Khel

2.5
Khel
「Khel」

 ちょうど2ヶ月前にグルガーオンを訪れて、そのショッピングモールの発展ぶりに驚いたものだが、今日再び行ってみたら、モールにさらに店舗が入っており、ますます発展していた。この辺りにはさらにモールが立ち並びそうなので、もう少し経てば、デリー圏最大のショッピングストリートになるだろう。今日はPVRメトロポリタンで、2003年10月3日公開の新作ヒンディー語映画「Khel」を観た。

 「Khel」とはゲーム、スポーツ、遊びという意味。この映画では「犯罪の駆け引き」みたいな意味になるだろう。監督はユースフ・カーン。キャストはサニー・デーオール、スニール・シェッティー、セリーナ・ジェートリー、アジャイ・ジャーデージャー、グルシャン・グローヴァー、スハースィニー・ムレーなど。

 大物実業家のデーヴ・マッリヤー(スニール・シェッティー)は、偶然出会った若手インテリアデザイナー、サーンジュ・バトラー(セリーナ・ジェートリー)に一目惚れし、彼女に自宅のインテリアのデザインを注文する。デーヴには兄弟同然に育ってきた幼馴染み、ローハン・ポッダール(アジャイ・ジャーデージャー)がいた。目的のためなら手段を選ばないデーヴの荒い性格とは対照的に、ローハンは誰からも好かれる優しい性格だった。ローハンもたまたまサーンジュと出会い、サーンジュはローハンに惹かれる。

 ローハンとサーンジュの仲がいいことを知ったデーヴは、嫉妬しながらも二人の結婚を仲介する。ところがあるとき、ローハンは暴徒に襲われていた売春婦を救おうとして誤ってその売春婦を撃ち殺してしまう。すぐに駆けつけた警察にローハンは逮捕される。

 デーヴは弁護士を呼び出す。弁護士はてっきり彼がローハンを助けるために呼び出したものと思ったが、彼が指示した内容は、「デーヴを一生牢屋から出れないようにしろ」だった。弁護士たちの巧みな策略により、法廷でローハンは付き合いのあった売春婦を私情によって撃ち殺したとされ、無期懲役を言い渡される。ローハンに裏切られて泣き崩れるサーンジュを、デーヴが優しく抱きしめる。やがてデーヴとサーンジュの結婚が決まる。

 偶然ローハンと顔見知りだった警察副本部長ラージヴィール・スィンディヤー(サニー・デーオール)は、ローハンのニュースを新聞で知り、彼が殺人をするのはおかしいと予想する。ラージヴィールは事件を調べる内に、大富豪デーヴ・マッリヤーの行動の不可解さに気付き、サーンジュが事件の隠された中心であることを確信する。ラージヴィールはローハンの事件の再審判をさせるが、その裁判の日にデーヴとサーンジュの結婚式が行われていた。結婚の儀式を急がせるデーヴだったが、あと少しのところでラージヴィールとローハンが現れる。ローハンは無罪となって釈放されていた。デーヴは最後のあがきをしてラージヴィールに襲い掛かるが、乱闘の末ラージヴィールに打ち負かされ、逮捕される。こうしてローハンとサーンジュはめでたく結婚となった。

 前半は退屈な恋愛劇で眠たくなるが、中盤ローハンが逮捕される辺りから割と楽しくなり、インターミッションの後サニー・デーオールの登場によって、典型的暴力刑事映画となる。総合評価は、「見なくてよし」である。

 「Khel」という題名なのだから、さぞかし登場人物同士の駆け引きのやりあいで、次々とどんでん返しが起こるかと思っていたが、ストーリーは非常にシンプルかつストレートだった。前述の通り、前半は非常に退屈。インターミッションに入ると「And The Game Begins…」と出るので、これから急速に楽しくなるのかと思ったら、普通のインド映画の筋と大して変化はなくガッカリ。サニー・デーオールとスニール・シェッティーの対決が一応この映画の目玉だったようだが、二人の駆け引きがあったのは後半のわずかな時間だけで、直接の肉弾戦はお約束のクライマックスのみでしかもすぐに決着がつく。

 サニー・デーオールの登場シーンはなかなかかっこよかった。悪漢たちを一人で次々となぎ倒すのだが、サニーのパンチが敵に当たると、敵の身体が一瞬レントゲン写真のようになって骨格が表れ、それがゴキッと折れたりする。

 主演女優、セリーナ・ジェートリーは2001年度のミス・インディア・ユニバースらしい。しかしやたら老けて見えたので全然魅力的ではなかった。スニール・シェッティーは普段とあまり変わらない役柄で別段何も取り上げるところがない。サニー・デーオールが出てくると全部同じ映画になってしまうのも泣けてくる。もっと工夫してくれ・・・。アジャイ・ジャーデージャーが演じたローハンのキャラクターは、唯一この映画で光っていたところで、そのおかげで観客は彼に感情移入ができたと思う。しかし後半になるとローハンも輪郭のぼやけたキャラに成り下がってしまうのが残念である。