- खेर。カタカナ表記は「ケール」。カシュミール地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Khurana
- खुराना。カタカナ表記は「クラーナー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Kohli
- कोहली。カタカナ表記は「コーリー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Kothari
- कोठारी。カタカナ表記は「コーターリー」。ラージャスターン地方のバニヤーに特有の氏姓。
- Krishnamurthy
- कृष्णमूर्ति。カタカナ表記は「クリシュナムールティ」。タミル地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Kukreja
- कुकरेजा。カタカナ表記は「ククレージャー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Kulkarni
- कुलकर्णी。カタカナ表記は「クルカルニー」。マハーラーシュトラ地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Kumar
- कुमार。カタカナ表記は「クマール」。インド亜大陸全土で、さまざまなコミュニティーによって、ファーストネーム、ミドルネーム、ファミリーネームとして使われる言葉であり、これだけではその人のカーストを判別することはできない。元々の意味は「王子」である。ミドルネームとして使われる場合、女性は「Kumari/कुमारी/クマーリー/姫」になる。
- Lal
- लाल。カタカナ表記は「ラール」。主に北インドのカーヤストで使われる氏姓だが、その他のコミュニティーでも使われることがある。
- Maheshwari
- माहेश्वरी。カタカナ表記は「マーヘーシュワリー」。ラージャスターン地方のバニヤーに特有の氏姓。
- Majumdar/Mazumdar
- मजुमदार/मज़ुमदार。カタカナ表記は「マジュムダール」または「マズムダール」。元々は「記録係」という意味で、ベンガル地方のヒンドゥー教徒やイスラーム教徒にこの氏姓を持つ者がいる。
- Makhija
- मखीजा。カタカナ表記は「マキージャー」。スィンド地方(現パーキスターン)を祖地とする商人階級に特有の氏姓。
- Malhotra
- मल्होत्रा。本ブログでは「ल्ह」を「ल」の有気音として「マロートラー」と表記しているが、「マルホートラー」などといった表記の方が一般的。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Mathur
- माथुर。カタカナ表記は「マートゥル」。北インドのカーヤストに特有の氏姓。
- Mehra
- मेहरा。カタカナ表記は「メヘラー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Mehta
- मेहता。カタカナ表記は「メヘター」。インド各地のブラーフマン、ラージプート、バニヤー、カトリーなど、さまざまなコミュニティーによって使われている氏姓で、これだけではその人のカーストを判別することができない。
- Menon
- मेनन。カタカナ表記は「メーナン」。ケーララ地方のナーヤルに特有の氏姓。
- Mishra/Misra
- मिश्रा。カタカナ表記は「ミシュラー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。
- Mitra
- मित्र。カタカナ表記は「ミトラ」。ベンガル地方のカーヤストに特有の氏姓。
- Mittal
- मित्तल。カタカナ表記は「ミッタル」。北インドのバニヤーに特有の氏姓。
- Modi
- मोदी。カタカナ表記は「モーディー」。グジャラート地方のバニヤーのイメージが強いが、実際には各地のさまざまなコミュニティーが名乗っている氏姓。ナレーンドラ・モーディーが有名。
- Mohapatra
- महापात्र。本ブログではカタカナ表記を「モハーパートラ」にしているが、ヒンディー語表記に従って「マハーパートラ」にしてもいいだろう。オリッサ地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Motwani
- मोटवानी。カタカナ表記は「モートワーニー」。スィンド地方(現パーキスターン)を祖地とする商人階級に特有の氏姓。
- Mukherjee/Mukerji
- मुखर्जी。カタカナ表記は「ムカルジー」。ベンガル地方のブラーフマンに特有の氏姓。「Mukhopadhyay」の英語化した形。
- Mukhopadhyay
- मुखोपाध्याय。カタカナ表記は「ムコーパーディヤーイ」。ベンガル地方のブラーフマンに特有の氏姓。これの英語化した形が「Mukherjee」。
- Nagar
