Social Mandiya

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Social Mandiya
「Social Mandiya」

 2021年8月21日からAmazon Prime Videoで配信開始された「Social Mandiya」は、SNSを使って有名になろうと画策する仲良し三人組の物語である。インドではSNSは「ソーシャルメディア」と呼ばれるが、「メディア」の部分を「市場」という意味のヒンディー語「मंडीマンディー」の派生語で置き換え、題名としている。

 監督は新人のヴィヴェーク・シャルマー。キャストは、サンディープ・シャルマー、ヴィカルプ・メヘター、ニシャーント・クマール、ジャイシュリー・ナーグリーワール、トリシュナー・スィン、ルチター・シャルマーなどだが、全く聞いたことがない俳優たちばかりだ。

 ジャイプル在住のバナー(サンディープ・シャルマー)、アッキー(ヴィカルプ・メヘター)、チャマン(ニシャーント・クマール)は仲良し三人組だった。バナーは「ジュガールー」の異名を持ち、強力な人脈を使って何でも思い通りにする力を持っていた。さらに、不正が許せず、道端で見掛けた違反者を私的に注意して回っていた。バナーは三人の中では唯一既婚で、アペークシャー(トリシュナー・スィン)という妻がいた。アッキーはミュージシャン志望だったが、オーディションに落ちてばかりだった。チャマンは詩人志望だが、どの出版社も彼の詩集に興味を示さなかった。

 アッキーとチャマンはTikTokを使って有名になろうとする。録画中にアッキーは交通事故に遭うが、バナーがTV局の友人に一声掛けると、その動画はたちまちバズり、アッキーのフォロワーが急増した。アッキーは近所に住むトゥインクル(ジャイシュリー・ナーグリーワール)に恋していたが、動画がバズったおかげで仲良くなることができる。ところが、モーディー首相がTikTokの使用を禁止したことで、元の木阿弥になってしまう。しかも、トゥインクルの父親がムンバイーに転勤となり、離れ離れになることが決定する。アッキーは落ち込む。

 バナーとアペークシャーはプシュカルに行こうとするが、アッキーとチャマンも付いてくる。プシュカルでアッキーは偶然トゥインクルと出会う。トゥインクルは親友のルチター(ルチター・シャルマー)を連れていた。ルチターは司会者をしていた。チャマンはルチターと仲良くなる。

 アッキーのコンサートが開催されることになり、バナー、アペークシャー、トゥインクル、チャマン、ルチターはSNSを使って宣伝する。アッキーは、バナーが日頃から行ってきた軽犯罪への私的な注意を歌にし披露する。

 1時間40分ほどの映画で、インド映画の尺度からは短い映画になる。おそらく元々はもっと長い映画だったのだろうが、何らかの理由で随分カットされてしまったと思われる。なぜならストーリーに整合性が取れない部分があったからである。たとえば、バナーの妻アペークシャーは中盤になって突然登場する。バナー、アッキー、チャマンの三人がなぜ仲が良いのかも全く説明がない。見たところバナーが一番年上で、兄貴分のような存在だったが、どうやって彼らがここまで仲良くなったのか、少し説明が必要だろう。

 バナーのキャラも謎である。彼は道端で見掛けた軽犯罪を注意して回ることを日課にしていた。たとえばバイクのノーヘルや定員外乗車違反、ポイ捨てや立ちションなどである。しかしながらバナーは、コネを使って裏から物事を動かすことに長けており、「間に合わせで何とかする」という意味の「ジュガール」から派生して、「ジュガールー」と呼ばれていた。バナーはジュガールをしているとき、良心の呵責を感じないのだろうか。

 ミュージシャン志望のアッキーがなぜか成り行きでコンサートをすることになり、それがクライマックスに設定されていた。アッキーと仲間たちは、SNSを駆使してコンサートの宣伝した。それにもかかわらず、彼はSNSを批判的に歌っている。映画の最後にもSNSに過度に依存した現代人への警鐘が鳴らされていた。つまり、若者文化としてのSNSをありのままに描いていたにもかかわらず、最後にはSNS批判に回り、梯子を外している。むしろ、大した計画なしに作り始められた杜撰な映画ではなかろうか。

 もっとも、無名の監督と無名の俳優による低予算映画であり、最初から多くを期待して観てはいけない。事前の期待が低ければ低いほど、最後まで見通せる確率が上がるだろう。そんな駄作ではあるが、特筆すべき点もある。

 それは、インド政府によるTikTokの禁止がストーリーに組み込まれていたことだ。モーディー政権は2020年6月29日に、TikTokを含む中国製のアプリをインド国内で使用禁止とした。そのおかげで、映画の中ではTikTokで多くのフォロワーを得ていた主人公たちは痛い目に遭うというのがオチになっている。時事ネタをストーリーの転換点に採用したために、時代を記録する役割は担うことになった。

 「Social Mandiya」はSNSが主題の若者映画だが、全てが中途半端で、しかも支離滅裂である。TikTok禁止令がストーリーに組み込まれている点だけ特筆すべきだが、あとは観るだけ無駄な作品である。