ホラー映画はインド映画の最近の流行である。世界一の映画大国インドで今まであまりホラー映画が作られてこなかった方が不思議なくらいだ。お化けとか妖怪という概念はインドにもあり、ブートと言えばお化け、ラークシャスやピシャーチュと言えば鬼とか妖怪、アートマーやパルマートマーと言えば魂など、いろいろな分類もある。今日PVRアヌパム4で観た「Darna Mana Hai(恐怖は禁止)」はインド製ホラー映画の最新作である。2003年7月25日公開の映画だ。
プロデューサーはラーム・ゴーパール・ヴァルマー、監督はプラワール・ラマン。キャストは、サイフ・アリー・カーン、ヴィヴェーク・オーベローイ、ナーナー・パーテーカル、ボーマン・イーラーニー、サンジャイ・カプール、シルパー・シェッティー、ソハイル・カーン、アンタラー・マーリー、サミーラー・レッディー、ラージパール・ヤーダヴ、アーフターブ・シヴダーサーニー、イーシャー・コッピカル、ピヤー・ラーイ・チャウダリー、レーヴァティー、ラグビール・ヤーダヴ、ガウラヴ・カプールなど。
映画の副題は「Six Stories One Ending」。オムニバス形式の映画で、6つの小話で構成されている。ただ、見てみて思ったのは、この映画はホラー映画というよりは、「世にも奇妙な物語」のような、不思議で面白い話を集めたような映画だった。映像で語っていくタイプの話の運び方だったので、ヒンディー語が分からなくてもけっこう楽しめる映画だと感じた。簡単にあらすじを書いておく。
ムンバイーからゴアへ向かおうと、七人の若者たちが真夜中林道を車でに乗って走っていた。ところが途中でタイヤがパンクしてしまう。修理道具を持って来なかったため、他の車が通りかかるのを待つが、何も来る気配はない。車を降りると空気は非常に冷たい。その内一人が森の中に家の灯りらしきものを見つけたので、助けてもらおうと一人を車に残して七人はその灯りを目指して森の中を歩いた。 たどり着いた先には廃墟があった。そこで六人は焚き火を囲んで怖い話を語り始める。ひとつのストーリーが終わるごとに一人ずつ車の方へ去っていくが、誰も帰ってこなかった。6つのストーリーが終わったとき何かが起こる・・・!
6つのストーリーを簡単に説明すると、「真夜中人気のない森をドライブするカップルの話」、「愛煙家が禁煙狂ホテルに宿泊する話」、「ある日突然宿題をちゃんとやって来るようになった生徒を恐れる教師の話」、「食べるとリンゴになってしまう不気味なリンゴの話」、「墓場で乗り込んできた幽霊の話」、「神様から超能力を授かったさえない男の話」である。それぞれの小話では割と有名な俳優が出演していたりして、実は豪華キャストの映画だった。
ひとつひとつの小話ははっきり言ってしょうもない内容なのだが、ヒンディー語映画でこういうオムニバス形式の映画というのは目新しかったのでよしとする。敢えてお気に入りの小話を挙げるとすれば、サイフ・アリー・カーンが出ていた喫煙狂ホテルの話と、サイコな教師の話だろうか。ただ、小話ではなく全体の話の最後のまとめ方は最悪だった。確かにまとめるのは難しいとは思うのだが、もっとインド映画的な解決方法を模索してもらいたかった。
ちなみに、ホラー映画にミュージカルシーンは必要ないとやっと理解してもらえたようで、「Bhoot」(2003年)に引き続きノー・ミュージカルの映画だった。ただ、こうなって来ると音楽CDが売れないため、少し映画制作のシステムを変えないといけなくなってくるのではないかと別の心配をしてしまう。