De De Pyaar De 2

3.0
De De Pyaar De 2
「De De Pyaar De 2」

 2025年11月14日公開の「De De Pyaar De 2」は、題名の通り、「De De Pyaar De」(2019年)の続編である。インド映画の「続編」には、前作とストーリー上のつながりのない続編が多いのだが、この「De De Pyaar De 2」については、前作の直後からストーリーが始まる。一応冒頭で前作までのあらすじが語られるが、「De De Pyaar De」を復習してから観るのがお勧めである。

 プロデューサーはブーシャン・クマールやラヴ・ランジャンなど。前作と変わっていない。だが、監督はアキーヴ・アリーから「Saare Jahaan Se Mehnga…」(2013年)のアンシュル・シャルマーに交代している。

 主演はアジャイ・デーヴガンとラクル・プリート・スィンのままである。また、脇役で出演していたジャーヴェード・ジャーファリーも続投している。新たにメインキャストに加わったのはRマーダヴァン、ミーザーン・ジャーファリー、ガウタミー・カプールなどである。ちなみに、「Malaal」(2019年)などに出演のミーザーンはジャーヴェードの息子で、現在売り出し中である。この父子共演は初だ。

 他に、イシター・ダッター、タルン・ゲヘロート、サンジーヴ・セート、スハースィニー・ムレー、エーカーヴァリー・カンナー、メーナカー・アローラー、グレイシー・ゴースワーミー、アンヴェーシャー・ヴィージなどが出演している。

 ロンドン在住の51歳アーシーシュ・メヘラー(アジャイ・デーヴガン)は、前妻マンジュー(タブー)との離婚をまとめ、27歳のアーイシャー・チャウダリー(ラクル・プリート・スィン)と結婚することになった。だが、その前にアーイシャーの両親にも挨拶しなければならなかった。アーイシャーはタイミングを見計らうため、先にチャンディーガルにある実家に戻る。

 実家ではちょうど、アーイシャーの兄ローハン(タルン・ゲヘロート)の妻キットゥー(イシター・ダッター)が臨月を迎えていた。父親ラーケーシュ(Rマーダヴァン)と母親アンジュ(ガウタミー・カプール)は孫の誕生を待ち望んでいた。アーイシャーは、孫出産の慶事にアーシーシュのことを両親に話そうと考える。だが、キットゥーが口を滑らし、アーイシャーがかなり年の差のあるバツイチの男性と半年間同棲しており、これから結婚していようとしていることがばれてしまう。ラーケーシュとアンジュは、教養があり進歩的で現代的な両親を自負しており、表向きはアーイシャーの結婚相手を寛大に受け入れようとする。だが、実際にアーシーシュに会ってみると、年の差はちょっとやそっとではなく、ラーケーシュやアンジュと同世代だった。二人はさすがに困惑する。

 そうこうしている内にキットゥーが産気づき、病院で女児を生む。だが、ラーケーシュは赤ちゃんをアーシーシュに抱かせようとしなかった。その後のパーティーでもラーケーシュは参加者に殴りかかる失態を犯す。父親と口論になったアーイシャーは怒ってアーシーシュと共にロンドンに帰ってしまうが、ラーケーシュはロンドンまで追いかけていきアーシーシュに謝罪する。そして、出産を祝うパーティーに彼らと、アーシーシュの親友ラウナク・モールター(ジャーヴェード・ジャーファリー)を招待する。

 アーシーシュ、アーイシャー、ラウナクは、農村にあるラーケーシュの実家を訪れる。そこには多くの親戚が集っていた。ラーケーシュはアーシーシュを、自分の大学時代の友人だと紹介し、アーシーシュもそれを受け入れる。そこへ、ラーケーシュの親友の息子アーディティヤ(ミーザーン・ジャーファリー)がやって来る。アーイシャーとアーディティヤは幼馴染みだった。ラーケーシュはアーイシャーをアーシーシュから引き離し、なるべくアーディティヤと一緒に居させる。あるとき、アーシーシュはアーイシャーとアーディティヤがキスしているのを目撃してしまう。アーシーシュは潔く身を引き、ロンドンに帰る。後に残されたアーイシャーはアーディティヤにプロポーズし、二人の結婚が決まった。これは、ラーケーシュとアンジュの思惑通りだった。

