Ekkees Tareekh Shubh Muhurat

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Ekkees Tareekh Shubh Muhurat
「Ekkees Tareekh Shubh Muhurat」

 2018年11月2日公開の「Ekkees Tareekh Shubh Muhurat(21日は吉日)」は、貧しいパンディト(僧侶)が娘の結婚のために奔走するブラックコメディー映画だ。持参金、寡婦再婚(参照)、略奪結婚など、インドの社会問題を面白おかしく風刺している。

 監督は新人のパヴァン・クマール・チャウハーン。キャストは、サンジャイ・ミシュラー、ブリジェーンドラ・カーラー、ムケーシュ・ティワーリー、バグワーン・ティワーリー、スィーターラーム・パンチャール、カージャル・ジャイン、チャンドラチュール・ラーイ、マヘーシュ・シャルマー、カマリカー・バナルジー、リヤー・チャンダー、バーウナー・チャウダリーなどである。

 ウッタル・プラデーシュ州マトゥラーの寺院で僧侶をするギルダーリー・ラール・シャルマー(サンジャイ・ミシュラー)は金欠だった。娘のラーダー(カージャル・ジャイン)が恋人のゴーパール(マヘーシュ・シャルマー)と結婚することになったが、持参金が用意できなかった。しかも、相手の両親が21日の吉日に挙式をすると言い張った。21日まであと18日しかなかった。

 ちょうど、ギルダーリーの息子バンワーリー(チャンドラチュール・ラーイ)が帰ってきた。ギルダーリーは、親友のブラーキー(ブリジェーンドラ・カーラー)の助言に従い、21日までにバンワーリーの縁談をまとめ、持参金を手に入れて、それを資金源にラーダーの結婚をさせることにする。だが、バンワーリーは公務員試験を受験中で無職だった。無職の男性に嫁入りを認める家庭はなかなかなく、バンワーリーの伴侶探しは難航する。

 ギルダーリーは何とかコルカタ在住のベンガル人女性インドラーニー(カマリカー・バナルジー)と縁談をまとめ、彼女の娘パンクリー(リヤー・チャンダー)とバンワーリーを結婚させることにする。パンクリーが寡婦であることが分かるが、ギルダーリーは250万ルピーの持参金に目がくらみ、縁談を承諾した。ところが結婚の準備をしている間にバンワーリーが公務員試験に合格したことが分かる。一転してギルダーリーは何とか二人の結婚を阻止する方法を考え出す。

 ゴーパールとラーダー、バンワーリーとパンクリーの結婚が同じ21日に行われることになったが、その日、ゴーパールとバンワーリーが誘拐されてしまう。誘拐したのは地元のゴロツキ、ローブダール(ムケーシュ・ティワーリー)だったが、実は彼はギルダーリーから誘拐を依頼されていた。

 ローブダールはバンワーリーが公務員試験に合格したことを知ると、自分の娘ムンニー(バーウナー・チャウダリー)を彼と結婚させようとする。だが、今度は誘拐事件の担当となったサマジュダール・スィン警部補(バグワーン・ティワーリー)が、自分の娘とバンワーリーを結婚させようとする。さらに、地元選出の州議会議員までもが自分の姪とバンワーリーを結婚させようとする。

 ギルダーリーは巧みに言いくるめて結婚式に彼ら全員を呼び、まずはゴーパールとラーダーの結婚式を行う。そして、ゴーパールとバンワーリーの誘拐を画策したのは自分であることを自白し、ローブダール共々逮捕される。そして去り際にバンワーリーの結婚相手としてパンクリーを選ぶ。

 インドには結婚の際に花嫁側が花婿側に多額の持参金を支払う習慣があり、大きな社会問題になっている。法律では禁止されているものの、自発的な贈与は規制されていないため、根絶はされない。現在でも婚姻時に両家の間で金品の受け渡しが公然と行われている。「Ekkees Tareekh Shubh Muhurat」でも、持参金は当然のものとして描かれており、しかもそれに対する批判的な論調すらなかった。

