Daal Mein Kuch Kaala Hai!

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Daal Mein Kuch Kaala Hai!
「Daal Mein Kuch Kaala Hai!」

 2012年6月29日公開の「Daal Mein Kuch Kaala Hai!」は、低予算で作られた全く笑えないコメディー映画だ。キャストには名のある俳優がいるのだが、脚本からCGまであらゆるものが稚拙であり、失敗作と呼ぶ他ない。

 監督はアーナンド・バルラージ。「Khal Nayak」(1993年)や「Pardes」(1997年)などに出演していた俳優で、監督は初である。主演も彼が演じている。ヒロインはヴィーナー・マリク。パーキスターン人のセクシー系女優で、「Gali Gali Chor Hai」(2012年)や「Tere Naal Love Ho Gaya」(2012年)などのヒンディー語映画にアイテムガール出演している。

 他に、ジャッキー・シュロフ、ゲヘナー・バシシュト、ヴィジャイ・ラーズ、シャクティ・カプール、ラザーク・カーン、ボビー・ダーリンなどが出演している。

 題名はヒンディー語で書くと「दाल में कुछ काला हैダール メン クチュ カーラー ハェ」。直訳すると「ダール(豆カレー)の中に何か黒いものが入っている」で、これは「何か怪しい」という意味の慣用句である。会話の中で比較的よく使われる慣用句だ。

 ムンバイー在住の金欠プロデューサー、ダーブー(アーナンド・バルラージ)は、相続によって巨額の現金を手にした。早速、かねてから口説いていた女優の卵マラーイー(ヴィーナー・マリク)のところへ行き、その資金を使って映画を作り、彼女をヒロインにすると言う。ダーブーが大金の入ったスーツケースを持っているのを見て、マラーイーは恋人に連絡を取る。そして、彼の指示通り、ダーブーをムンバイー郊外に連れ出す。彼らが呼んだタクシーの運転手はチャーリー(ヴィジャイ・ラーズ)だったが、ダーブーが大切そうに持っているスーツケースに金目の物が入っていると勘付く。

 マラーイーのマネージャーを通してダーブーに大金が転がり込んだことがカマールフェークー、チラムバーイー、パターン・ダーダー、ゴーパールイェーラーなどのゴロツキに知れてしまう。また、刑務所から脱走したマフィア、チュンナーバーイー(シャクティ・カプール)もダーブーの持つスーツケースに目を付ける。こうして、チャーリーが運転し、ダーブー、マラーイー、マネージャーが乗る自動車を、カマールフェークーたちの乗った自動車と、チュンナーバーイーとその相棒ハルカトの乗ったサイドカーが追いかける。

 途中でそれらの車両は事故に遭い、彼らはジャングルの中を歩くことになる。行き着いたのが、パンカジ・ヴァルマーの豪邸シータルマハルであった。パンカジの妻シータル(ゲヘナー・バシシュト)はある日事故に遭って死んでしまい、この豪邸に地縛霊として住み着いていた。シータルはマラーイーに化け、シータルマハルに迷い込んだ人々を翻弄する。

 混乱の末、ダーブーはスーツケースを持って逃げ出し、ゴロツキたちが追いかける。ゴーパールイェーラーにスーツケースを奪われるが、中には紙切れしか入っていなかった。落ち込むダーブーの前にシータルの亡霊が現れ、彼に本物のスーツケースを渡す。

 まるで幼稚園児の落書きみたいな、大量のモブキャラが支離滅裂な動きをする、何が何だか分からない映画だった。よくこんな駄作を世に出す勇気があったものだ。可哀想なのはこの映画に関わってしまったキャストとクルーたちである。彼らにとって一生の黒歴史となるだろう。特に、かつてはヒーロー俳優を演じていたジャッキー・シュロフは、このような失敗作に出演してしまったことで、自身の凋落を浮き彫りにしてしまった。彼がいるから観てみる気になったこともあるので、彼は十字架を背負うことにもなっている。

 これでコメディー部分が一定のレベルを保っていればまだ評価はできたのだが、どれも壮大に外しており、褒めるところが見当たらない。理屈でもってこの映画を理解しようとしても失敗するだけだ。単なる駄作として片づけるべきである。

 「Daal Mein Kuch Kaala Hai」は、ヒンディー語映画史上最低を争う超Z級の駄作である。ここまで酷評を読んでおいてまさかわざわざ観てみようと思う人はいないと思うが、時間の無駄なので止めた方がいい。たとえジャッキー・シュロフなどのファンであっても、である。


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