2016年2月5日にIndie Muvizで配信された「Taandav」は、マノージ・バージペーイー主演の短編映画である。上映時間は11分ほどで短く、内容もそれほど説明的ではない。断片的な映像をつなぎ合わせてストーリーを想像する必要がある。
監督はデーヴァーシーシュ・マキージャー。過去に「Oonga」(2013年)という長編映画と数本の短編映画を撮っているが、ほとんど無名の映画監督である。
マノージ・バージペーイーが演じるのはターンブレーという名の巡査長だ。彼は娘を私立の学校に入学させようとしたが、学校から少なくとも50万ルピーの寄付金を要求されていた。彼は担当する事件の中で容疑者から124万2,600ルピーの現金を押収する。部下たちからはそれを横領して山分けすることを提案されるが、彼はそれをきちんと警察に報告する。おかげで部下たちや家族からは白い目で見られるようになった。ガネーシュ・ヴィサルジャンの警備担当になったターンブレー巡査長は音楽に合わせて踊り出し、それが動画投稿サイトにアップロードされ、有名になる。そんなあらすじの映画である。
ターンブレー巡査長は、たとえ私生活で金が入り用であっても、不正をして金を作ろうとは思わない実直な警察官であった。それが周囲との軋轢を生むが、彼は全く気にしない。だが、ガネーシュ生誕祭の日、ターンブレー巡査長は我慢しきれず音楽に合わせて踊り出す。それが、破壊神シヴァが世界を破壊するときに踊る「ターンダヴァ」に似ているとされる。
上映時間が短い上に、断片的かつ象徴的な映画であった。視聴者によってその解釈は様々になるだろうが、個人的には、不正が横行するインド社会において実直に生きる警察官の生きにくさが凝縮されていた映画だと感じた。彼が最後に踊るターンダヴァにも当然のことながら深い意味が込められているのだろう。正しいことをしていながら、部下や家族から非難される理不尽さは、シヴァ神の踊る破壊の踊りで表現したものだと思われる。
ただ、なかなかつかみ所のない映画だ。それぞれの感性で感じ取るべき短編映画だといえる。