 また、インドでは伝統的に寡婦の再婚がタブー視されてきた。特に若くして寡婦になってしまった女性は嫁ぎ先や社会の中で居場所を失う。19世紀から寡婦の再婚を積極的に推進する社会改革運動が行われているのだが、現在でも寡婦に対する社会的な視線は冷たい。金に困ったギルダーリーが多額の持参金を得るために息子の結婚相手に選んだのは寡婦であったが、これも寡婦の再婚がタブー視されているために持参金が上乗せされていたのだった。やはり、この映画は寡婦再婚のタブーを打ち破ろうとしてもいなかった。

 「Ekkees Tareekh Shubh Muhurat」で取り扱われた中心的な主題は、国家公務員という地位がいかに本人の運命とその周辺の人々の態度を一変させてしまうかだ。バンワーリーは「コレクター(徴税官)」の試験を受けていたが、これは田舎の言い方であり、実際には国家公務員のことだ。いわゆる「インド行政職(Indian Administrative Service/IAS)」である。また、それになるための試験は一般的には「UPSC」と呼ばれている。「連邦公務委員会(Union Public Service Commission)」の略で、この組織が実施する国家公務員試験のことも「UPSC」と呼んでいるのである。

 UPSCはインド最難関の試験であり、それに合格することは非常に難しい。おそらくバンワーリーは何浪もしてUPSCを受験し続けていた。父親のギルダーリーはバンワーリーがUPSCに合格する前に彼の結婚相手を見つけようとしていたが、その時点ではバンワーリーは無職である。無職の男性がいい花嫁をもらうことは難しく、寡婦のような訳ありの相手と結婚させざるをえなくなった。

 ところが縁談がまとまった直後にバンワーリーはUPSCに合格する。こうなると状況は一変する。映画の中では誰もが彼を娘婿にしようとしたが、これは現実世界でもしばしば起こることだ。IASはインドにおいてもっとも安定し、高給で、しかも絶大な権力を持つ職業であり、IASを親族に持つことは、金銭的なメリットと同時に、政治的なメリットも生まれるからだ。地元の警察官、政治家志望のゴロツキ、そして現役の政治家までがバンワーリー詣でを始める。面白おかしく描かれていたが、大げさな表現ではない。

 法と秩序に問題のある地域では、独身のIASは誘拐のターゲットにもなる。誘拐されたIASは無理矢理結婚させられてしまう。この「略奪結婚」はヒンディー語で「जबरिया शादीジャバリヤー シャーディー」や「पकड़वा शादीパカルワー シャーディー」などと呼ばれており、ヒンディー語映画でも度々題材になっている。バンワーリーも略奪結婚の被害者になるところだった。

 このように、インドのいくつかの社会問題に触れながら、曲者俳優サンジャイ・ミシュラーの演技力によってまとめ上げられていたコメディー映画であったが、残念ながら後半に進むにつれてまとまりがなくなっていく。バンワーリーの花嫁候補が何人も現れ、彼が一体誰と結婚するのか分からなくなる。ギルダーリーが主人公ではあったが、彼を中心に描き過ぎたために、バンワーリーの心情がうまく描写されておらず、それが敗因になっていた。パンクリーとの結婚についてもバンワーリーがどう思っているのか明らかにされていないため、彼が誰を選んだとしても観客はそれを喜んで受け入れることができない。

 舞台はウッタル・プラデーシュ州西部の都市マトゥラーである。クリシュナ伝説の本拠地であり、ギルダーリーが僧侶を務める寺院に祀られていたのも、「タークルジー」と呼ばれるクリシュナだ。人々は「ラーデー・ラーデー」と挨拶をするが、これはクリシュナの恋人ラーダーから来ている。ギルダーリーの娘の名前もラーダーであった。マトゥラーの人々はブラジ語と呼ばれるヒンディー語の方言を話すが、「Ekkees Tareekh Shubh Muhurat」のキャラもブラジ語を話していた。

 「Ekkees Tareekh Shubh Muhurat」は、サンジャイ・ミシュラーを主演にし、持参金、寡婦再婚、略奪結婚などの社会問題を詰め込んだブラックコメディー映画だ。監督が未熟で、それらの問題をまとめ切れておらず、惜しい作品だった。


संजय मिश्रा की सुपरहिट हिंदी मूवी - Ekkees Tareekh Shubh Muhurat - Sanjay Mishra - Hindi Movie