Virgin Bhanupriya

2.5

 2020年7月16日からZee5で配信開始された「Virgin Bhanupriya」は、題名から想像される通り、バーヌプリヤーという奥手で処女が主人公の映画であり、彼女が何とか処女を捨てようと躍起になるという、何から何までが想像通りのコメディー映画である。

 監督はアジャイ・ローハン。過去に数本の短編映画を撮っているが、長編映画の監督はこれが初となる。主役のバーヌプリヤーを演じるのはウルヴァシー・ラウテーラー。「Great Grand Masti」(2016年)の妖艶な幽霊役や「Kaabil」(2017年)でのアイテムガール出演など、セクシーなイメージのある女優である。彼女が今回、奥手な女性の役を演じるのは驚きだ。

 他に、ガウタム・グラーティー、アルチャナー・プーラン・スィン、ルマーナー・モッラー、ラージーヴ・グプター、スミト・グラーティー、ブリジェーンドラ・カーラー、ニキ・ワーリヤー、ディルナーズ・イーラーニー、ヴィカース・ヴァルマーなどが出演している。

 舞台はムンバイー。バーヌプリヤー(ウルヴァシー・ラウテーラー)は何とか処女を捨てたいと思っていた。2ヵ月間付き合っていたイルファーンは詐欺罪で牢屋に入れられてしまった。親友のルクル・スィン(ルマーナー・モッラー)は彼女にラージーヴという気味の悪い男性を紹介するが、バーヌプリヤーは生理的に彼を受け付けなかった。バーヌプリヤーの父親ヴィジャイ(ラージーヴ・グプター)と母親マドゥ(アルチャナー・プーラン・スィン)は不仲で別居中だった。

 ルクルはバーヌプリヤーに、今度はシャルティヤー(ガウタム・グラーティー)という賭け好きの危険な雰囲気の漂う男性を紹介する。ルクルはシャルティヤーに惚れ込むが、彼が薬物の混ざった酒を飲ませて彼女を襲おうとしたことに気付き、彼を追い払う。しかもその酒をヴィジャイが飲んでしまい、昏睡状態に陥ってしまう。ヴィジャイは無事だったものの、バーヌプリヤーはますますシャルティヤーを敵視するようになる。

 ところがシャルティヤーはバーヌプリヤーに本気で恋をしてしまった。バーヌプリヤーが占星術師に相談しているのを知ったシャルティヤーは彼に賄賂を渡して縁談をまとめさせる。バーヌプリヤーは、占星術師から紹介された男性がシャルティヤーであることにショックを受けるが、最終的には彼と結婚することにする。

 シャルティヤーとバーヌプリヤーは結婚したが、二人は初夜でもセックスをすることができず、バーヌプリヤーは処女のままだった。

 インドの伝統的な価値観では、女性は結婚まで処女を守ろうとする。インド映画でもそれは暗黙の了解になっていることが多い。だが、実際には都市在住の若者を中心にその価値観は古いものとなってきており、婚前性交渉が当たり前として描かれる映画も少なくなくなってきた。そして、「結婚前に処女を捨てる」、「好きな人に処女を捧げる」、「いつまでも処女でいるのは恥ずかしい」といった価値観も普及してきており、その種の映画もチラホラ見られるようになった。「Neal ‘n’ Nikki」(2005年)がもっとも早い例だと記憶しているが、「Saawan… The Love Season」(2006年)や「Luv Ka The End」(2011年)などにもその種のくだりがあった。「Virgin Bhanupriya」はその最新例だ。

 ただ、今までセクシーな役柄を演じてきたウルヴァシー・ラウテーラーが、奥手で処女のバーヌプリヤーを演じるのは違和感があった。ただ、演技が下手な女優ではなく、清純派も十分に演じこなすことができていた。ウルヴァシーに対し、相手役となる男優陣があまりパッとしない。シャルティヤーは危険な男の雰囲気を醸し出してかっこよく登場するが、映画が進むごとにだんだん情けなくなっていき、最後には初夜に勃起せずバーヌプリヤーの処女を奪ってあげることができなかった。

 また、バーヌプリヤーにひたすら求愛し続ける気味の悪いラージーヴや、彼女の元恋人イルファーンなど、一人としてヒーローっぽい男性は登場しなかった。

 むしろ、バーヌプリヤーの父親ヴィジャイがいい味を出していた。ラージーヴ・グプターが得意とする天然ボケのキャラで、この映画で笑えるシーンがあるとしたら、ほぼ全て彼が絡んでいた。アルチャナー・プーラン・スィン演じる妻マドゥとの掛け合いも絶妙だった。

 過去のヒンディー語映画音楽のパロディーが散りばめられており、「Zamane Ko Dikhana Hai」(1981年)の「Poochho Na Yaar Kya Hua」や「Rab Ne Bana Di Jodi」(2008年)の「Tujh Mein Rab Dikhta Hai」などが引用されていた。

 「Virgin Bhanupriya」は、早く処女を捨てたい女性が主人公のライトなコメディー映画である。ウルヴァシー・ラウテーラーが奮闘しており、脇役のサポートもあるが、予想通りの導入部に予想通りの展開が続き、ワクワク感のない映画で終わってしまっている。無理に観る必要はないだろう。