Sanak

3.0

 2021年10月15日からDisney+ Hotstarで配信開始されたヒンディー語映画「Sanak(狂気)」は、病院を舞台にした、26/11ムンバイー同時多発テロ型のテロの物語である。また、テロリスト襲撃時にたまたま病院にいた格闘技トレーナーの主人公がほぼ独力で事件を解決するという、米国映画「ダイ・ハード」シリーズに似た巻き込まれ型のアクション映画だ。

 プロデューサーはヴィプル・アムルトラール・シャー、監督はカニシュク・ヴァルマー。ヴァルマー監督は、「Lahore」(2010年)などで助監督を務めていた人物で、デビュー作「Footfairy」(2020年)に続き、監督2作目となる。主演は、今やヒンディー語映画界を代表するアクションスターとなったヴィデュト・ジャームワール。ヒロインはベンガル語映画女優のルクミニー・マイトラー。他に、ネーハー・ドゥーピヤー、チャンダン・ロイ・サーンニャール、チャンダン・ロイなどが出演している。

 格闘技トレーナーのヴィヴァーン・アーフージャー(ヴィデュト・ジャームワール)は、心臓手術をして入院していた妻アンシカー(ルクミニー・マイトラー)を見舞いに病院に来ていた。そのとき、サッジュー(チャンダン・ロイ・サーンニャール)率いるテロリストの集団が病院を襲撃し、占拠する。病院では、不正をして服役中だった武器商人アジャイ・パール・スィンが心臓手術を受けていた。テロリストはアジャイ・パール・スィンを連れ出すために来たのだった。ジャヤンティー・バールガヴ警部(ネーハー・ドゥーピヤー)率いるムンバイー警察は病院を取り囲むが、多くの人質を取られており、身動きが取れなかった。しかも、バールガヴ警部の娘がたまたま病院におり、人質に取られていた。

 ヴィヴァーンは、地下駐車場で見張っていたテロリストを殺して武器を奪い、9階にいるアンシカーを救うために行動を始める。サッジューもヴィヴァーンの動きを察知し、部下を向かわせるが、ヴィヴァーンは返り討ちにする。ヴィヴァーンは、病院の隅々まで知り尽くした職員リヤーズ(チャンダン・ロイ)や武器に詳しい少年ズビーンなどの助けを借りながら、コントロールルームを取り戻し、テロリストとの交渉を有利に進める。

 一方、サッジューはヴィヴァーンの家族が人質に中にいると気付き、探し始める。そして人質を順に殺し始める。ヴィヴァーンは、テロリストたちの逃亡ルートを予想し、そこで待ち構える。そしてサッジューとの対決を制し、アンシカーを救い出す。バールガヴ警部補は病院に突入し、人質を助ける。

 ヴィデュト・ジャームワールの華麗なアクションを中心に構成された映画だった。主人公のヴィヴァーンは格闘技トレーナーという設定であり、肉弾戦にはめっぽう強いが、テロリストたちもいろんな人種の格闘家を取り揃えており、簡単にはやられない。しかも、ヴィヴァーンはほとんど一人で戦うのに対し、多くの場合テロリストたちは複数で攻撃してくる。ヴィヴァーンは、病院にある器具などをうまく使いながらテロリストたちを一人また一人と倒していき、最後にはリーダーのサッジューを殺す。

 テロリストは銃火器で武装し、ヴィヴァーンもテロリストから銃を奪って利用するのだが、ヴィデュト・ジャームワールのアクションを強調したいためであろう、銃でほとんど人は死なず、最終的には肉弾戦によって決着が付く。

 病院を取り囲んだ警察はほとんど何もできないが、ネーハー・ドゥーピヤーが、現場でテキパキと指揮を執る女性警察官僚バールガヴを熱演しており、注目された。デビュー当初は「Julie」(2004年)などの影響でセクシー系女優のイメージが強かったが、近年はシリアスな役柄が似合う女優に成長しており、演技にも信頼性と安定性が出てきた。頼もしいことである。

 ヒロインのアンシカーを演じたルクミニー・マイトラーも、人質ながら、テロリストに対して必死に抵抗しようとする勇敢な女性を演じていた。

 「Sanak」は、単純な筋書きのアクション映画ではあるが、ヴィデュト・ジャームワールが病院という環境をうまく使いながら、孤軍奮闘してテロリストたちを次々になぎ倒していく姿が爽快なアクション映画である。観て損はない娯楽作となっている。