2016年10月23日にYouTubeのLarge Short Filmsが配信開始した短編映画「Ouch」は、マノージ・バージペーイー主演の不倫映画である。上映時間は14分ほどだ。
監督はニーラジ・パーンデーイ。「A Wednesday!」（2008年）や「Special 26」（2013年）などの優れたスリラー映画を撮ってきた才能ある監督である。主なキャストは2人のみで、主演のマノージ以外には、「Commando: A One Man Army」（2013年）のヒロイン、プージャー・チョープラーが出演している。
マノージ演じるヴィナイがとある高級ホテルにチェックインするところから映画は始まる。額には絆創膏が貼ってあるが、とりあえずなぜそうなっているのかは明かされない。素晴らしい展望のスイートルームでヴィナイが待っていると、プリヤー（プージャー・チョープラー）という名の女性が部屋にやって来る。二人にはそれぞれ配偶者がおり、不倫関係にあった。
この日、彼らは出会って3年目の記念日だった。しかも、お互いの配偶者に不倫相手のことを明かし、離婚を切り出すことを約束していた。ヴィナイはきちんと約束を守って妻に離婚を切り出し、そのために額に傷を負っていた。ところがプリヤーは言い出せず、ヴィナイとの関係はなかったことにしたいと言い出す。そしてプリヤーは立ち去ってしまう。後に残されたヴィナイは、妻に電話して離婚話を冗談だと言い、キャンセルしようとする。
こういう場合、女性の方が不倫にのめり込む一方、男性の方は怖じ気づいてしまって妻に離婚を切り出せないというパターンが多いように感じるが、「Ouch」では逆で、ヴィナイの方が梯子を外されてしまう。不倫をした上に不倫相手から裏切られる哀れな男性ヴィナイの刻一刻と変わる心情を、個性的な演技派男優マノージ・バージペーイーが見事に演じる様子を楽しむ短編映画だ。
ヴィナイの額に貼られた絆創膏が軽いサスペンス味をもたらしていたり、何度も掛かって来る母親からの電話がいいアクセントになっていたりと、短い映画ながら、ニーラジ・パーンデーイ監督の手腕が発揮されている。マノージのファンにはおすすめの佳作だ。
