Laal Rang

4.0
Laal Rang
「Laal Rang」

 映画に登場するマフィアが密売するものと言えば麻薬や武器が有名だが、インドではどうも血液も密売の対象となっているようである。2016年4月22日公開の「Laal Rang(赤い色)」は、血液の違法な売買を題材にしたハードボイルドな映画だ。

 監督は「Youngistaan」(2014年)のサイヤド・アハマド・アフザル。主演はランディープ・フッダー、アクシャイ・オーベローイ、ピヤー・バージペーイー。他に、ラジニーシュ・ドゥッガル、ミーナークシー・ディークシト、シュレーヤー・ナーラーヤン、ラージェーンドラ・セーティーなどが出演している。

 時は2002年。ハリヤーナー州カルナールの医学学校に入学したラージェーシュ(アクシャイ・オーベローイ)は、兄貴肌の青年シャンカル(ランディープ・フッダー)と出会い、彼の弟子となる。また、同じ学年にはプーナム(ピヤー・バージペーイー)がおり、ラージェーシュは彼女と恋仲になる。

 シャンカルは血液の密売をしており、ラージェーシュは彼の仕事を手伝うようになる。ラージェーシュとシャンカルは、プーナムと共に医学学校の血液バンクに所属となり、輸血用血液の横流しをするようになる。また、シャンカルの元には金銭と引き換えに献血をする貧しい人々がひっきりなしにやって来ていた。デング熱が流行し出すと、血液の需要が高まり、シャンカルの血液ビジネスは巨万の富を稼ぎ出した。

 ところが、献血をしてばかりいた男が急死したことで、ガジラージ警視(ラジニーシュ・ドゥッガル)は血液の違法売買に目を光らせるようになる。また、デリーとカルナールの間を往復して血液を運んでいた男が逮捕される。プーナムとの結婚を考えるようになったラージェーシュは、シャンカルから独立し、自分で血液ビジネスを立ち上げる。

 ラージェーシュが最初に独立して血液を輸血した相手がHIVに感染し自殺してしまう。それをきっかけにガジラージ警視はラージェーシュに尋問し、ボスを聞き出そうとする。ラージェーシュはシャンカルの名前を警察に伝えようとするが、そこへシャンカルが現れる。二人は初めて出会ったときのようにバイクで一緒に走りまわる。翌日、シャンカルは自首する。

 5年後。ラージェーシュはプーナムと結婚しており、最初の子供が生まれていた。刑期を終えて釈放されたシャンカルはラージェーシュを訪ね、二人を祝福する。

 「Laal Rang」は、2002年に実際に起こった事件を元に作られた映画である。その元の事件を特定することはできなかったのだが、血液の盗難や密売を巡る事件だったのだと思われる。インドにおいて、血液を巡ってこのような裏ビジネスが横行していることを指摘した映画は過去にあまりなく、非常に斬新なテーマの映画になっていた。

 テーマのユニークさに加えて、ランディープ・フッダー演じるシャンカルのキャラクターが、男気あふれるかっこいいキャラで、最初から最後まで清々しい。ラージェーシュがシャンカルの見よう見まねで始めた血液密売のビジネスが詰めの甘さから失敗し、警察の捜査網に引っかかってしまう。その裏ビジネスに関わっていた多くの人々が逮捕される中、誰もシャンカルの名前を出さなかった。だが、シャンカルは、自分が直接したことではない行為の罪を一身にかぶり、自首して刑務所に入る。そして出所した後は、幸せそうにしているラージェーシュに心からの祝福を与える。なんとかっこいいキャラなのであろうか。

 また、シャンカルには一途に恋した女性がいた。現在は医者をするラーシ(ミーナークシー・ディークシト)は、血液泥棒をして生計を立てるシャンカルとは結婚できないと言う。シャンカルはそれを受け容れる。その恋愛からもかっこよさがにじみ出ていた。

 結局、ランディープ・フッダーのかっこよさがこれでもかと強調された映画であった。確かに彼の行う行為は違法ではあるが、どんな手段を使っても血液を手に入れようとする人や、血液を売ることで日銭を稼ごうとする人からは、神様のように崇められていた。そして彼は部下を決して裏切らず、いざとなったら自分が矢面に立つ。男の鑑のようなキャラであった。

 シャンカルを崇める者の一人、ラージェーシュは、相対的に臆病でずる賢い人間として描かれていた。シャンカルを慕っていたが、次第に自分の分け前が少ないことに不満を持つようになり、最終的にはシャンカルと袂を分かつ。そして、自分が逮捕・起訴されそうになると、シャンカルの名前を出して助かろうとする。凡人ではあるが、彼の存在がシャンカルのカリスマ性を余計輝かせていた。

 ハリヤーナー州が舞台の映画であり、台詞はほとんどがハリヤーンヴィー方言のヒンディー語である。中でもランディープ・フッダーはハリヤーナー州生まれであり、自分の母語をしゃべっていたことになる。標準ヒンディー語の語学力では聴き取りが困難であるが、その粗野な響きは映画を盛り上げる要素となっていた。

 ヤマハのRX100というバイクがやたら祭り上げられていた映画でもあった。このバイクに乗る男性はどんな女の子からもデートを断られない、というほどの人気とされていた。このバイクは1985年から1996年まで、ヤマハから技術供与を受けていたインド企業エスコートが製造・販売していた。この映画の大部分の時間軸は2002年であるため、時代考証的にはおかしいことになる。

 血液型占いを信じるのは日本人だけかと思っていたが、「Laal Rang」は血液が主題の映画ということもあり、台詞の中で、血液型占い的なことを言っているシーンがあった。また、インド人にはB型が多いとされているが、映画の中で、「B+」の血液は多すぎてあまり価値がないようなことも述べられており、B型が多い国民というのは本当なのかもしれない。

 「Laal Rang」は、インドで横行する血液密売ビジネスを取り上げたハードボイルドな映画である。そのテーマの斬新さや、主演ランディープ・フッダーのかっこよさがこの映画の大きな取り柄である。興行的には振るわなかったようだが、隠れた名作と評することができる。


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