Ek Se Badhkar Ek

2.5

 2004年9月17日から公開されたヒンディー語映画は「Ek Se Badhkar Ek」1本だけだった。あまり面白そうな映画ではなかったが観に行くことにした。PVRアヌパム4で鑑賞した。題名は意訳すれば「次から次へ」みたいな意味である。監督はクンダン・シャー、音楽はアーナンド・ラージ・アーナンド。キャストはスニール・シェッティー、シェーカル・スマン、ラヴィーナー・タンダン、イーシャー・コッピカル、グルシャン・グローヴァー、マカランド・デーシュパーンデーなど。

 ラーフル(スニール・シェッティー)は庭師の息子だったが、なぜか父親が働いていた大富豪の遺言により、40億ルピーの遺産を相続することになった。ところがそれには条件があった。ラーフルは、街で一番のマフィアのドンにならなければならなかった。この条件は、弁護士のアーナンド(シェーカル・スマン)が、自作の小説のストーリーと、遺言書の内容を間違って入れ違えて書いてしまった結果だった。ラーフルはマフィアのドンになって40億ルピーを手に入れるために、アーナンドと共に頑張るが、なかなかうまく行かなかった。

 そんなとき、ラーフルはおっちょこちょいな女警察官のカンチャン(ラヴィーナー・タンダン)と出会う。カンチャンはラーフルと同じアパートの同じフロアに住んでおり、マフィアのドンを捕まえて大昇進を狙っていた。ラーフルの身の上話を聞いたカンチャンは、お互い協力し合うことを提案する。つまり、カンチャンはラーフルがマフィアのドンになるのを助け、それが適った暁にはカンチャンが彼を逮捕して大手柄を挙げるというものだった。一旦は手を結ぶ2人だったが、馬が合わなかったためにすぐコンビ解消となる。

 そのとき、街にジンダール(グルシャン・グローヴァー)というマフィアのドンが潜伏しているという情報が警察に入ってくる。カンチャンはジンダールを逮捕することを計画する。ジンダールは、会議に出席するために街に来ていた核科学者のクリシュナムールティ(マカランド・デーシュパーンデー)を拉致するために来ていた。アーナンドもその情報をキャッチし、マフィアのドンになるため、クリシュナムールティの拉致をラーフルに持ちかける。また、謎の組織の工作員トレーシー(イーシャー・コッピカル)もクリシュナムルティー拉致を狙っていた。

 会議に潜入したラーフルは、カンチャンの陰謀により間違ってジンダールを拉致してしまう。それでも、ジンダールがラーフルをドンの中のドンと認めれば法的には遺産相続が可能となるため、拉致したジンダールにラーフルをドンの中のドンと認めさせる。こうしてラーフルはめでたく40億ルピーを相続するが、クリシュナムールティ誘拐の容疑をかけられて警察に逮捕されてしまう。実は、クリシュナムールティはトレーシーにより拉致されていた。ラーフルらは逃げ出し、何とかしてクリシュナムールティを救い出そうとする。クリシュナムールティ誘拐にはパーキスターンの諜報機関ISIも関わっており、引渡しにはラージャスターン州の国境近くにあるホテルが選ばれた。そのホテルには、ラーフル、アーナンド、カンチャンをはじめ、トレーシー、警察、CBI(インドの諜報機関)、ジンダール、ISIなどが大集合した。インドの警察側はクリシュナムールティのそっくりさんを連れて行ったが、ISIも同じくそっくりさんを連れて行ったため、現場には3人のクリシュナムールティが揃ってしまうことになった。その中からISIは1人を連行したが、それは偽物だった。ジンダールも1人を連れ帰ったが、それも偽物だった。結局本物のクリシュナムールティはインド側が取り戻した。また、トレーシーの正体はインド政府によって送り込まれたエージェントだった。

 10~20年前のB級インド映画みたいな、完成度の低いコメディー映画だった。場面場面では大爆笑できるのだが、映画全体の質は非常に低い。笑いの傾向は日本のTV番組のコントと似ている。

 爆笑ポイントはいくつかある。例えば冒頭の銀行強盗シーン。ラーフルとアーナンドは、ドンへの道の第一歩として銀行強盗を企てるが、ラーフルは間違えて携帯電話を持って銀行員に「出せ!出せ!」と言ってしまう。銀行員は何が何だか分からない。そこで突然携帯電話が鳴り出す。銀行員に「鳴ってますよ」と言われて初めてラーフルは自分が銃ではなく携帯電話で銀行強盗をしようとしていたことに気付き、その場に卒倒してしまう。また、予め銀行強盗襲撃の情報を得ていたCBIは、包囲網を敷いていた。そこへ本物の銀行強盗が現れ、CBIは彼らを逮捕して金を取り戻すが、遅れてやって来たカンチャンら警察官たちがCBIを銀行強盗と間違えて逮捕してしまい、本物の銀行強盗を逃がしてしまう。

 一番の爆笑シーンは、ラーフル、アーナンド、カンチャンや、警察、CBI、ジンダール、トレーシーたちがサルダールジー(スィク教徒)の格好をして、画廊にやって来る場面である。クリシュナムールティを誘拐したトレーシーは、ジンダールと身柄の引渡しを計画し、新聞に暗号で「マッシュルーム、画家、ヒマワリ、サルダール、画廊」と広告を出す。マッシュルーム=核兵器、画家=科学者と解読したラーフルらは、サルダールジーの格好をしてヒマワリを持って画廊へ現れるが、そこには同じく暗号を解読した警察、CBI、ジンダールらも到着していた。誰が誰だか分からないまま核科学者を巡る交渉があちこちで行われ、結局引渡しは失敗する。

 スニール・シェッティーとラヴィーナー・タンダンがコメディーに挑戦していたのは珍しかった。2人ともコメディーのイメージがないため、多少違和感があったが、十分笑うことができた。グルシャン・グローヴァーはおかしな悪役を演じたら右に出る者はいない。イーシャー・コッピカルは役が悪かったためアピールに欠けた。

 音楽、ミュージカルシーンは共に全然駄目。映画の完成度をさらに低いものにしていた。

 決してつまらない映画ではなく、3時間の上映時間の内、数回の爆笑は少なくとも保証されるが、優れたコメディー映画ではないため、それらの散発的爆笑から十分な満足感は得られないだろう。