 だが、アーディティヤとの結婚の直前、アーイシャーはやはりアーシーシュを愛していると母親に告白する。それを電話越しに聞いたラーケーシュは罪悪感にさいなまれ、ロンドンまでアーシーシュを連れに行くことを決める。一方、アーシーシュもラウナクに説得され、アーイシャーを奪い取る決意をし、インドへ向かう。空港でラーケーシュはアーシーシュと合流し、二人は結婚式場に向かう。そして、アーイシャーがアーディティヤと結婚するのを止める。実は、これは全てアーイシャーが仕組んだことであり、ラーケーシュを翻弄し、アーシーシュを試したのだった。こうしてアーシーシュとアーイシャーは結婚する。

 前作「De De Pyaar De」は年の差カップルをネタにしたラブコメだったが、その続編となる本作でもそのネタは踏襲されている。51歳のアーシーシュが27歳のアーイシャーと結婚するにあたり、前作ではアーシーシュ側の家族、特に前妻に認めてもらわなければならなかったが、本作では今度はアーイシャー側の家族から認めてもらうまでを描いている。やはり二人の結婚の障害になったのは二回りほど違う年齢差だ。アーシーシュは、アーイシャーの両親であるラーケーシュとアンジュと同年代であり、普通ならばこれは容易に認められない結婚であった。

 おかしいのはラーケーシュとアンジュが「教養があり進歩的で現代的」であることを自負し、そのように振る舞っていたことである。よって、アーイシャーがアーシーシュと結婚することを頭ごなしに否定したりはしなかった。だが、表向きは認めるような振りをして、裏では権謀術数を駆使し、アーイシャーがアーシーシュとの結婚を思い止まるように誘導しようとする。ラーケーシュがアーイシャーの人生に送り込んだ刺客が、幼馴染みのアーディティヤであった。アーディティヤとアーイシャーは年齢も近く、幼馴染みなだけあってウマが合い、とうとう二人はキスしてしまう。そしてタイミング悪くそれをアーシーシュに見られてしまう。ショックを受けたアーシーシュはアーイシャーとの結婚を諦め、去って行く。

 だが、実はアーディティヤとのキスは、アーシーシュとの結婚をラーケーシュに認めてもらうためにアーディティヤなどを巻き込んででっち上げたものであった。そうすることでアーイシャーは、アーシーシュからは自分との結婚を積極的に選ぶ気概を引き出したかったし、ラーケーシュからは世間体よりも娘の選択と幸せを尊重する決断を引き出したかった。それはまんまと成功し、翻弄されたラーケーシュとアーシーシュはなぜか一緒にアーイシャーにアーディティヤとの結婚を思い止まるように懇願することになる。

 「De De Pyaar De 2」は、どちらかといえば父親を教育する映画であった。最愛の娘が、世間体的にふさわしくない結婚相手を選ぼうとしたときに、どういう態度を取るべきか。「娘の幸せ」を言い訳にして娘のその選択を拒絶し妨害すべきなのか。もし娘を守りたいと思うならば、その選択によってトラブルに直面したときに支えてあげればいいのであって、選択そのものを排除する必要はあるだろうか。そんな重要なメッセージが発信されていた。ラーケーシュを演じたRマーダヴァンの名演技も、このメッセージを強固にしていた。

 一方、主演のはずのアジャイ・デーヴガンは、今回はRマーダヴァンにお株を奪われていたと感じた。アーイシャーとの結婚にもどこか及び腰で、その弱気な態度がアーイシャーを不安にさせ、密かに彼に試練を課すことになったのだといえる。

 ヒンディー語映画ファンならば、映画のあちこちにちりばめられた細かいパロディーやオマージュに気づくだろう。アジャイ・デーヴガン関連では「Hum Dil De Chuke Sanam」(1999年/邦題:ミモラ 心のままに)、彼の妻カージョル関連では「Dilwale Dulhania Le Jayenge」(1995年/邦題:シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット大作戦)、Rマーダヴァン関連では「Shaitaan」(2024年)などに言及されていたし、エンドクレジットでは「5 Rifles」(1974年)の人気曲「Jhoom Baraabar Jhoom Sharaabi」のリメイク曲が使われていた。もちろん、ジャーヴェードとミーザーンの親子ネタもあった。

 「De De Pyaar De 2」は、前作に引き続き二回りの年の差カップルを題材にしたラブコメである。ただ、あまりに年齢差ネタがしつこく続くので、だんだんアジャイ・デーヴガン演じる51歳の初老男性がかわいそうになってきて、気持ちよく笑うことができなかった。それでも、娘の選択を信じる父親像が支持されており、その点は新たな価値観が加わっていたと感じた。興行的には前作を下回っており、失敗作とされている。