Boss

2.5
Boss

 2013年10月16日公開の「Boss」は、マラヤーラム語のヒット映画「Pokkiri Raja」のヒンディー語リメイクである。

 監督は「Blue」(2009年)のアンソニー・デスーザ。主演はアクシャイ・クマール。他に、ミトゥン・チャクラボルティー、ローニト・ロイ、シヴ・パンディト、アディティ・ラーオ・ハイダリー、ダニー・デンゾンパ、ジョニー・リーヴァル、サンジャイ・ミシュラー、パリークシト・サーニー、ゴーヴィンド・ナームデーヴ、アーカーシュ・ダーバーデーなどが出演している。また、ムケーシュ・ティワーリー、シャクティ・カプール、ソーナークシー・スィナー、プラブ・デーヴァ、ヨー・ヨー・ハニー・スィンが特別出演している上に、アミターブ・バッチャンがナレーションを務めている。

 ダラムクンジ村に住む学校教師サティヤカーント・シャーストリー(ミトゥン・チャクラボルティー)には二人の息子がいた。長男のスーリヤ(アクシャイ・クマール)と次男のシヴ(シヴ・パンディト)である。しかし、スーリヤは学校でクラスメイトを殺してしまい、サティヤカーントから勘当された。スーリヤはハリヤーナー州のクルクシェートラに流れ着き、近隣のトラック運転手たちを束ねるビッグボス(ダニー・デンゾンパ)に拾われ、「ボス」と呼ばれるようになる。

 15年後・・・。シヴはデリーに住む叔父ゾーラーワル・スィン(ジョニー・リーヴァル)を訪ねて上京し、そこで悪徳警官アーユシュマーン・タークル警部(ローニト・ロイ)の娘アンキター(アディティ・ラーオ・ハイダリー)と恋に落ちる。しかし、アンキターは、プラダーン大臣(ゴーヴィンド・ナームデーヴ)の息子ヴィシャール(アーカーシュ・ダーバーデー)の求愛を受けていた。シヴは叔父に代わってアンキターの護衛を務めるが、彼女に無礼を働くヴィシャールを打ちのめし、逮捕されてアーユシュマーンから暴行を受ける。サティヤカーントはシヴを救出するため、スーリヤの力を借りることにする。だが、プラダーン大臣とアーユシュマーン警部の方もシヴを殺すためにボスに暗殺を依頼していた。

 ボスはサティヤカーントからシヴを守るよう依頼され、プラダーン大臣とアーユシュマーン警部からシヴを殺すように依頼されたが、彼は迷わず父親の頼みを聞くことにした。ボスはシヴを釈放させてわざと逃がし、プラダーン大臣とアーユシュマーン警部との契約を解消する。そしてアンキターがシヴのことを好きだということを証明し、シヴとアンキターを結婚させようとする。

 アーユシュマーン警部はシヴに強姦の濡れ衣を着せて二人の結婚を止めようとする。だが、ボスはヴィシャールを人質に取ってシヴを再び釈放させる。サティヤカーントはそれでもスーリヤを自分の息子だとは認めなかったが、ビッグボスから15年前の真実を聞かされる。実はスーリヤはクラスメイトを殺していなかった。彼を殺したのはサティヤカーントであったが、その罪をかぶったのだった。それを聞いたサティヤカーントはビッグボスと共にスーリヤに会いに行こうとするが、アーユシュマーン警部はトラックで彼らの乗る自動車に突っ込み、重傷を負わせる。

 父親を傷付けられて憤ったボスは、アーユシュマーン警部と決闘する。そこで苦戦の末にアーユシュマーン警部を倒し、回復して駆けつけた父親と抱き合う。

 南インド映画のリメイクであり、構成に古めかしい極端さが感じられる。善悪がはっきりしており、主人公のヒーロー振りが突出している。アクションを基本としながら、コメディー、ロマンス、家族愛などの要素が散りばめられ、マサーラー映画と呼ぶにふさわしい娯楽作に仕上がっている。

 キャスティングが豪華なのも魅力だ。主演のアクシャイ・クマールは押しも押されぬ大スターだが、他にも特別出演陣にアミターブ・バッチャン、ソーナークシー・スィナー、プラブ・デーヴァなど人気スターの顔が見える。さらに、ローニト・ロイが憎々しい悪役を絶妙に演じており、観客の同情を絶対的にヒーロー側に追いやるのに十二分の貢献をしていた。助演のシヴ・パンディトも堅実な演技をしていた。ただし、ヒロインのアディティ・ラーオ・ハイダリーはインパクト不足で、特別出演のソーナークシー・スィナーに持って行かれてしまっていた。

 物語はそもそもシヴとアンキターが恋仲になったところから始まるのだが、彼らのロマンスはいつの間にか隅に追いやられる。その代わり、途中から映画は父と子の物語に変化し、最後は父と二人の息子が抱き合うところで終わっている。スーリヤは殺人を犯して父親から勘当されたのだが、実は彼は父親が誤って子供を殺してしまった罪を自分でかぶっていたのだった。それまで頑なにスーリヤを我が子と認めてこなかったサティヤカーントだったが、それを知った途端、自分の過ちとスーリヤの自分に対する尊敬の念を感じ、一転してスーリヤを迎え入れる。

 南インド映画リメイクである影響から、激しいダンスシーンが多めだったのは「Boss」の特徴に数えられるだろう。ヨー・ヨー・ハニー・スィンの「Party All Night」や、新人作曲家PAディーパクの「Hum Na Tode」など、アップテンポのダンスナンバーが多く、映画を明るくしているが、物語の文脈から外れた挿入のされ方だったのは、現在のヒンディー語映画のトレンドとは異なっている。

 「Boss」は、アクシャイ・クマール主演、南インド映画リメイクのアクションコメディー映画である。南インド映画テイストを存分に残したまま、豪華な特別出演陣で彩り、派手なダンスシーンで景気づけした作品になっている。興行的には失敗に終わっている。