Humraaz

3.0
Humraaz
「Humraaz」

 今日は映画を観に行った。前々から観ておきたかった「Humraaz」を観に、PVRアヌパム4へ足を運んだ。2002年7月26日公開のヒンディー語映画である。デリーでは金曜日ごとに上映作品が入れ替わるので、今日観ておかないと明日から観られなくなる可能性があった。「Humraaz」の意味は「共有の秘密」。アッバース・マスターン監督、ボビー・デーオール、アクシャイ・カンナー、アミーシャー・パテール主演の映画だ。評価も上々で期待が持てたが、その期待を裏切らないほど、どんでん返しに次ぐとんでん返しで楽しめた。ヒンディー語映画にしてはストーリーが凝っていたが、もしかしたらハリウッド映画かインドの他言語映画のパクリかもしれない。ヒンディー語映画は実はパクリが多くて、「いや~、久々に楽しいヒンディー語映画を観たなぁ~」と思って映画館を出ても、後から調べてみたら実はパクリであることが判明し、ちょっとガッカリすることが時々ある。

 カラン(アクシャイ・カンナー)とプリヤー(アミーシャー・パテール)は恋人同士だった。カランはダンスグループを率いており、大富豪ラージ・スィンガーニヤー(ボビー・デーオール)が主催するクルーズツアーに同行するダンスグループのオーディションに野望を燃やしていた。一旦はライバルグループのジョジョ・フェルナンデスのグループがその栄誉を勝ち取るのだが、カランはジョジョの家まで訪ねて行って、酔っ払っていたジョジョを窓から突き落として殺害する。リーダーを失ったジョジョのダンス・グループはクルーズツアーに参加できなくなり、代わってカランのグループがクルーズへ参加することになる。ジョジョの死は事故として扱われた。

  クルーズはシンガポールからマレーシアを数日間かけて旅する豪華なツアーで、船もタイタニック号並みに巨大だった。そこでカランとプリヤーの仲を知らないラージは、ショーでダンスを踊るプリヤーを見初め、ディナーに誘い、最後にはプリヤーにプロポーズをする。そしてプリヤーはそれを承諾する。カランはそれを聞いて激怒すると思いきや、二人で抱き合って喜び合う。実はカランとプリヤーは、ラージを罠にはめる計画を練っていたのだった。カランはラージとプリヤーを結婚させ、そしてすぐに離婚させ、彼の遺産の半分を分捕ってやろうと考えていたのだった。

  ジャイプルでラージとプリヤーの結婚式が行われた。ラージは真剣にプリヤーを愛する一方で、カランはプリヤーより金のことを考えてばかりいた。対照的な二人の男の姿を見て、やがてプリヤーはカランよりもラージを愛するようになる。しかもカランの友人ハリが実はカランのジョジョ殺しや、結婚詐欺の計画を全て知っており、カランに口止め料を払うように要求していた。金を払う期限の日、カランはハリまでも殺してしまう。

  ラージを愛する気持ちが強くなったプリヤーは、ラージと離婚できないことをカランに打ち明ける。その告白を聞いたカランはショックを受けるが、すぐに計算が働き、ハリに口止め料を要求されていることを打ち明ける。ハリは既にこのとき死んでいるが、プリヤーはそのことは知らなかった。プリヤーはカランの言葉を信じ、口止め料を自分が払うことを約束する。カランの計算はそれだけではなかった。カランはわざとラージにこのことを匿名で密告し、カランとプリヤーがラージを罠にはめようとしていることを知らせる。ハリの口止め料を手渡しにカランの家を訪れたプリヤーの後をラージは尾行し、プリヤーがカランに金の装飾品を渡すところを見てしまう。こうしてラージは自分が裏切られていたことを知る。しかもラージは、カランがハリを殺したことも知る。ハリは死ぬ間際にラージに電話し、留守電に全てを打ち明けていたのだった。その留守電をこのとき初めてラージは聞いた。

  ラージはカランの家を訪れ、二つの道を提示する。ひとつは警察にハリ殺しの件を通報し、牢屋に入る道。もうひとつは自分を裏切ったプリヤーを殺す道。ラージはカランにプリヤーを殺させようとしたのだった。その代わり大量の報酬金を用意していた。カランはプリヤー殺しを承諾する。

