Ayassh Dil

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Ayassh Dil
「Ayassh Dil」

 「Ayassh Dil(みだらな心)」は、2023年1月17日に公開されたとされているが、情報が少なく、よく分からない映画だ。いつの間にかZee5で配信されていた。オリヤー語文学作家デーブラージ・レーンカーの小説「Khela(遊び)」を原作にしている。

 監督はAアビシェーク。キャストは、サシュリーク・サーマルト・ミシュラー、ニディ・マハーワン、アリーシャー、ナグマー・アクタル、タランジート・カンナーなどである。全く無名の監督、俳優たちだ。

 マライ・ダース(サシュリーク・サーマルト・ミシュラー)はジャーナリストになるという大志を抱き、田舎からムンバイーに出て来た。ダーラーヴィーに部屋を借りて住み始め、大家のクムドニーと夜な夜な情事を繰り広げた。新聞社に雇われ、教育大臣のスティングオペレーション(囮捜査)を成功させて有望視されるが、クムドニーを使って教育大臣を罠にはめるような行き過ぎたスティングオペレーションに手を出すようになり、解雇される。

 マライはスティングオペレーションの腕を買われ、ミーナークシー(アリーシャー)と共にスティングオペレーション専門の報道会社を立ち上げる。1年の内に事業は軌道に乗り、マライはミーナークシーと結婚する。

 ミーナークシーは妊娠するが、マライの女好きに歯止めが掛からなくなり、毎晩違う女性と情事を繰り広げた。そんな中出会った既婚の大学生サースティー(ニディ・マハーワン)と不倫関係になる。ミーナークシーは家を出ていき、マライはサースティーと同棲するようになる。

 マライは文学イベントを主催する。出席者の一人がチャタルジー(タランジート・カンナー)というベンガル人だった。本業は森林局のオフィサーだったが、趣味で詩作をしていた。マライは彼の妻サーヴィトリー(ナグマー・アクタル)に目を付ける。チャタルジーと親しくなったマライは、彼らの結婚15周年パーティーに呼ばれる。マライはサースティーと共にチャタルジーの家を訪れる。

 マライは隙を見てサーヴィトリーを口説くようになり、やがて二人は森林の中で一夜を過ごす。罪悪感を感じたサーヴィトリーは自殺し、マライに裏切られたサースティーもおかしくなってしまう。マライは村人たちから暴行を受け、逮捕される。

 ラジニーシュ・ドゥッガル似のサシュリーク・サーマルト・ミシュラーが演じる主人公マライが、次から次へと女性を籠絡させていき、彼女たちを踏み台にしてキャリアアップする。次第に性欲に歯止めが掛からなくなり、遂には身を滅ぼす。そんな元も子もない物語である。

 題名からも察せられるように、元来は成人向けブルーフィルムとして作られた可能性がある。ただし、Zee5で配信されているものでは男女の絡みのシーンが全くカットされていた。それだけでなく、暴力シーンも飛ばされていたと思われる。よって、ストーリーが飛び飛びになっていた。さらに、そういうシーンを除いても何か見所がある映画ならともかく、残るものが何もない。とにかく欲望に突き動かされた自己中心的なマライが自身を破滅させるまで暴走する様子を見守るしかない不毛な作品だ。

 女性キャラの描写も実にいい加減だ。主に4人の女性が登場するが、その内の3人は悪女といっていい。クムドニーは家賃未払いのマライに身体で奉仕させ、ミーナークシーは道徳に反するスティングオペレーションをマライにさせる。サースティーに至っては既婚の女子大生という設定にもかかわらずすれており、仕事でパリに住む夫とはお互いに浮気を公認し合っている。クムドニーは自らマライから離れていったが、ミーナークシーとサースティーはマライに裏切られてショックを受ける。最後にマライが狙ったサーヴィトリーだけは貞女に分類されるが、それでもマライに身体を許してしまう。罪悪感に苛まれたサーヴィトリーは自殺してしまう。

 「Ayassh Dil」は、何のために作られたのかよく分からない映画である。ブルーフィルムということならそれで納得なのだが、配信されているバージョンからは際どいシーンが丸ごとカットされており、元々稚拙な作りだったこともあって、ほぼ無価値な映像の羅列になっている。観るだけ無駄の映画である。