Prakash Electronic

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Prakash Electronic

 2017年1月6日公開のヒンディー語映画「Prakash Electronic」は、街の電気屋さんが主人公の映画である。インドは基本的に物が壊れたら修理して使う国であり、インドの市場には必ずといっていいほど家電製品の修理屋がある。そんな修理屋を主人公にした映画は珍しい。

 監督はマノージ・シャルマー。1990年代からTVドラマや映画などを撮ってきたが、ほとんど話題なることはなかった映画監督だ。主演はヘーマント・パーンデーイとリシター・バット。他に、サンジャイ・ミシュラー、マノージ・パーワー、マノージ・ジョーシー、ヴラジェーシュ・ヒールジー、チャンドラチュール・スィンなどが出演している。また、ラージパール・ヤーダヴが本人役で特別出演している。

 プラカーシュ(ヘーマント・パーンデーイ)はムンバイーの市街地で家電製品の修理屋を営んでいた。プラカーシュの両親は彼が幼い頃に亡くなり、姉夫婦によって彼の土地は奪われた過去を持っていたが、独力で店を立ち上げ、軌道に乗せていた。

 プラカーシュの近所にバルカー(リシター・バット)という美女が引っ越してくる。プラカーシュはバルカーに一目惚れし、彼女と親しくなる。だが、バルカーが何の仕事をしているのかは謎だった。近所の青年たちは、バルカーはダンスバーの踊り子だと吹き込む。不安になったプラカーシュがダンスバーに行くと、そこにはバルカーはいなかった。逆に通りがかったバルカーからダンスバーに行っていると思われ、絶交されてしまう。しかし、プラカーシュの相棒マンギヤー(ヴラジェーシュ・ヒールジー)の取りなしにより、何とか仲直りする。

 プラカーシュの姉夫婦は、持参金欲しさに勝手に彼の結婚相手を決めてしまう。だが、プラカーシュは好きな人がいると言って断る。バルカーは仕事のために長期間ムンバイーを留守にするが、その間、彼女と連絡が取れず、プラカーシュは落ち込む。だが、バルカーの主演映画が公開されたことで、バルカーが女優を目指していたことが分かる。プラカーシュは、バルカーが現在ロケを行っているアーグラーに飛ぶ。そこでバルカーと再会し、彼女にプロポーズするが、バルカーには全くその気がなかった。仕方なくプラカーシュは、姉夫婦の決めた結婚相手ラーダーと結婚する。

 とても2017年に公開されたとは思えないほど古めかしい映画である。一応コメディー映画の部類に入り、これでギャグが冴えていればまだ救われたのだが、コミックシーンもことごとく滑っていた。ほとんど取り柄のない作品だ。マノージ・シャルマー監督の映画はもう二度と観ないと心に固く誓った。

 着眼点は悪くなかった。街の電気屋さんは、インドで生活するとよく目にするが、彼らを特に取り上げたような映画は今までほとんど観たことがなかった。よって、うまくストーリーを組み立てていけば面白いものになったのではないかと思うが、主人公プラカーシュの職業がストーリー上で重要な役割を果たすことはなく、結局のところ彼の職業は何でも良かった。プラカーシュとバルカーの恋愛も行き違いが酷く、ただただプラカーシュが憐れだった。しかも、お人好しのプラカーシュにつけ込んで私腹を肥やす姉夫婦が勝手に決めた相手と結婚するという結末は、何の解決にもなっていなかった。

 主演のヘーマント・パーンデーイはTVドラマ「Office Office」(2000年)で一躍注目を浴びた男優であり、その後「Krrish」(2006年)や「Ready」(2011年)などで脇役出演していた。主役を演じるのは初ではなかろうか。彼の演技自体は悪くなかったのだが、脚本そのものに問題があるため、映画を浮上させることはできなかった。ヒロインのリシター・バットも「Asoka」(2001年)でサブヒロインを務めるなど一時期勢いがあったが、大成できなかった女優だ。このような出来の悪い映画でヒロインを務めたことは、彼女の落ちぶれ振りを強調する効果しかなかった。

 脇役陣に名を連ねているのは個性的な俳優たちばかりだ。サンジャイ・ミシュラー、マノージ・パーワー、マノージ・ジョーシー、ヴラジェーシュ・ヒールジーなど。また、チャンドラチュール・スィンをスクリーンで観たのは久しぶりだった。しかし、彼らにも映画を救う力はなかった。

 「Prakash Electronic」は、監督が能力不足だと、どんな俳優を起用しても映画は酷い出来になることを如実に証明している映画だ。ほとんど見所はない。間違っても観てはならない映画である。