Vaada

3.5

 今日はPVRアヌパム4で、2005年1月7日公開の新作ヒンディー語映画「Vaada」を観た。「Vaada」とは「約束」という意味。監督はサティーシュ・カウシク、音楽はヒメーシュ・レーシャミヤー。キャストはアルジュン・ラームパール、アミーシャー・パテール、ザイド・カーンなど。

 ラーフル(アルジュン・ラームパール)とプージャー(アミーシャー・パテール)は幸せに暮らす新婚夫婦だった。ラーフルは事故により両目を失ったが、二人の生活は依然として幸せだった。ラーフルはカラン(ザイド・カーン)を仕事の補佐役として雇うが、実はカランとプージャーは昔の恋人だった。カランがあまりにプージャーのことを激しく愛しすぎるため、怖くなったプージャーは彼と絶交したという過去があった。

 ある日、プージャーが首を吊って死んでいるのが見つかる。当初は自殺と見られたが、検死前に遺体が病院から盗まれたこともあり、他殺の疑いが強くなる。容疑者として挙がったのはカランだった。次々にカランに不利な証拠が見つかり、カランは窮地に陥る。だが、カランはとあるきっかけから、ラーフルが盲人ではないことに勘付く。プージャーを殺したのはラーフルであると考えたカランは、ラーフルの目が見えることを一生懸命証明しようとするが、ラーフルの方が一枚上手で、次から次へと失敗に終わる。

 とうとうカランは逮捕され、裁判所で裁かれることになる。裁判でもカランはラーフルが盲人ではないことを主張するが、その落ち着かない態度によりますます自分の首を絞めることになる。結局、カランは終身刑を言い渡される。

 ラーフルは刑務所にカランを訪れ、全てを話す。ラーフルはカランがプージャーを殺したのではないことを知っていた。ラーフルはシンガポールで目の手術をして視力を取り戻しており、プージャーを驚かそうとこっそり自宅に帰って来たが、そのときカランとプージャーが抱き合っているのを目撃してしまった。ラーフルはそのときから盲目の振りをし続けると共に、自分を裏切ったプージャーを責めた。プージャーは攻撃的なカランの性格を知っていたがために仕方なく従っていただけであるが、夫の誤解を招いたことを苦に自殺してしまう。翌朝、プージャーが自殺したことを知ったラーフルは、死の原因となったカランに復讐するために全ての計画を思いついたのだった。

 実は、映画館へ行ったのは別の映画を観るためだったが、既に満席だったために急遽代わりに観ることにした映画だった。だが、期待を越える出来で満足。細部にかみ合ってない部分があったものの、展開が二転三転する、観客を飽きさせない佳作映画だった。

 主な登場人物は3人だけ。ラーフル、プージャー、そしてカランである。プージャーは物語の冒頭で自殺をしてしまい、その後回想シーンにしか登場しないので、実質的にはラーフルとカランの二人を中心にストーリーが進んでいく。一番スリリングなのは、ラーフルが盲目ではないことを証明しようとするカランと、盲目ではないことを隠そうとするラーフルのつばぜり合いである。インターバルの直前に観客にはラーフルが盲目ではないことが明かされるが、カランがそれに勘付くのは、ラーフルの服のポケットから本屋のレシートを発見してからである。カランはいろいろ計画を練るのだが、常にラーフルの方が一枚上手で、観客の笑いを誘っていた。

 ストーリー上、一番かみ合っていなかった部分は、裁判所からラーフルの目の検査が命じられたところである。検査を行えば、ラーフルの目が見えることはすぐに分かるはずなのに、検査結果は「盲目」であった。どのようにラーフルが検査結果を変えたのか、全く明らかにされていなかった。おそらく編集段階でカットされてしまったのではないかと思う。

 この映画の終わり方については賛否両論あるだろう。インド映画の鉄則はハッピーエンドであり、勧善懲悪である。しかしこの映画の終わり方は、ハッピーエンドともアンハッピーエンドとも言えず、また善が勝ったとも悪が勝ったとも言えない、不思議な終わり方だった。観客の同情心が果たしてラーフルに行くのか、カランに行くのか、で印象が違うのだろうが、僕はラーフル寄りの心情で映画を観ていたため、たとえカランが無実であっても、ラーフルが完全勝利を収めた終わり方は満足できた。

 この映画の最大の見所は、アルジュン・ラームパールとザイド・カーンであろう。アルジュン・ラームパールは「Aankhen」(2002年)でも盲人の役をやっていたが、今回の方がずっといい演技をしていた。ザイド・カーンは「Main Hoon Na」(2004年)のヒットでかなり株を上げたが、この映画で若手の中で最も演技力のある男優であるということを見せ付けたといえる。アルジュン・ラームパールとザイド・カーンは、二人とも長身、細身、ハンサム、それでいてマッチョという似たようなキャラクターだが、二人の独自の持ち味――落ち着きのアルジュン、憤怒のザイド――がうまく引き出されていた。アルジュンとザイドに、現在人気急上昇中のジョン・アブラハムを加えた三人が、現在のヒンディー語映画界の若手男優三人衆だと言える。アミーシャー・パテールは久し振りにスクリーンで見た。出番が少なかったが、悪くない演技だった。彼女は最近、彼女の収入を不正に使用したとして実の父親や家族を訴えており、プライベートで問題を抱えている。

 絶対にオススメの映画というわけではないが、観て損はない映画である。