Raaz: Reboot

3.5
Raaz Reboot

 ヒンディー語映画で初の本格的なホラー映画として知られる「Raaz」(2002年)は大ヒットとなり、その後、「Raaz: The Mystery Continues」(2009年)、「Raaz 3」(2012年)と続編が作られてきた。もっとも、ストーリー上やキャラクター上につながりのある続編ではなく、ホラー映画という共通点があるのみである。また、「秘密」という題名が示す通り、何らかの秘密が物語の原動力になっていた。

 2016年9月16日公開の「Raaz: Reboot」は、「Raaz」シリーズの第4作である。第4作まで作られたシリーズ物の映画はこれが初めてだ。監督は「Raaz」と「Raaz 3」を撮ったヴィクラム・バット。キャストは、イムラーン・ハーシュミー、ガウラヴ・アローラー、クリティ・カルバンダー、スザンナ・ムカルジー、アシュワト・バットなどである。

 リハーン・カンナー(ガウラヴ・アローラー)と妻のシャーイナー(クリティ・カルバンダー)は、ルーマニアに引っ越してきた。かつてリハーンとシャーイナーはルーマニアで出会い恋に落ちて結婚したが、しばらくムンバイーに住んでいた。リハーンがルーマニアで働き口が見つかったため、シャーイナーの強い要望でルーマニアに転勤したのだった。リハーンとシャーイナーが住居にしたのは築100年以上の古い豪邸だった。

 ところがルーマニアに着いたときからリハーンはシャーイナーに冷たく当たるようになっていた。また、シャーイナーは幽霊の影に怯えるようになる。1ヵ月後、シャーイナーは悪霊に取り憑かれてしまう。リハーンの友人たちはサイコメトラーのトリローク・シャーストリー(アシュワト・バット)を紹介する。トリロークはサイコメトリーを使ってシャーイナーの身に何が起こったのかを探る。

 サイコメトリーにより、シャーイナーはこの1ヵ月間、元恋人のアーディティヤ(イムラーン・ハーシュミー)と会っていたことが分かる。実は4年前、リハーンはアーディティヤを殺していた。アーディティヤの霊はリハーンへの復讐のため、シャーイナーの身体を乗っ取っていたのだった。

 トリロークはマントラを唱えてシャーイナーの身体からアーディティヤの霊を取り除こうとする。アーディティヤは必死で抵抗するが、最後にはシャーイナーの身体から出ていき、彼女は正気を取り戻す。

 キリスト教文化圏を舞台にした憑依モノのホラー映画だった。ホラー映画の発展のために新しい提案がなされているわけでもなく、ヴィクラム・バット監督の映画にありがちな、映像と音で観客を怖がらせるタイプの原始的なスタイルである。ヒロインのシャーイナーに取り憑いた悪霊はキリスト教の神父には手に負えなかったが、ヒンドゥー教のマントラによって追い払われるという結末はいかにもインドらしかった。

 ホラー映画は、あまり深いことを考えずに楽しめるのがいいところだと思うのだが、「Raaz: Reboot」は時間軸がややこしい映画だった。まずはリハーンとシャーイナーがルーマニアに引っ越してくる2016年1月1日から始まり、すぐに2月2日に飛ぶ。シャーイナーが完全に身体を悪霊に乗っ取られるのはこの日だが、そこから過去の1ヵ月間に彼女の身に何が起こったのかを明かす長い回想シーンが差し挟まれる。そして一旦2016年2月に戻った後、今度は2012年に起こった出来事が語られる。このように時間があちこち飛ぶので、きちんと追っていないと混乱してしまう。

 「Raaz」シリーズのお約束である「秘密」であるが、リハーンとシャーイナーそれぞれに秘密を抱えていた。シャーイナーはアーディティヤという元恋人がいることをリハーンに明かしておらず、リハーンはアーディティヤを殺したことをシャーイナーに明かしていなかった。カップルがお互いに秘密を隠したことが連鎖反応を起こして、今回の事件につながったのだった。

 イムラーン・ハーシュミーは第2作「Raaz: The Mystery Continues」、第3作「Raaz 3」と出演し、この第4作にも起用された。前2作では主役であったが、今回はシャーイナーの元恋人にして悪霊を演じていた。しかしながら、一番目立つ役でもあり、「連続キス魔」の異名通り、しっかりクリティ・カルバンダーとキスもしていた。英語を使って罵倒するインド人の悪霊というのは少し斬新に感じた。

 クリティ・カルバンダーはデリー生まれのパンジャービーながら南インド映画界で活躍していた女優で、今作がヒンディー語映画デビュー作となる。悪霊に乗っ取られ、顔を引きつらせたり生気を失ったり、相当いじられる役柄であったが、体当たりの演技でこなしていた。今回は極端な役での起用だったが、ヒロイン女優として伸びていく可能性はある。一方、ガウラヴ・アローラーは「Love Games」(2016年)でデビューした男優ではあるが、将来性は感じなかった。

 「Raaz: Reboot」は、ヒンディー語映画界にホラー映画というジャンルを定着させた立役者「Raaz」シリーズの第4作である。ヴィクラム・バット監督のホラー映画によくありがちなストーリーで目新しさはなく、時間軸が入り組みすぎていたのが難点だが、ホラー映画としての出来は悪くなかった。イムラーン・ハーシュミー演じる悪霊にも注目である。