Tere Naal Love Ho Gaya

3.5
Tere Naal Love Ho Gaya

 2012年2月24日公開の「Tere Naal Love Ho Gaya(君に恋してしまった)」は、狂言誘拐を題材にしたロマンティック・コメディー映画である。

 監督はマンディープ・クマール。主演はリテーシュ・デーシュムクとジェネリア・デスーザ。この二人は映画公開直前に結婚している。他に、オーム・プリー、ティーヌー・アーナンド、スミター・ジャイカル、チトラーシ・ラーワト、ナヴィーン・プラバーカルなどが出演している。また、ヴィーナー・マリクがアイテムナンバー「Fann Ban Gayi」でアイテムガール出演している他、歌手のディルジート・ドーサンジが挿入歌「Pee Pa Pee Pa」、アーティフ・アスラムがエンドクレジット曲「Tu Mohabbat Hai」に特別出演している。

 ヴィレーン(リテーシュ・デーシュムク)はバッティー(ティーヌー・アーナンド)が所有するオートリクシャーを賃借して日銭を稼ぐ貧しい男性だった。だが、地道に稼いだため、6万ルピーを貯めていた。この資金を元手に自動車を購入して個人タクシーを始めようとしていた。ところが、バッティーが6万ルピーの入ったオートリクシャーを売り払ってしまう。怒ったヴィレーンはバッティーの家に乱入する。そこではちょうどミニ(ジェネリア・デスーザ)の婚約式が行われていた。

 バッティーの娘ミニは何不自由ない生活をしていたが、退屈な男性との結婚は毛嫌いしていた。父親が結婚相手に選んだサニーには何の取り柄もなく、何とかして逃げ出そうと画策していた。そこへヴィレーンが乱入してきたため、これ幸いと便乗し、あたかもヴィレーンに誘拐されたかのように見せ掛けて、彼と共に逃げ出す。

 ヴィレーンの事情を知ったミニは、父親に10万ルピーの身代金を要求し、山分けすることを提案する。ヴィレーンとミニは逃亡生活を続ける中で親密になる。だが、二人は身代金を手に入れる前に何者かに誘拐されてしまう。

 二人が連れて行かれた先はハリヤーナー州の農村にある屋敷だった。その屋敷の主は、誘拐王として近隣で名を馳せるチャウダリー(オーム・プリー)であった。ところが、実はチャウダリーはヴィレーンの実の父親だった。誘拐ビジネスに嫌気が差したヴィレーンは6年前に家を飛び出し、オートリクシャー運転手をして真面目に働いていたのだった。

 ヴィレーンに好意を抱いていたミニはチャウダリーやその家族とすぐに打ち解け、何とかこの家に長く滞在できるように工夫する。チャウダリーも賢く人懐こいミニを気に入り、ヴィレーンとの結婚を考えるが、ヴィレーンはミニを誘拐ビジネスに巻き込みたくなかった。

 遂にバッティーが身代金を持ってチャウダリーを訪ねてくる。チャウダリーはミニをそのまま嫁として迎え入れたいと考えるが、ヴィレーンは彼女を父親の元に返すことを選んだ。しかしその後、考えを変えたヴィレーンは、ミニとサニーの結婚式に乱入し、ミニを奪って逃げ出す。それは正しくミニが望んだ結婚であった。

 人質が誘拐犯に自分を誘拐させ、その二人がさらに別の誘拐犯に誘拐されるという入れ子式の誘拐コメディーであり、そこに主人公ヴィレーンとミニのロマンスが重ね合わされていた。ジェネリアの溌剌とした演技が映画に健康的な明るさをもたらしている上に、ヴィレーンの意外な身の上も中盤のカンフル剤として効いていて、全体的に観客を飽きさせない楽しい映画になっている。

 「Tere Naal Love Ho Gaya」の勝因は、ストーリー、キャラクター、そしてミュージックの3点から説明できるだろう。まずストーリーはシンプルながら適度なスリルとサスペンス、そしてサプライズがあり、それらが淀みなく流れる。そして各キャラクターが立っていた。本当は誘拐マフィアの息子なのにオートリクシャー運転手をしているヴィレーン、憎めない天真爛漫なおてんば娘ミニ、誘拐王として恐れられている一方でお茶目なところもあるチャウダリーなど、適材適所の配置であった。これだけのキャラがいれば自然とストーリーが紡ぎ出されそうなところだが、前もって良質なストーリーが用意されているため、相乗効果で映画を盛り上げていた。そして音楽も素晴らしく、要所を押さえて挿入されていた。

 夫婦になったリテーシュ・デーシュムクとジェネリア・デスーザの息もピッタリ合っている。実際の仲も、スクリーン上で見せているような関係性なのだろうと想像されるほど自然な掛け合いだった。ジェネリアの表情がアニメのようにコロコロ変わって豊かなのも魅力的だ。

 映画の舞台はインド北西部、ハリヤーナー州、パンジャーブ州、ヒマーチャル・プラデーシュ州辺りを移動する。ミニの家はパンジャーブ州にあり、ヴィレーンと共に逃亡した先がヒマーチャル・プラデーシュ州で、そこからハリヤーナー州に誘拐される。それらのロケーションがストーリーに最大限活かされていたわけではないが、景色の変化は映画の魅力のひとつだった。オーム・プリー演じるチャウダリーのしゃべる台詞はコテコテのハリヤーンヴィー語である。

 いかにもパンジャービー風の、威勢のいいダンスナンバーが多いのだが、ラブソング「Piya O Re Piya」やオープニング曲「Jeene De」など、スローテンポの曲がよく出来ている。

 「Tere Naal Love Ho Gaya」は、夫婦になったばかりのリテーシュ・デーシュムクとジェネリア・デスーザが主演の、爽快なラブコメ映画である。ストーリーはシンプルで、深みがあるわけではないが、観客を飽きさせない展開になっており、心地よく楽しめる。オススメの映画だ。