Chor Chor Super Chor

2.5
Chor Chor Super Chor

 2013年8月2日公開の「Chor Chor Super Chor」は、泥棒を主人公にした、いわゆるコン映画である。「他人の不幸は蜜の味」という言葉があるが、コン映画は、泥棒が鮮やかに物を盗んだり、詐欺師が人を見事に騙す様子を楽しむ、少々趣味の悪い映画だ。ヒンディー語映画では立派な1ジャンルを確立している。題名の中で3回繰り返される「चोरチョール」とは「泥棒」のことである。

 監督は新人のKラージェーシュ。主演は、個性派コメディアン俳優ディーパク・ドーブリヤール。他に、プリヤー・バティージャー、アンシュル・カターリヤー、パールー・ウマー、アーローク・チャトゥルヴェーディー、ブラマー・ミシュラー、ジャガト・ラーワト、チャンドラハース・ティワーリー、シュリーカント・ヴァルマー、アヌラーグ・アローラー、アヴタール・サーニーなどが出演している。

 舞台はデリー。サトビール(ディーパク・ドーブリヤール)は、写真スタジオを経営するシュクラージー(アヴタール・サーニー)に育てられたスリだった。真っ当な人生を歩みたいと考えていたサトビールは、ある日、ニーナー(プリヤー・バティージャー)という女性に一目惚れする。メトロ駅でニーナーはサトビールの仲間によってバッグをすられるが、彼はそれを取り返し、彼女に渡す。ニーナーは、スリの現場を見てみたいと言い出し、サトビールは彼女に仲間たちがスリをする様子を見せる。

 ところが、実はニーナーはTVレポーターだった。サトビールがスリについて語る様子や、彼の仲間がスリをする様子は全て録画されていた。そして、1週間後に番組が流されることになった。サトビールは仲間たちから責められるが、彼は逆転の発想を思い付く。録画されたスリの映像を「ドッキリ」の撮影ということにしてしまうのだ。

 スリ仲間たちは、録画された犯行で得たものを持ち主に返し、その様子を撮影して、「ドッキリ」である証拠を作る。そしてそれらを番組「Chor Chor Super Chor」にし、ニーナーの上司であるTV局のオーナーに紹介する。その番組は気に入られた一方、ニーナーは盗用をしたと判断され解雇される。

 スリの「ドッキリ」というリアリティー番組「Chor Chor Super Chor」はたちまち人気になる。人々はスリに遭うことを楽しむまでになった。だが、宝石商のプルショッタム(チャンドラハース・ティワーリー)が誘拐され、シュクラージーのライバルであるアモール(ジャガト・ラーワト)がその罪をシュクラーたちになすりつけたことで、シュクラージーと密通していたチャウハーン警部補(アヌラーグ・アローラー)も彼らを逮捕せざるを得なくなる。だが、シュクラージーたちがアモールのアジトに乗り込み、プルショッタムを救出する。また、サトビールはニーナーと仲直りする。

 面白い部分と足りない部分が混在する残念な映画だった。面白い部分は、まずスリに焦点を当てたことだ。デリーなどの大都会では、スリを専門にするグループが暗躍している。彼らは、この映画で描写されているように、仕事を分担してチームワークでスリを行う。一度スリの手に渡った戦利品は、一瞬の内にスリからスリの手へ渡って、元の持ち主から離れていき、発見するのが困難になる。映画ということで誇張はあるものの、その手口はリアルである。

 また、TVレポーターによるスティング・オペレーションによって、その手口の全貌が顔と共にTVで放映されることになり、慌てたスリ集団が、全てを「ドッキリ」にして覆い隠そうとするという中盤の展開も非常に面白かった。このTV番組「Chor Chor Super Chor」は大人気になり、人々はTVに出たいがために、スリに遭うのを自ら待ち続けるようにまでなってしまう。優れたブラックコメディーだった。

 しかしながら、主人公サトビールとヒロインのニーナーの関係がうまく描写されていなかったことと、プルショッタム誘拐事件が説明不足であったこと、そして監督の力量不足により、俳優たちの演技を引き出せていなかったことや編集に俊敏さがなかったことなど、欠点も多かった。いくつかソングシーンもあったが、ほとんど無意味であった。

 その中でも、ディーパク・ドーブリヤールには注目したい。元々舞台劇俳優であり、「Maqbool」(2004年)で映画俳優デビューしたディーパクは、その後も「Delhi-6」(2009年)や「Tanu Weds Manu」(2011年)などで印象的な脇役を演じてきた。彼が主演を務めるのは稀であり、彼の演技をじっくり楽しめる映画として、「Chor Chor Super Chor」は貴重である。

 「Chor Chor Super Chor」は、個性派俳優ディーパク・ドーブリヤールが主演のコン映画である。メインストーリーは面白いのだが、監督の未熟さから、冗長かつ散らかった映画で終わってしまっている。ディーパクのファンなら、彼以外にはあまり期待しないことを前提に、観てもいいのではなかろうか。