Beiimaan Love

1.5
Beiimaan Love

 インド系カナダ人の元AV女優で、AV女優引退後、ヒンディー語映画界に殴り込みをかけたサニー・リオーネは瞬く間にインド人男性の間で人気になった。ただ、やはりAVの演技と映画の演技は異なり、デビュー当初は個人的な人気と話題のみが先行して、ヒット作には恵まれなかった。このまま一過性で終わるかと思われたが、「Ragini MMS 2」(2014年)の挿入歌「Baby Doll」が大ヒットになったことが起爆剤になり、さらに多くの映画に出演することになる。2016年10月14日公開の「Beiimaan Love(不貞な恋)」も、サニー・リオーネの人気に完全に乗っかったエロティックなサスペンス映画である。

 監督は新人のラージーヴ・チャウダリー。主演はサニー・リオーネで、相手役を務めるのはラジニーシュ・ドゥッガルである。また、サニーの夫ダニエル・ウェバーが重要な役で起用されている。彼が映画に出るのは初めてである。他に、ユヴラージ・スィン、ゼイシャ・ナンシー、ラージーヴ・ヴァルマー、アヴタール・ギルなどが出演している。

 宝飾品企業KKジュエリーを経営するKKマロートラーの息子ラージ(ラジニーシュ・ドゥッガル)は、父親のビジネスに全く関心がなく、毎日遊び歩いていた。ラージの姉の夫モニーシュ(ユヴラージ・スィン)が実質的な後継者と目されていた。

 ある晩、ラージはバーでスナイナー(サニー・リオーネ)という美女と出会う。ラージはスナイナーを口説こうとするが、スナイナーから平手打ちを喰らってしまう。それ以来、ラージはスナイナーのことが忘れられなくなり、彼女を探し回るが見つからない。ところがある日、スナイナーがKKジュエリーのビルから出て来るのを目にする。なんとスナイナーはKKジュエリーで働いていた。ラージはモニーシュと賭けをする。もし10日以内にスナイナーと寝なければラージはモニーシュの奴隷になるというものだった。

 ラージは早速スナイナーに言い寄る。スナイナーも、ラージはKKの息子であることを初めて知り、恐縮しながらも、会社に出て来るようになったラージを頻繁に会話を交わすようになる。そしてすぐにラージに恋をする。ラージは頃合を見計らってスナイナーを家に呼び、彼女と交わる。ところがそのとき、KKやモニーシュを含む家族が帰ってきてしまう。ラージはスナイナーと結婚すると言わざるを得なくなる。

 ラージとスナイナーの婚約式が行われた。ところがスナイナーの母親プラミラーが元々バーダンサーかつ娼婦だったことが発覚する。KKは参列者の前でプラミラーを罵倒し、二人の結婚を破談にする。ラージも、スナイナーとの恋愛は演技だったと明かす。ショックを受けたプラミラーは自殺する。

 スナイナーはラージとKKに復讐を誓う。スナイナーは、KKジュエリーの後ろ盾ダニエル・ピーターソン(ダニエル・ウェバー)に気に入られており、彼の力を使ってKKジュエリーのビジネスを妨害する。資金繰りに困ったKKは、大富豪の友人の娘サンジャナー(ゼイシャ・ナンシー)をラージと結婚させることにする。二人の婚約式が行われるが、その夜、ラージはサンジャナーが別の男性と情事に耽っているのを目撃してしまう。ショックを受けたラージは前後不覚のままスナイナーの家に倒れ込む。ラージとスナイナーはまだ身体を重ねるが、これがサンジャナーにばれてしまう。サンジャナーは父親にラージの不倫を訴え、二人の縁談は破談になる。

 ラージは本当にスナイナーに恋をしてしまっていた。ラージはKKに、やはりスナイナーと結婚したいと言い出すが、父親は認めなかった。スナイナーは、ラージが術中にはまったのを見て一気に彼を突き放す。ラージは頭がおかしくなってしまう。

 ラージとスナイナーの出会いを軸に進む前半はよくまとまっており、順風満帆の船出に見えた。サニー・リオーネの演技も悪くなかったし、ラジニーシュ・ドゥッガルも好演していた。ところが、中盤以降で急に脚本が崩れ、ストーリーを追うのが困難になる。一体、誰が何を考えて行動しているのかよく分からなくなる。特に、ラージはスナイナーをどうしたいのか、スナイナーはラージをどうしたいのか、こんがらがる。前半の大部分は過去の回想シーンなのだが、どこから現在のシーンに移行したのかも不明である。何が何だか分からない内に突然の幕切れとなる。サニーが頑張っていただけに、中盤以降の混乱は残念である。

 ストーリー上、非常に重要なキャラはモニーシュだった。彼は婿養子としてKKジュエリーの管理職の一員になっていたが、KKの実の息子ラージがいたため、彼の地位は微妙だった。とりあえずラージは放蕩息子だったため、相対的にモニーシュに権力と期待が集中していたが、いざラージが精力的に働き出すと、彼はいつ権力基盤を失ってもおかしくない状況に置かれていた。

 映画のいくつかの場面から、モニーシュが密かにラージを追い落とそうとしていたのは確実である。スナイナーとの関係ははっきり描かれていないのだが、モニーシュもスナイナーを口説いていた形跡があり、ラージがスナイナーを追い掛け始めると、今度はスナイナーを操ってラージを罠にはめようとする。

 モニーシュの動きは物語を結末まで持って行くために最重要だと思われたのだが、急にスナイナーから縁を切られ、モニーシュは放置される。結局、スナイナーに振り回されただけだった。もっとモニーシュをうまく使えば面白い映画になったと思われるのに、この点も残念だ。

 元AV女優のサニー・リオーネを起用したということはつまり、観客は彼女のセクシーなシーンを期待して映画を観に来るということだ。「Beiimaan Love」にも複数のラブシーンが収められており、一定の期待には応えている。ただ、検閲の厳しいインド映画なので、局部の露出などはない。

 元々AV女優だったという彼女の経歴を意識しているのだろう、サニー主演作では、彼女に過去のスティグマを背負ったキャラを演じさせることが多い。今回、サニーが演じるスナイナー自身にはあまり過去の汚点などはなかったが、母親がバーダンサーかつ娼婦ということが発覚し、彼女の縁談が破談になる直接的な原因となる。「過去は水に流して」というような台詞が出て来たが、これはサニー・リオーネ自身の半生と重なる。

 「Beiimaan Love」は、サニー・リオーネ主演の映画を作りたかったというだけの作品であり、それ以外にほとんど取り柄がない。あとは、サニーの夫ダニエル・ウェバーが初めて映画に出演し、彼女と共演していることぐらいが特筆すべきだ。それでも、サニー目当てでなければ観ないことをおすすめする映画である。


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