Collar Bomb

1.0

 2021年7月9日からDisney+ Hotstarで配信開始されたヒンディー語映画「Collar Bomb」は、首に爆弾の起爆装置を装着したテロリストが学校を襲い、生徒たちを人質に取るというスリラー映画である。

 監督はギャーネーシュ・ゾーティング。無名の監督といっていいだろう。主演はジミー・シェールギル。他に、スパルシュ・シュリーヴァースタヴ、ラージシュリー・デーシュパーンデー、アーシャー・ネーギー、ナマン・ジャインなどが出演している。

 ヒマーチャル・プラデーシュ州シムラーの名門校セントジョージ校で、数年前に亡くなった女子生徒ネーハーを偲ぶ会が開催された。ネーハーはある日突然行方不明になり、その後、井戸から遺体で発見されたのだが、ネーハーを井戸に突き落とした犯人グナーを殺したのが警察官マノージ・ヘースィー(ジミー・シェールギル)であった。マノージは主賓として招かれていた。

 そこへ、身体に爆弾を付け、首に起爆装置を巻いた男ショエーブ・アリー(スパルシュ・シュリーヴァースタヴ)が乱入してくる。そして生徒たちやマノージの息子アクシャイ(ナマン・ジャイン)が人質に取られる。マノージはショエーブの指示に従い、殺人などの任務をこなさなくてはならなくなる。また、マノージの教え子だった女性警察官スミトラー・ジョーシー警部補(アーシャー・ネーギー)は、独自に捜査を進め、犯人の身辺調査を行う。現場にはコマンドーも駆けつけるが、密かに突入しようとした部隊が毒ガス攻撃に遭って撤退し、人質の子供の一人が殺されてしまう。

 マノージは、任務をこなしてショエーブの爆弾を解除するが、そこへ飛び込んできたコマンドーの隊長が射殺される。誰が撃ったのかと見ていたら、人質の一人だったリター(ラージシュリー・デーシュパーンデー)であった。実はリターが事件の黒幕で、マノージに復讐するために全てを仕組んだのだった。

 リターはグナーの母親だった。元々ムンバイー在住だったリターは、暴力を振るう夫を殺した罪で服役し、息子のグナーはその間ぐれてしまっていた。出所したリターはグナーと共に新天地を求めてシムラーまでやってくるが、そこでグナーはマノージに殺されてしまった。グナーはネーハーの死とは全く関係なかった。

 リターは自ら貯水池に身を投げて死ぬが、そのときマノージがグナーを殺した動画を拡散させた。マノージは罪のない人を殺したことで刑務所に入る。

 主演のジミー・シェールギルは、ヒンディー語映画界で過小評価されている俳優の一人だ。当初はヒーロー俳優として頑張っていたが、次第に隅の方に追いやられるようになり、インパクトのある脇役や悪役を演じることが多くなった。パンジャービー語映画にも活路を見出している。彼が主演の映画という点で、この「Collar Bomb」は要チェック映画だと感じていた。

 だが、蓋を開けてみれば、何が言いたいのかよく分からない完全な駄作であった。ストーリー進行に全くロジックを欠いているので、まともな精神状態で見続けることは困難である。題名になっている「カラー爆弾」、つまり襟のあたりに巻いた爆弾も、中心の話題となるのは中盤までで、それ以降はどちらかといえば毒の方が凶器となっていた。

 真犯人の提示の仕方も唐突すぎて受け入れがたかった。真犯人のリターは、息子を殺した警察官マノージに復讐するために、一人で今回のテロ事件を計画したわけだが、テロの訓練も受けていない彼女がなぜ爆弾やら毒やらに精通しているのか、全く説明がなく、観客は置いてけぼりになる。リターは爆弾を巻いたショエーブ・アリーに撃たれているのだが、彼女が真犯人ならばなぜそんなことになるのか、についてもまともな説明は不可能である。

 このような救いようのない駄作の中でジミー・シェールギルは奮闘していたし、女性警察官を演じたアーシャー・ネーギーも印象に残る演技をしていた。だが、ここまで酷い脚本だと、俳優たちがいくら頑張っても沈没を避けることはできない。

 「Collar Bomb」は、OTT(配信スルー)で公開となった映画だが、玉石混淆のOTTリリース作品の中でも完全な「石」の作品である。観ないに越したことはない。