Ek Paheli Leela

3.5
Ek Paheli Leela
「Ek Paheli Leela」

 2015年4月10日公開の「Ek Paheli Leela(謎のリーラー)」は、「Ragini MMS 2」(2014年)で時の人になったAV女優出身の女優サニー・リオーネ主演のエロティックなスリラー映画である。インド映画が得意とする輪廻転生をストーリーに織り込みながら、他の映画とは異なるキャスティングに仕掛けを施した作品になっている。

 監督は新人のボビー・カーン。コレオグラファーのアハマド・カーンの弟で、プレイバックシンガーのスニディ・チャウハーンの夫である。アハマドはこの映画のプロデューサーも務めているが、スニディは参加していない。

 主演サニー・リオーネの他に、ラーフル・デーヴ、モーヒト・アフラーワト、ジャイ・バーヌシャーリー、ジャス・アローラー、シヴァーニー・ターンクサーレー、アンディー、エヘサーン・クライシーなどが出演している。

 ロンドン在住のスーパーモデル、ミーラー(サニー・リオーネ)は、ファッションフォトグラファーのラーディカー(シヴァーニー・ターンクサーレー)に連れられてインドに行く。ジャイサルメールで撮影中に、地元の王族ランヴィール・スィン(モーヒト・アフラーワト)の邸宅に招待される。ランヴィールはミーラーを見初め、彼女にプロポーズする。二人は結婚する。

 一方、ムンバイー在住のミュージシャンでラーディカーの弟カラン(ジャイ・バーヌシャーリー)は、新居に引っ越してから奇妙な夢を見るようになり、その夢に登場する女性リーラー(サニー・リオーネ)を探し求めるようになる。相談した占い師は、300年前の前世と関わりがあると見抜く。

 300年前のジャイサルメールにて、彫刻家見習いのシュラヴァン(ラジニーシュ・ドゥッガル)はリーラーという村の女性と恋に落ちていた。だが、シュラヴァンの師匠バイラヴ(ラーフル・デーヴ)はリーラーに一目惚れし、彼女をモデルにして彫刻を作り始める。彫刻は完成するが、シュラヴァンとリーラーの仲を知ったバイラヴによって二人は殺されてしまう。

 カランは自分をシュラヴァンの生まれ変わりだと信じる。そして占い師の助言に従い、カランは300年前の恋愛を成就させて悪夢から解放されるため、ラージャスターン州を訪れる。

 カランはランヴィールの邸宅でミーラーを見て、彼女こそがリーラーだと直感する。だが、ミーラーはカランの言うことを全く信用しなかった。一方、ランヴィールの弟ビクラム(ジャス・アローラー)は、300年前にバイラヴによって作られた最高傑作の彫刻を探していた。カランがその手がかりを持っていることを知り、ビクラムはカランとミーラーを誘拐する。

 カランは彫刻の位置を示すが、そこにランヴィールが現れ、ビクラムを制止する。そのとき、カランは自分がシュラヴァンではなくバイラヴの生まれ変わりであり、シュラヴァンの生まれ変わりはランヴィールだと気付き、自殺しようとするが、ランヴィールとミーラーに止められる。ミーラーも前世を思い出していた。

 ムンバイーに戻ったカランは、前世の記憶にあったメロディーから「Tere Bin」という曲を作り、それをヒットさせる。

 輪廻転生はインド映画のストーリーによく織り込まれるギミックである。通常、生まれ変わる前と生まれ変わった後は同じ俳優が演じる。だが、「Ek Paheli Leela」では敢えて前世と現世で演じる俳優を変え、それがこの映画のミソになっていた。

 前提となるのは300年前の恋愛譚だ。シュラヴァンとリーラーの恋愛は、シュラヴァンの師匠バイラヴによって引き裂かれ、シュラヴァンとリーラーは殺されてしまう。この三人が現世に生まれ変わり、再び相見えることになる。前世の記憶が毎晩夢に現れ苦悩していたカランは、自分がシュラヴァンの生まれ変わりだと信じ、リーラーを探す。リーラーの生まれ変わりはミーラーという名前だった。シュラヴァン、リーラー、バイラヴの三人の内、リーラーの生まれ変わりであるミーラーだけはサニー・リオーネがそのまま演じているが、シュラヴァンとバイラヴは異なる俳優が演じている。

 なぜ慣例を破ってまで違う俳優を起用したのか不思議であったが、クライマックスでその謎が明かされる。カランは自分をシュラヴァンの生まれ変わりだと信じ込んでいたが、実はシュラヴァンを殺したバイラヴの生まれ変わりであった。また、現世でミーラーと結婚したランヴィールこそがシュラヴァンの生まれ変わりであった。シュラヴァンとリーラーは既に300年前に成就することのできなかった恋愛を成就させていたのである。

 サニー・リオーネ主演の映画は、サニーのグラマラスなボディーを唯一の売りにして作られることが多い。「Ek Paheli Leela」も、サニーの豊満なバストを強調したショットや大胆な濡れ場がいくつかある。それでも、ストーリーに何もない映画ではなく、むしろサスペンスがあって面白い。サニー・リオーネ映画の中ではよくできた作品だといえる。

 ヒンディー語映画界を代表するコレオグラファーであるアハマド・カーンが関わっている映画なだけあって、ダンスシーンに非常に力が入っていて豪勢だ。「Desi Look」、「Glamorous Ankhiyaan」、「Saiyaan Superstar」など、サニー・リオーネを前面に押し出した豪華なダンスナンバーが目白押しである。主な舞台になったラージャスターン州の風景もこの映画の魅力を増している。キーンウサル(Khimsar)のサンドドゥーン・ヴィレッジや、ビーカーネールのラクシュミー・ニワース・パレスなどでロケが行われていた。大ヒット映画「Hum Dil De Chuke Sanam」(1999年/邦題:ミモラ)の「Dhol Baaje」のカバー曲も使われていた。

 サニー・リオーネの演技も悪くなかったし、今までほとんど芽が出なかったラジニーシュ・ドゥッガルやモーヒト・アフラーワトなどの俳優たちを久しぶりにスクリーンで観ることができたのも嬉しかった。

 「Ek Paheli Leela」は、「いつものサニー・リオーネ映画」と表現するだけでは収まらない作品だ。期待通りのセクシーなシーンがしっかり盛り込まれている上に、輪廻転生というインド映画お得意のパターンにちょっとした捻りを加えることに成功している。観て損はない映画である。


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