- नागर。カタカナ表記は「ナーガル」。グジャラート地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Naidu
- नायडू。カタカナ表記は「ナーイドゥ」。アーンドラ地方の地主階級に特有の氏姓。「Naik」から派生。
- Naik/Nayak
- नायक。カタカナ表記は「ナーイク」。元々「長」を意味する称号で、インド各地のさまざまなカーストが名乗っているため、これだけではその人のカーストを判別することができない。
- Nair/Nayar/Nayyar
- नायर。本ブログでは英語表記に合わせて「ナーイル」と「ナーヤル」を使い分けている。ケーララ地方のナーヤルに特有の氏姓。
- Nanda
- नंदा。カタカナ表記は「ナンダー」。パンジャーブ地方のカトリーまたはオリッサー地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Nath
- नाथ。カタカナ表記は「ナート」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。元々の意味は「主」。
- Oberoi/Uberoi
- ओबेरॉय。フランス語由来の英単語「Octoroi(入市税)」から派生した氏姓だとされており、本ブログではカタカナ表記を「オベロイ」としている。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。オベロイ・グループはインドを代表する高級ホテル・チェーン。
- Ojha
- ओझा。カタカナ表記は「オージャー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。「Upadhyay」の訛った形。
- Pai
- पाई。ヒンディー語表記に従えばカタカナ表記は「パーイー」になるべきだが、「パイ」という表記も可能である。ゴア、カルナータカ地方、ケーララ地方に掛けての西沿岸地域に住むブラーフマンに特有の氏姓。
- Pal
- पाल。カタカナ表記は「パール」。ベンガル地方のカーヤストをはじめ、各地の各種コミュニティーによって使われる氏姓。「Paul」とつづられることもある。東京裁判の判事ラーダービノード・パールが有名。元々の意味は「守護者」。
- Paliwal
- पालिवाल。カタカナ表記は「パーリワール」。ラージャスターン州のパーリを祖地とするブラーフマンに特有の氏姓。
- Panda
- पंडा。カタカナ表記は「パンダー」。オリッサ地方などのブラーフマンに特有の氏姓。「Pandit」から派生。
- Pande/Pandey
- पांडे/पांडेय。カタカナ表記は「パーンデー」「パーンデーイ」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。「Pandit」から派生。
- Pandit
- पंडित。カタカナ表記は「パンディト」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。元々の意味は「僧侶」。
- Panicker
- पणिकर。カタカナ表記は「パニカル」。英語のつづりが「Panic(パニック)」を想起させるが、れっきとしたインド人の名前である。ただし、これは元々、ケーララ地方の名士にマハーラージャーから与えられた称号であり、これだけではその人のカーストを判別することができない。
- Pant
- पंत。カタカナ表記は「パント」。ウッタラーカンド地方のブラーフマンに特有の氏姓。「Pandit」から派生。
- Patel
- पटेल。カタカナ表記は「パテール」。グジャラート地方に特有の氏姓で、豪農や商人など複数のコミュニティーが名乗っている。
- Pathak
- पाठक。カタカナ表記は「パータク」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。元々の意味は「教師」。
- Patil
- पाटिल。カタカナ表記は「パーティル」。マハーラーシュトラ地方の村長に与えられた称号で、さまざまなカーストが名乗っており、これだけではその人のカーストを判別することができない。
- Patnaik
- पटनायक。カタカナ表記は「パトナーイク」。オリッサ地方のカーヤスト(カラン)に特有の氏姓。
- Pillai
- पिल्लै/पिल्लाइ。カタカナ表記は「ピッライ」。ケーララ地方のナーヤルやタミル地方の地主階級に特有の氏姓。
- Poddar
- पोद्दार。本ブログではカタカナ表記を「ポッダール」としているが、ヒンディー語表記に従って「ポーッダール」にしてもいいだろう。ラージャスターン地方のバニヤーに特有の氏姓。
- Prasad
- प्रसाद。カタカナ表記は「プラサード」。北インドでブラーフマンやカーヤストなどで使われる氏姓で、これだけではその人のカーストを判別することはできない。
- Pujari
- पुजारी。カタカナ表記は「プジャーリー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。元々の意味は「司祭」。
- Puri
