Hate Story

3.5
Hate Story

 2012年4月20日公開の「Hate Story」は、良質なB級映画を量産するバット・キャンプお得意のエロティックなスリラー映画である。プロデューサーはヴィクラム・バット、監督は「Dhan Dhana Dhan Goal」(2007年)のヴィヴェーク・アグニホートリー。

 主演はベンガル語映画女優パーオリー・ダーム。ヒンディー語映画出演は初となる。他に、ニキル・ドゥイヴェーディー、グルシャン・デーヴァイヤー、モーハン・カプール、ジョイ・セーングプター、サウラブ・ドゥベー、イラーワティー・ハルシェーなどが出演している。

 舞台はデリー。新聞記者のカーヴィヤー・クリシュナ(パーオリー・ダーム)は、相棒のヴィッキー(ニキル・ドゥイヴェーディー)と共に、セメント大手セメンティック・インフラ社の不正を暴き、名を上げる。セメンテック・インフラ社のスィッダールト・ダンラージギール会長(グルシャン・デーヴァイヤー)はカーヴィヤーをデートに誘い、彼女を雇用した上で、恋に落ちた演技をする。そしてカーヴィヤーがスィッダールトを真剣に愛するようになったところで彼女を冷酷に突き放す。

 失恋から立ち直れないカーヴィヤーは、スィッダールトの子を身籠もっていることに気付く。カーヴィヤーはそれを使ってスィッダールトを脅そうとするが、彼はカーヴィヤーを誘拐し、強制的に堕胎手術をした上に、二度と子供を産めない身体にしてしまう。カーヴィヤーはスィッダールトへの復讐を誓い、高級娼婦から男を誘惑する術を学ぶ。そして、セメンテック・インフラ社のラージデーヴ・スィン社長(ジョイ・セーングプター)を誘惑し、彼から会社の機密情報を盗み出す。カーヴィヤーの暗躍により、セメンテック・インフラ社は大きな損害を被る。カーヴィヤーの仕業であることを知ったスィッダールトはカーヴィヤーの家に隠し隠しカメラを仕掛けるが、カーヴィヤーはそれを逆に利用してさらにスィッダールトを窮地に追い込む。

 ラージデーヴはスィッダールトの放った刺客に殺される。容疑者としてカーヴィヤーは逮捕されるが、彼女はマロートラー大臣(モーハン・カプール)をも誘惑し、すぐに保釈される。そして、大臣の口利きによってセメンテック・インフラ社理事会の理事に就任する。カーヴィヤーは同社の会計を精査する権利を得て、大きな不正を発見する。

 スィッダールトは、カーヴィヤーの親友ヴィッキーを誘拐し、年次総会への出席を阻止しようとするが、ヴィッキーは逃げ出し、カーヴィヤーに連絡する。カーヴィヤーは年次総会でセメンテック・インフラ社の不正を暴き、株価を暴落させる。スィッダールトは、父親のクマール・ダンラージギール(サウラブ・ドゥベー)から解任され、警察に逮捕される。

 カーヴィヤーの復讐は成ったが、死んだラージデーヴの妻アルチャナー(イラーワティー・ハルシェー)によって殺されてしまう。

 大手セメント会社の経営者スィッダールトによって全てを奪われた女性カーヴィヤーが、女性の武器を最大限に使って彼に対する復讐を成就するエロティックな復讐劇であった。聡明な女性が目標を強固に持ち、尊厳を売り払うことを厭わずに、その達成に向けて突き進めば、どんなことでもできてしまうというストーリーになっていた。ただ、因果応報の法則はスィッダールトのみならずカーヴィヤーの身にも降りかかる。スィッダールトへの復讐のために利用したラージデーヴの妻アルチャナーが、今度はカーヴィヤーを復讐の対象とし、最後にはカーヴィヤーはアルチャナーに殺されてしまうのである。

 奥手だったカーヴィヤーが、高級娼婦から誘惑術を学び、利用価値のある男性たちと次々に寝て目的を達成する筋書きは、B級映画の雄バット・キャンプの面目躍如だ。しかも、カーヴィヤーは元々ジャーナリストをしていた頭脳明晰な女性であり、美貌と頭脳が揃うことでどんな男性も思いのままにコントロールできてしまう。そんな馬鹿な、とは思いつつも、カーヴィヤーがスィッダールトの首を真綿で締め上げていくような展開はスリリングであった。

 グルシャン・デーヴァイヤー演じるスィッダールトの人物設定もなかなか手が込んでいた。単に女性を使い捨てにするプレイボーイではなく、グループのトップに君臨する厳格な父親を怖れる臆病な息子としての姿も表現しており、奥行きのあるキャラになっていた。スィッダールトは、普段は雄弁なのだが、父親の前に出るとどもってしまう癖があるのも、いい味付けだった。悪役が光ることで復讐劇は面白くなる。

 カーヴィヤーの相棒ヴィッキーの存在は弱かった。カーヴィヤーへの恋心を抑えながら、常に彼女を支え続けており、復讐の鬼と化した彼女をも最終的には受け入れた。カーヴィヤーにとって最後まで「都合のいい男」で終わってしまっていた。

 主演のパーオリー・ダームは、肌見せやベッドシーンにも果敢に挑戦し、観客の視線を釘付けにした。彼女を中心にこの映画は成立したといっても過言ではない。

 「Hate Story」は、ヴィクラム・バットがプロデュースの、エロティックな復讐劇である。ベンガル語映画女優パーオリー・ダームがセクシーな演技に果敢に挑戦した。物語も極端ながらよく出来ており、飽きることはない。興行的にもまずまずの成績を収め、続編も作られた。この種のセクシー系映画としては成功した部類に入る作品だ。