Half Pant

2.5
Half Pant
「Half Pant」

 2016年11月1日からYouTubeで配信開始された「Half Pant」は、ハーフパンツを巡る短編映画である。監督はアンシュマン・ロウナクとファハド・カーン。キャストは、アヴィラル・ウパーディヤーイ、プリヤンカー・シャルマー、プラシャーント・クマール、テージェーシュワル・スィン、ターシャー・ジャイスワールなどである。

 インドの小学校では5年生以降、ハーフパンツの着用を禁止しているところが多いという事実が知らされた後、物語が始まる。ある日、ナウシャード(アヴィラル・ウパーディヤーイ)が着替えて学校に行こうとすると、母親(プリヤンカー・シャルマー)からハーフパンツを渡される。ハーフパンツを着ていくと友達からからかわれると嫌がるナウシャードに、母親は腕時計を渡し、無理に行かせる。やはり学校でナウシャードはからかわれ、先生(プラシャーント・クマール)からの折檻を受ける。成長したナウシャード(ターシャー・ジャイスワール)は仕立屋になっていたが、看板には「フルパンツ」しか作らないと宣言していた。

 10分ほどの短い映画で、いまいち何を訴えたいのか分からない作品であった。ハーフパンツを禁止する学校への批判なのか、ハーフパンツを着用してきたからといって体罰を加える教師を糾弾しているのか、それとも単にナウシャードの思い出に焦点を当てた映画なのか。「三つ子の魂百まで」の諺通り、子供の頃の思い出は一生残り続けるというメッセージを読み取ればいいのだろうか。

 映画の最後に成長したナウシャードが登場する。彼の家には母親の姿はなく、おそらく既に亡くなっていることが示唆される。彼は母親からもらった腕時計を懐かしそうに眺める。そのまま彼は自転車に乗って町まで行き、自分の名前が入った仕立屋のシャッターを開ける。看板には「フルパンツしか作りません」と書かれている。

 彼にとってハーフパンツは腕時計を並んで母親との大切な思い出のひとつのはずだ。だが、ハーフパンツを作らないことを宣言しているのは、母親に対する反抗のようにも感じられる。ハーフパンツをはいて学校へ行き、自分のようにからかわれたり叱られたりする子供が出ないようにということかもしれないが、それが何か特別な結末につながっているわけでもない。もしかしたら監督や脚本家などの思い出を映画化した作品なのかもしれない。

 「Half Pant」は、ハーフパンツをはいて学校へ行き、痛い目に遭った少年の物語である。シンプルな映画ではあるが、いまいち言いたいことがはっきり伝わってこない映画だ。もう少し補足があってもよかっただろう。


https://www.youtube.com/watch?v=9fpnj5PNf4A