Line of Descent

2.5

 2019年12月4日からZee5で配信開始された「Line of Descent」は、「ハムナプトラ」シリーズなどで知られる米国人俳優ブレンダン・フレイザーが出演する印米合作映画である。デリーを拠点とするマフィアの内部抗争を描いたマフィア映画だ。

 監督は新人のローヒト・カルン・バトラー。キャストは、ローニト・ロイ、アバイ・デーオール、ニーラジ・カビー、プレーム・チョープラー、ゴーパール・ダット、アリー・ハージー、アニーシャ・アンジェリーナ・ヴィクター、プリヤンカー・セーティヤーなどである。ブレンダン・フレイザーは重要な役で出演しているものの、主演とはいえない。

 バラト・スィナー(プレーム・チョープラー)は、一代でデリーを支配するランドマフィアを作り上げた人物だった。彼には3人の息子がいた。長男のプリトヴィー(ローニト・ロイ)、次男のスィッダールト(ニーラジ・カビー)、そして三男のスーラジ(アリー・ハージー)である。プリトヴィーは沈着冷静でリーダー型の人間だったが、スィッダールトは欲深く短気な男だった。スーラジはまだ若く、肝が据わっていなかった。

 バラトが自殺し、遺産をプリトヴィーのみに遺したことで、家族内で内紛が起こる。スィッダールトは自分の取り分をプリトヴィーに要求する。だが、スィッダールトが武器密輸業を始めようとしていたことを知ったプリトヴィーはそれを拒絶する。ある日、スィッダールトは刺客を雇ってプリトヴィーを暗殺しようとするが、彼は奇跡的に助かる。

 スィッダールトはスーラジを仲間に引き込もうとする。スーラジが躊躇すると、彼の恋人スィーマー(アニーシャ・アンジェリーナ・ヴィクター)を殺してしまう。スィッダールトは、武器密輸業者のチャールー(ブレンダン・フレイザー)と接触し、提携を結ぶ。プリトヴィーは回復し退院するが、スィッダールトは愛人のレイチェルと共に彼を殺してしまう。

 一方、警察官のラーガヴ(アバイ・デーオール)はスィナー家を破滅に追い込もうとしていた。彼はスィッダールトがプリトヴィーやスィーマーの死に関わったと考え、彼の行動を追跡する。そしてスーラジも仲間に引き入れる。スーラジはスィッダールトを罠にかけ、彼を殺す。スーラジは逮捕されるが、ラーガヴは彼の刑をなるべく軽くしようとする。また、スィッダールトの子供ネーハーを養子にしていいかスーラジに聞く。ネーハーは実はプリトヴィーの子供だった。

 アバイ・デーオールは出演作にこだわる俳優で、彼の出ている映画ならば観てみようという気にさせてくれる。ところが、意外にも「Line of Descent」での彼の役柄は、ヒーローではあったが、目立つ役ではなかった。この映画を支配していたのは、ローニト・ロイとニーラジ・カビーである。

 地上げなどを生業にするランドマフィア一家の内部抗争を描いた物語だが、登場人物はそれほど多くなく、人間関係も複雑ではない。もっと複雑にすることもできたと思うし、それを示唆するような点も散見されたが、1時間50分弱の比較的短い映画であり、それだけの上映時間の中ではなかなか細かいところまで描ききれなかったように感じられた。

 とにかく次男スィッダールトがエキセントリックな性格で、彼の言動が物語の動力源になっている。そしてスィッダールトを演じるニーラジ・カビーの演技が絶品で、彼のフルパワーの演技を楽しむことができる。それに対してローニト・ロイは沈着冷静な長男プリトヴィーを落ち着いた演技で演じ切っており、こちらの演技もまた素晴らしかった。スィッダールトの妻スジャーターはプリトヴィーと不倫関係にあり、スィッダールトの娘ネーハーは実はプリトヴィーの子供であることが最後に明かされる。この辺りの泥沼の人間関係がサラリとしか描写されていなかったのは残念だった。

 ブレンダン・フレイザー演じるチャールーは、脇役ながら重要な役だ。スィッダールトに武器を供給するばかりでなく、プリトヴィーやスーラジとも接触し、彼らの仲をかき回す。実はアンダーカバーの警察官だったというオチであった。

 「Line of Descent」は、マフィアの内部抗争を描いたマフィア映画ではあるが、筋書きは比較的単純で、ニーラジ・カビー演じるスィッダールトが大いに一家を掻き乱す。米国人俳優ブレンダン・フレイザーが出演している印米合作映画である点も特筆すべきである。ただ、あまり深みのない映画であった。