Bhaiaji Superhitt

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Bhaiaji Superhitt

 2018年11月23日公開の「Bhaiaji Superhitt」は、2000年代にA級スターとして活躍したがその後第一線から退いたような俳優が多く出演する、キャスティングに特徴のあるコメディー映画である。

 監督は「Right Yaaa Wrong」(2010年)などのニーラジ・パータク。主演はサニー・デーオール。ヒロインは2人おり、メインヒロインはプリーティ・ズィンター、サブヒロインはアミーシャー・パテール。他に、アルシャド・ワールスィー、シュレーヤス・タールパデー、サンジャイ・ミシュラー、パンカジ・トリパーティー、ジャイディープ・アフラーワト、エヴェリン・シャルマー、マノージ・ジョーシー、ランジート、ブリジェーンドラ・カーラーなどが出演している。

 ウッタル・プラデーシュ州ヴァーラーナスィーを支配するドン、3Dバイヤージー(サニー・デーオール)は、妻のサプナー(プリーティ・ズィンター)が家を出て行ってしまったために精神的に安定していなかった。精神科医ギャーン・プラカーシュ・ブッディサーガル(サンジャイ・ミシュラー)の助言に従い、ムンバイーから映画監督ゴールディー・カプール(アルシャド・ワールスィー)を拉致してきて、サプナーを呼び戻すために自分の人生を主題にした映画「Bhaiaji Superhitt」を作らせる。

 主演として、パンジャーブ州から3Dバイヤージーにそっくりなファニー・スィン(サニー・デーオール)を連れてくる。また、サプナー役を演じるヒロイン女優として、ボージプリー語映画女優マッリカー・カプール(アミーシャー・パテール)を起用する。3Dバイヤージーが映画を作っていることを知ったサプナーは撮影現場を見にくるが、そこで3Dバイヤージーとマッリカーがいちゃついているのを見て嫉妬する。サプナーは3Dバイヤージーに離婚も突き付ける。

 3Dバイヤージーのライバル、ヘリコプター・ミシュラー(ジャイディープ・アフラーワト)は、サプナーを拉致して3Dバイヤージーのマフィアを破滅に追い込もうとする。だが、3Dバイヤージーは救出に駆けつけ、ファニーやゴールディーと共に戦って、サプナーを助け出す。

 この事件をきっかけに3Dバイヤージーとサプナーは仲直りする。ファニーはマッリカーと共にそのまま映画に出演し、映画はスーパーヒットになった。崖から落ちたヘリコプターは瀕死の重傷を負う。ゴールディーは今度はヘリコプターの人生を題材に映画を撮ることを思い付く。

 この映画の企画は2011年から始まったようである。映画の撮影は2013年から行われたが、様々な紆余曲折があり、ようやく公開されたのは2018年だった。2018年の時点からこの映画を見ると、古いスターたちが出演しているように見えるが、公開が遅れたためにタイムカプセルのような作品になってしまったわけである。

 キャスティングでまず目を引くのはプリーティ・ズィンターがヒロインを務めていることだ。プリーティは2000年代のトップ女優の一人だった。「Dil Chahta Hai」(2001年)、「Kal Ho Naa Ho」(2003年)、「Koi… Mil Gaya」(2003年)、「Veer-Zaara」(2004年)など、2000年代を代表する名作に出演している。だが、2010年代に入ると出演作は激減し、2016年に米国人と結婚して米国に移住してしまった。よって、彼女の主演作は久々である。

 プリーティと同じくらいレアなのがアミーシャー・パテールである。アミーシャーも2000年代を代表するトップ女優で、サニー・デーオールと共演した「Gadar: Ek Prem Katha」(2001年)は大ヒットとなった。その後も多くの作品に出演したものの、いまいち上昇気流に乗れなかった。彼女をスクリーンで観るのも久しぶりだ。

 サニー・デーオールがダブルロールを演じていたのも珍しい。ヒンディー語映画界では、一定の名声を獲得したスター俳優はダブルロールに挑戦したがるものだが、彼がダブルロールを演じるのはこれが初となる。サニーも「過去の人」というイメージが強いが、それでも2010年代に入っても彼は時々映画に出演している。

 アルシャド・ワールスィーやシュレーヤス・タルパデーは元々脇役俳優であるが、芸の引き出しが多いアルシャドの方がより生き残っているといえる。それよりも、サンジャイ・ミシュラーやパンカジ・トリパーティーといった、脇役の中でもチョイ役の俳優たちの方が2010年代には台頭した。おそらく撮影時には彼らがそこまで伸びるとは思われていなかったはずである。

 映画の筋書きを見ると、サンジャイ・ダットの代表作である「Munna Bhai M.B.B.S.」(2004年)のシリーズとの共通点を見出せる。マフィアのドンが、喧嘩をして家を出た妻を一生懸命呼び戻そうとするドタバタ劇である。「Munna Bhai」シリーズでサンジャイ・ダット演じるムンナー・バーイーの腰巾着サーキットを演じたアルシャド・ワールスィーが出演していることも、その印象を強くさせる。

 2000年代にヒンディー語映画をよく観ていた人ならキャスティングは豪華に感じるかもしれないが、低予算映画の作りで、映像や編集から安っぽさを感じてしまう。ロジカルに鑑賞してはならない映画である。

 ヴァーラーナスィーを舞台としており、実際にヴァーラーナスィーの街の映像も出て来たが、実際にはラージャスターン州ウダイプル周辺で撮影が行われたようである。

 「Bhaiaji Superhitt」は、プリーティ・ズィンターやアミーシャー・パテールといった、2000年代のトップ女優たちを久々にスクリーンで観ることのできる作品である。ただ、彼女たちがカムバックしたというよりも、5年前に撮られたままお蔵入りしていた映画が2018年になってようやく公開まで漕ぎ着けただけだ。そしてそのような映画に多いのだが、完成度は著しく低い。彼女たちのファンでもなければ観るのは避けるべき映画である。