  一方、ラージとカランの間に密約が成立したことを知らないプリヤーは、ラージに全てを打ち明けようと決心していた。プリヤーはカセットテープに事の真相を録音し、朝、ラージの自動車の中に置いておいた。それは奇しくもプリヤー殺しが計画されていた日だった。あいにくラージは朝、そのカセットを聞かずに出勤してしまった。家に一人になったプリヤーに覆面の男が襲い掛かる。仕事が終わり、自動車に乗って自宅に帰ろうとするラージは、カセットテープにプリヤーの告白が吹き込まれていたのを初めて知った。そしてプリヤーが本当に自分のことを愛してくれていたことを知った。ラージは急いで自宅に戻る。

  自宅には警察が来ており、全てが終わった後だった。悲しむラージ。しかしよく見てみたらプリヤーは無事だった。床に倒れていたのは、プリヤーを殺そうとした覆面の男だった。ラージはその男の顔を確認するが、なんとカランではなかった。そこへカランが現れる。カランはちょうどラージの家を訪れ、プリヤーに襲い掛かった覆面の男を間一髪で殺して、プリヤーの命を救った英雄になっていた。しかもカランは、ラージがカランにプリヤー殺しを依頼しているシーンを全てビデオに録画していた。今度はラージの立場が危うくなる。カランはラージをゆすって、何千万ルピーもの口止め料を要求する。

  金の受け渡し場に現れたラージは1ルピーも持っていなかった。カランはボディーガードと共に現れた。ラージはカランに金を渡すよりは、カランを殺す道を選んでいた。懐から銃を取り出しカランに向けて放つ。カランは咄嗟に避けて、乱闘が始まる。多勢に無勢でラージは一旦床に倒れてしまうが、そこでプリヤーが現れた。プリヤーはカランとラージが口止め料のことを話しているところを全て盗み聞きしていたのだ。そして依然としてプリヤーはラージの味方だった。カランはプリヤーに向けて銃を放ち、プリヤーは左肩に銃弾をくらう。しかしそれを見たラージは怒って急にパワーアップし、並み居るボディーガードを全て一人で皆殺しにしてカランさえも首吊りの刑に処す。しかしカランは死んだ振りをしており、ラージが立ち去ろうとしたときにラージの背中に向けて銃を向けた。ところが銃弾を受けたのはカランの方だった。その後ろからさらにプリヤーがカランを銃で撃ったのだった。こうしてラージとプリヤーはお互い抱擁し合い、ハッピーエンドとなった。

 ストーリーは非常によくできていて、どんな展開になるんだろうとドキドキしながら、しかも感心しながら見ていた。ボビー・デーオールが出ると必ず暴力映画となるので、今回もそれを半分予想していたが、やはり最後は力づくで決着が付いてしまった。最後のアクションシーンの寸前まで緻密に進んでいったので、最後が大味な暴力シーンだったのはちょっと残念に思えた。でも、どんでん返しが起こる度に観客のインド人から唸り声が出ていたので、インド人受けもいいのではなかろうか。

 アクシャイ・カンナーの映画は「Taal」(1999年)と「Dil Chahta Hai」(2001年)ぐらいしか見ていないのだが、今回の彼はなんだか増毛していたように思えた。アクシャイ・カンナーの第一印象は、「額が広くてハゲかかっている男優」だったのだが・・・。この映画では彼の演技が一番光っていた。アミーシャー・パテールは相変わらずあまり好きになれないのだが、ちょっとしたお色気シーンもあったりして今回はまあ満足。歌と踊りは中の上だと思った。

 ストーリーがよかったのに加えて、なぜか今日は耳の調子がよく、かなりヒンディー語を理解できたように思えた。特にジョニー・リーヴァルの言葉のジョークで笑うことができた。アクションのジョークなら言葉が分からなくても壺にはまりさえすれば誰でも笑えるのだが、言葉のジョークで笑うことができるとかなり玄人気分だ。