- पुरी。カタカナ表記は「プリー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Purohit
- पुरोहित。カタカナ表記は「プローヒト」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。元々の意味は「司祭」。
- Rai/Ray
- राय。カタカナ表記は「ラーイ」。インド各地のさまざまなコミュニティーによって使われている氏姓で、これだけではその人のカーストを判別することができない。元々の意味は「王」。これの英語化した形が「Roy」。サティヤジト・ラーイ(サタジット・レイ)やアイシュワリヤー・ラーイが有名。
- Raina
- रैना。カタカナ表記は「ライナー」。カシュミール地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Ramakrishnan
- रामकृष्णन。カタカナ表記は「ラーマクリシュナン」。タミル地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Rana
- राणा。カタカナ表記は「ラーナー」。北インドのラージプートに特有の氏姓。
- Rao
- राव。カタカナ表記は「ラーオ」。インド各地のさまざまなコミュニティーによって使われている氏姓で、これだけではその人のカーストを判別することはできない。元々の意味は「王」。
- Reddy
- रेड्डी。カタカナ表記は「レッディー」。テルグ地方の豪農や地主階級に特有の氏姓。
- Rathore
- राठौड़。本ブログではカタカナ表記を「ラートール」としているが、「ラータウル」でもいいだろう。北インドのラージプートに特有の氏姓であり、映画中では軍人にこの姓が付けられることが多い。ジョードプルを支配した王族の氏姓もラートールであった。
- Roy
- रॉय。カタカナ表記は「ロイ」。ベンガル地方のカーヤストに多い氏姓。「Rai」の英語化した形。
- Sabharwal
- सभरवाल。カタカナ表記は「サバルワール」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Sahay
- सहाय。カタカナ表記は「サハーイ」。北インドのカーヤストに特有の氏姓。
- Sahu/Sahoo
- साहू。カタカナ表記は「サーフー」。北インドのバニヤーに特有の氏姓。特に高利貸しを生業とする家系をイメージする氏姓である。
- Saigal/Sehgal
- सहगल。ヒンディー語表記に従えばカタカナ表記は「セヘガル」になるべきだが、「サイガル」という表記もありえる。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Samanta
- सामंत。カタカナ表記は「サーマンタ」。ベンガル地方のカーヤストに特有の氏姓。
- Sapru/Saproo
- सप्रू。カタカナ表記は「サプルー」。カシュミール地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Sarkar/Sircar
- सरकार。カタカナ表記は「サルカール」。元々は「地主」という意味であり、ベンガル地方のさまざまなコミュニティーがこの氏姓を名乗っている。
- Saxena
- सक्सेना。カタカナ表記は「サクセーナー」。北インドのカーヤストに特有の氏姓。
- Sen
- सेन。カタカナ表記は「セーン」。ベンガル地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Sengupta
- सेनगुप्ता。カタカナ表記は「セーングプター」。ベンガル地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Seth
- सेठ。カタカナ表記は「セート」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Shah
- शाह。カタカナ表記は「シャー」。グジャラート地方のバニヤーに特有の氏姓。ペルシア語で「皇帝」を意味し、イスラーム教徒の氏姓になっている「Shah」とは別起源。
- Sharma
- शर्मा。カタカナ表記は「シャルマー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。
- Shastri
- शास्त्री。カタカナ表記は「シャーストリー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。
- Shetty
- शेट्टी。カタカナ表記は「シェッティー」。カルナータカ地方沿岸部の商人階級に特有の氏姓。
- Shinde
- शिंडे。カタカナ表記は「シンデー」。マハーラーシュトラ地方のマラーターに特有の氏姓。
- Shukla
- शुक्ला。カタカナ表記は「シュクラー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。
- Singh
