ナンバープレート

 インドの公道を走行する車両には、日本と同様にナンバープレートが付いている。映画の話にナンバープレートがなぜ関係しているのか不思議に思う読者がいるかもしれないが、ナンバープレートはインドの映画メーカーたちがこだわっている点であるし、映画のストーリーに絡む重要な情報源になることもあるため、無視できない。

 ナンバープレートのコードの付け方は時代によって異なるが、近年では大体、英語のアルファベット2文字から始まる数桁の数字または英字になっている。

救急車
「TN01J3852」がナンバープレート
「ECNALUBMA」とは「Ambulance(救急車)」のこと
バックミラーで見たときに救急車両であることが
分かるように左右反対に書かれている
オートリクシャー
オートリクシャーの車体にもナンバーが書かれている
バイク
インドのバイクには前面にもナンバープレートが付く
バス
古い車両のナンバープレートは英語アルファベット3文字から始まった

 ナンバープレートの最初の英語アルファベット2字は、その車両が登録された州を示している。よって、走行している車両のナンバープレートを見れば、どの地域の物語なのかを予想することができる。インド映画においてナンバープレートが重視される最大の理由はこれである。

 南インド映画界では、同じ映画を複数の言語で撮影するという凝った手法が採られることがあるが、その際にもナンバープレートの付け替えが行われるという。例えば、タミル語映画として撮影する際には、タミル・ナードゥ州を舞台にしているという建前になるため、カメラに写る車両全てにタミル・ナードゥ州のナンバープレートを付ける。次に同じシーンをテルグ語映画として撮影する際には、舞台はアーンドラ・プラデーシュ州やテランガーナ州になるはずで、車両のナンバープレートをアーンドラ・プラデーシュ州やテランガーナ州のものに付け替えるのである。そうしないと観客は変だと感じてしまう。

 ナンバープレートの州コードは以下の通りである。各州や連邦直轄地の詳細については州と連邦直轄地を参照のこと。

記号政体所属備考
AN連邦直轄地アンダマン&ニコバル諸島
APアーンドラ・プラデーシュ
ARアルナーチャル・プラデーシュ
ASアッサム
BHバーラト(インド全国登録)
BRビハール
CH連邦直轄地チャンディーガル
CGチャッティースガル
DD連邦直轄地ダードラー&ナガル・ハヴェーリーとダマン&ディーウ
DL連邦直轄地デリー
DN連邦直轄地ダードラー&ナガル・ハヴェーリー廃止
GAゴア
GJグジャラート
HRハリヤーナー
HPヒマーチャル・プラデーシュ
JK連邦直轄地ジャンムー&カシュミール
JHジャールカンド
KAカルナータカ
KLケーララ
LA連邦直轄地ラダック
LD連邦直轄地ラクシャドゥイープ
MPマディヤ・プラデーシュ
MHマハーラーシュトラ
MNマニプル
MLメーガーラヤ
MZミゾラム
NLナガランド
ODオリシャー
ORオリッサ廃止
PY連邦直轄地プドゥチェリー
PBパンジャーブ
RJラージャスターン
SKスィッキム
TNタミル・ナードゥ
TSテランガーナ
TRトリプラー
UPウッタル・プラデーシュ
UAウッタラーンチャル廃止
UKウッタラーカンド
WB西ベンガル

 インド映画を鑑賞する際、車両のナンバープレートは、どの地域、どの都市の物語なのかを示す重要な手掛かりになる。逆に、それを曖昧にしたい場合は、敢えてナンバープレートをはっきり映さないカメラワークが採られることがある。当然ながら、ひき逃げ事件などを扱う映画では、ナンバープレートは犯人特定の手掛かりになるため、物語の中で重要な役割を担うことがある。

 ナンバープレートが映画の題名にまでなっているものといえば、「Taxi No. 9211」(2016年)が挙げられる。「MH01C9211」というナンバープレートのタクシーを運転する運転手が主人公の物語であった。

Taxi No. 9211