Strings

1.5

 今日は、2006年7月14日から限られた映画館で封切られた「Strings」というヒングリッシュ映画が気になっていたので、それを観ることにした。グルガーオンのPVRメトロポリタンで観た「Strings」の監督はサンジャイ・ジャー、音楽はズビーン・ガルグ。キャストは、アダム・ベーディー、サンディヤー・ムリドゥル、ヴィニート・クマール、タニシュター・チャタルジーなど。

 英国人の若者ワレン・ヘースティングス(アダム・ベーディー)は、恋人のインド人女性マーヤー(サンディヤー・ムドガル)と共にクンブメーラーを見にマハーラーシュトラ州の聖地ナーシクへやって来た。ワレンは、マーヤーの友人クリシュナー(タニシュター・チャタルジー)が住む寺院に泊まることになった。寺院の住職(ヴィニート・クマール)も彼を歓迎する。

 ワレンの祖父は、英領時代にインドに駐在していた官僚であった。その祖父の手記を愛読していたワレンは、インドに対していろいろな想像を掻き立てていた。目の前で繰り広げられるクンブメーラーやナーシクの雰囲気は、祖父の手記のままの神秘的な光景であった。そんな中、彼は宗教的生活を送るクリシュナーに惹かれ出す。マーヤーが仕事でゴアへ行っている間に、二人の関係は肉体関係まで行ってしまう。

 クリシュナーはそのことを後悔し、住職に打ち明けると同時に、ワレンを避けるようになる。ナーシクに帰って来たマーヤーは、ワレンとクリシュナーが仲良くなっているのを見てショックを受ける。ワレンもどう行動していいのか分からなくなるが、最後には思い切ってクリシュナーに思いを打ち上ける。最終的には住職も二人の仲を認める。

 2003年にナーシクで行われたクンブメーラーを舞台に繰り広げられる男女の三角関係を描いた映画。クンブメーラーとは、イラーハーバード(プラヤーグ)、ハリドワール、ウッジャイン、ナーシクの四大聖地で4年ごとに持ち回りで行われるヒンドゥー教最大の祭りである。大量のサードゥや信者たちが大集合することで有名だ。実際のクンブメーラーの時期に撮影されただけあって、その映像には迫力があった。

 しかしながら、脚本は全く薄っぺらで、しかも前後の脈絡がよく分からない。クンブメーラーのドキュメンタリー映画に無理矢理ストーリーを乗っけたような作品であった。観て損したというレベルの駄作である。

 キャストの中で最も見覚えのある顔はサンディヤー・ムリドゥルであろう。サンディヤーは、「ヒロインの友人」を演じることの多い脇役女優で、「Page 3」(2005年)の演技が記憶に新しい。決して美人ではないが、自分の役割をちゃんと理解して演技をすることのできる女優だと僕は思っている。もう一人のヒロイン、タニシュター・チャタルジーは、今まで数本の映画に出演しているものの、僕は初めてスクリーンで見た。やはり美人とは言えないのだが、演技は無難であった。

 最も演技に難があったのは、主人公ワレンを演じたアダム・ベーディーである。てっきり英国人俳優かと思っていたが、調べてみたらビックリ、インド人俳優カビール・ベーディーの息子で、しかもモデルとして活躍しているらしい。カビール・ベーディーは今まで3回結婚しているが、2番目に結婚した英国人女性スーザン・ハンプレーとの間の子供であろう。ちなみに女優プージャー・ベーディーは、最初の妻プロティマー・ベーディーとの間に出来た娘である。

 インド映画よろしく、挿入歌の数も多かった。しかもどれも雰囲気にそぐわないものばかりで、映画をいやがうえにも盛り下げた。ちなみに、挿入歌のひとつ「Mantra」は、マイティリー文学(ビハール州北部ミティラー地方の文学)の巨匠バーバー・ナーガールジュンの詩がベースとなっている。

 4つのクンブメーラーを全て観た人に言わせれば、やはりプラヤーグのマハークンブメーラーが最大規模らしい。映像で見る限り、ナーシクのクンブメーラーは思っていたほど迫力のあるものでもなさそうであった。しかし、ちんちん丸出し素っ裸のサードゥたちの映像がそのまま使われていたので面白かった。

 クンブメーラーを舞台にしている点で「Strings」はひとつの挑戦に取り組んでいる作品だが、肝心のストーリー部分は駄作そのものなので、無理して見る必要はないだろう。