- सिंह。本ブログではカタカナ表記を「スィン」としているが、「シン」「シング」「スィング」なども可能。この氏姓は、スィク教徒、ラージプート、ヤーダヴなど、さまざまなコミュニティーによって、ミドルネームまたはファミリーネームとして使用されており、これだけではその人のカーストを判別することはできない。元々は「獅子」という意味。
- Sinha
- सिन्हा。本ブログでは「न्ह」を「न」の有気音として「スィナー」と表記しているが、一般的には「スィンハー」「シンハー」などといった表記になってしまっていることの方が多い。北インドやベンガル地方のカーヤストに特有の氏姓。
- Solanki
- सोलंकी。カタカナ表記は「ソーランキー」。北インドのラージプートに特有の氏姓。
- Srivastav/Srivastava
- श्रीवास्तव。本ブログではカタカナ表記を「シュリーワースタヴ」に統一しているが、「シュリーヴァースタヴ」「シュリーワースタヴァ」「シュリーヴァースタヴァ」なども可能。北インドのカーヤストに特有の氏姓。
- Subramaniam
- सुब्राह्मनियम。本ブログではカタカナ表記を「スブラマニヤム」にしているが、ヒンディー語表記に忠実に「スブラーフマニヤム」にしてもいいだろう。タミル地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Tagore
- टैगोर。カタカナ表記では「タゴール」としている。ベンガル地方のブラーフマンに特有の氏姓。ラビンドラナート・タゴールなど。「Thakur」の英語化した形。
- Talwar
- तलवार。カタカナ表記では「タルワール」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Tandon
- टंडन。カタカナ表記では「タンダン」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Tanwar
- तंवर。カタカナ表記では「タンワル」。北インドのラージプートに特有の氏姓。「Tomar」と同義。
- Thakur
- ठाकुर。カタカナ表記では「タークル」。「地主」という意味であり、インド各地でこの氏姓が指し示す対象が異なる。たとえばヒンディー語圏では「タークル」といえばラージプートになるが、ベンガル地方ではブラーフマンになる。
- Tiwari
- तिवारी。カタカナ表記は「ティワーリー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。「Tripathi」または「Trivedi」の訛った形。
- Tomar
- तोमर。カタカナ表記は「トーマル」。北インドのラージプートに特有の氏姓。「Tanwar」と同義。
- Tripathi
- त्रिपाठी。カタカナ表記は「トリパーティー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。これの訛った形が「Tiwari」。
- Trivedi
- त्रिवेदी。カタカナ表記は「トリヴェーディー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。これの訛った形が「Tiwari」。
- Unni
- उन्नी。本ブログではカタカナ表記を「ウンニ」としているが、ヒンディー語表記に従って「ウンニー」としてもいいだろう。ケーララ地方のブラーフマンに特有の氏姓。
- Upadhyay
- उपाध्याय。カタカナ表記は「ウパーディヤーイ」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。これの訛ったのが「Jha」や「Ojha」。
- Vaidya
- वैद्य。カタカナ表記は「ヴァイディヤ」。アーユルヴェーダの医師を指す言葉で、マハーラーシュトラ州ではブラーフマンやカーヤストが名乗ることが多いが、これだけでその人のカーストを特定することは困難である。
- Vajpayee/Vajpai/Bajpai
- वाजपेयी。カタカナ表記は「ヴァージペーイー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。「バージペーイー」は訛った形。アタル・ビハーリー・ヴァージペーイーが有名。
- Varma/Verma
- वर्मा。カタカナ表記は「ヴァルマー」。元々はクシャトリヤに属する氏姓であったが、現在ではインド全土でさまざまなカーストによって使われており、これだけではその人のカーストを判別することはできない。
- Vedi
- वेदी。カタカナ表記は「ヴェーディー」。北インドのブラーフマンに特有の氏姓。
- Vohra
- वोहरा。カタカナ表記は「ヴォーラー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Wadhwa
- वाधवा。カタカナ表記は「ワードワー」。パンジャーブ地方のカトリーに特有の氏姓。
- Yadav
- यादव。カタカナ表記は「ヤーダヴ」。北インドの酪農カーストに特有の氏姓。クリシュナもヤーダヴ族であった。
