Bamfaad

3.0
Bamfaad

 2020年4月10日からZee5で配信開始された「Bamfaad(爆発的な)」は、若手の俳優を主演に据えながらも、イラーハーバードを舞台にした破滅的な恋愛を描いたロマンス映画であり、高く評価されている。

 監督は新人のランジャン・チャンデール。キャストは、アーディティヤ・ラーワル、シャーリニー・パーンデーイ、ヴィジャイ・ヴァルマー、ジャティン・サールナー、サナー・アミーン・シェーク、ヴィジャイ・クマールなどである。

 舞台はウッタル・プラデーシュ州イラーハーバード。ナースィル・ジャマール(アーディティヤ・ラーワル)は大学の試験漏洩などをするトラブルメーカーだった。父親のシャーヒド・ジャマール(ヴィジャイ・クマール)は政治家とも近い有力者だったが、息子に手を焼きながらも可愛がって育てていた。

 ある日、ナースィルはニーラム(シャーリニー・パーンデーイ)という女性と出会い、恋に落ちる。ところが、ニーラムは地元の政治家ジガル・ファリーディー(ヴィジャイ・ヴァルマー)の愛人だった。元々ナースィルはジガルから目を付けられていたが、遂に彼は標的となる。ナースィルはジガルの策略に掛かって発電所を破壊し、ジガルの手下を殺してしまう。ナースィルはニーラムを連れてイラーハーバードから逃げ出すが、カーンプルでニーラムは警察に捕まってしまう。

 ナースィルはイラーハーバードに舞い戻るが、既に母親は死んでおり、父親も殺されてしまう。ナースィルはジガルの家に突入し、彼と取っ組み合いをする。そこへ駆けつけたニーラムは銃を奪ってジガルを撃つ。重傷を負ったジガルは二人を逃がす。だが、ナースィルは妹を一人残して行けず、ニーラムだけを逃がす。そして警察に自首する。

 イラーハーバード、ラクナウー、カーンプルなど、ウッタル・プラデーシュ州の街や路地裏で実際に撮影が行われており、写実的な映像と台詞回しが魅力の映画だった。時代は現代ながら、どことなく封建主義的なシステムが残っており、人々は普通にライフルや銃を持って、力が全ての世界を生きている。その中でナースィルは愛するニーラムを手に入れるために奮闘する。

 ただ、すぐに銃撃戦が始まるようなギャング映画ではない。地元で権勢を誇る政治家ジガルも冷静な人間で、手当たり次第に人を殺したりはしない。選挙も近づいており、なるべく穏便に済ませようと努力する。ジガルの前ではナースィルは単なるガキではあったが、憤ったときの彼の突破力はすさまじく、ジガルにも物怖じせず堂々と対峙する。

 ロマンス映画ではあるが、結末では敢えて愛するニーラムとの別れを選んだ。ナースィルにはまだ小さな妹がおり、ニーラムとの逃避行を選ぶことは妹を見捨てることになったからだ。また、ジガルを撃ったのはニーラムであった。ジガルが生き残ったかどうかは不明だが、おそらくナースィルはニーラムの罪もかぶるつもりで自首したと思われる。そして、別れ際に彼女に「いつか必ず見つけ出す」と約束する。

 主演のアーディティヤ・ラーワルは「Ferrari Ki Sawaari」(2012年/邦題:フェラーリの運ぶ夢)に出演していたようだが、ほぼ新人の俳優だ。ハンサムではないが特徴のある顔をしている。ヒロインのニーラムを演じたシャーリニー・パーンデーイはテルグ語映画界やタミル語映画界で活躍する女優だ。デビュー作の「Arjun Reddy」(2017年)は大ヒットとなり、「Kabir Singh」(2019年)としてヒンディー語リメイクされた。「Bamfaad」は彼女のヒンディー語デビュー作になる。

 主演の二人はまだ経験の浅さも感じたが、この映画に重みを加えていたのは、ジガルを演じたヴィジャイ・ヴァルマーである。「Monsoon Shootout」(2017年)などに出演していた男優であり、細身ながら迫力のある演技ができる人物だ。また、ナースィルの父親シャーヒドを演じたヴィジャイ・クマールや、ナースィルの親友ザーヒドを演じたジャティン・サールナーも好演していた。

 「Bamfaad」は、ウッタル・プラデーシュ州のリアルな路地裏を舞台に、地元の有力者に立ち向かって自分の愛する女性を手に入れようとする若者を主人公にしたハードボイルドなロマンス映画である。派手さはないが渋い佳作である。