Albela

2.5
Albela
「Albela」

 2001年4月20日公開の「Albela(ユニーク)」は、「ローマの休日」(1953年)に似たお姫様×庶民のロマンス映画である。ただし、2組のカップルが出て来て交錯する点が新しい。

 監督は「Jab Pyaar Kisise Hota Hai」(1998年)のディーパク・サリーン。主演はゴーヴィンダーとアイシュワリヤー・ラーイ。ジャッキー・シュロフとナムラター・シロードカルが助演で出演している他、サンジャイ・ミシュラー、サイード・ジャーファリー、マーヤー・アラグなどが起用されている。

 映画の舞台はマラガというインドの島である。ただし、インドにそのような名前の島はなく、架空の地名だと思われる。映画の中ではゴアの近くにある島だとされている。ロケはモーリシャスで行われたようだ。

 オーストリア人の王族でかつてインド大使を務めたハインツ(サイード・ジャーファリー)とインド人の母ジェニファーの間に生まれたソニア(アイシュワリヤー・ラーイ)は、乳母(マーヤー・アラグ)と共にオーストリアからシンガポールへ行く途中、ムンバイーでストップオーバーし、マラガ島を訪れた。マラガ島は亡き母親の生まれ故郷であり、彼女の墓もあった。ソニアはかねてからマラガ島行きを切望していたのである。

 マラガ島に着いたソニアは、ローカルガイドのトニー(ゴーヴィンダー)と出会う。トニーはソニアの母親の墓を見つけ出したりして島を案内している内に彼女に恋してしまう。トニーの幼馴染みニーナ(ナムラター・シロードカル)はトニーに片思いしており、ソニアの前で鼻の下を伸ばすトニーに嫉妬するようになる。

 ソニアはマラガ島で偶然プレーム・アーリヤ(ジャッキー・シュロフ)を見掛ける。過去にソニアはオーストリアでプレームと出会って恋仲になったが、ジェニファーに裏切られたと思っていたハインツはインド人を嫌っており、二人の結婚を認めなかった。ソニアも父親を裏切れず、プレームとの結婚を諦めた。その後、プレームとは音信不通になっていたが、マラガ島に住んでいたのである。トニーとプレームは知り合いだった。何も知らないトニーはプレームをソニアに紹介する。

 ソニアは、ニーナがトニーに片思いしていることを知り、トニーにそのことを話す。トニーはソニアから告白されたと勘違いし、ソニアに愛の告白をする。ソニアもそれが自分に向けられているとは気付かなかった。

 マラガ島にハインツがやって来る。ソニアがプレームと会っていると知ったハインツはすぐに彼女をマラガ島に帰そうとする。ソニアはトニーと会い、別れを告げるが、トニーをオーストリアに呼ぶことを思い付く。だが、トニーはニーナが自分のことを好きだと知り、ソニアとオーストリアに行くことを止め、ニーナとマラガ島に残ることを決める。ソニアは最後に母親の墓参りをするが、神父から母は伝染病に罹っており、夫と子供を守るために一人オーストリアを離れてマラガ島で息を引き取ったことを知らされる。それを知ったハインツはインド人に対する考えを改め、ソニアとプレームの結婚を認める。

 作りは雑である。ソニアがオーストリア人とインド人の血を引いた姫であること、マラガ島がインドの島であること、トニーとニーナの関係など、物語世界に入り込むために必要な情報が丁寧に提供されておらず、序盤は観客を置いてけぼりにして突っ走っている感が強かった。たとえば、マラガ島のシーンはモーリシャスで撮影されているので、自動車が右側通行だったりして、明らかにインドではない。ここはインドなのか外国なのか、気になってなかなかストーリーに入り込めないのである。

 しかしながら、ヒロインのアイシュワリヤー・ラーイは神々しいくらい美の絶頂期にあり、彼女を眺めているだけで至福の時間が過ぎていく。オーストリアの王族の血を引く姫という設定も彼女ならば許されてしまう。彼女の存在がこのチグハグな映画をかなり救っていた。

 いかにもおじさんの風貌をしたゴーヴィンダーとアイシュワリヤーは普通に考えたらスクリーン映えしないのだが、彼の演じるトニーは口達者なガイド役であり、姫と庶民のギャップを演出するのには格好の取り合わせであった。さらに、ゴーヴィンダーのコメディアン振りが遺憾なく発揮されており、特にソニアの父親とのやり取りは爆笑せずにはいられない。ゴーヴィンダーも十分この映画を救っていた。

 ロマンス映画ではあるが、中でもこの「Albela」で焦点が当てられていたのがインド人女性の持つ自己犠牲の心である。この映画には2人の女性が出て来る。ソニアとニーナである。ソニアの亡き母ジェニファーを含めるならば3人である。そして3人とも誰かのために自分を犠牲にしていた。ソニアは、父親のために恋人プレームとの結婚を諦めた。ニーナは、トニーのことが好きだったが、トニーがソニアを好きだと知って、彼を諦めた。ジェニファーも、感染症に罹り、夫と娘に伝染させてはならないと、生まれ故郷で孤独に死ぬことを決めた。それぞれ、自分の幸せではなく他人の幸せを追求する生き方をしており、映画の中でそれは「インド人女性にしかできない」と賞賛されていた。

 だが、3人の女性たちの自己犠牲は最後には果実を結ぶ。ソニアはプレームとの結婚を認められ、ニーナはトニーを取り戻し、そしてジェニファーも死後にではあるが夫からの誤解を解くことができた。

 ポイントになるのは、トニーが失恋したと思っていないことだ。ソニアが愛していたのは一貫してプレームであった。だが、トニーは勘違いからソニアから愛の告白をされたと思い込み、有頂天になっていた。普通ならばソニアはプレームとの結婚を実現するためにトニーを振らなければならなかったが、トニーの早とちりは突き抜けており、エンディングでは自分がソニアを振ったと思い込んでいた。彼の純粋さが、この複雑な人間関係をハッピーエンドでまとめる原動力になったのは間違いない。

 音楽監督はジャティン・ラリトである。妄想でのダンスシーンが多く、ストーリーと楽曲の親和性は低い映画だ。各楽曲の質も並程度で、有名なものはない。

 「Albela」は、美の絶頂期にあるアイシュワリヤー・ラーイが、優れたコメディアンであるゴーヴィンダーと共演した明るいロマンス映画である。序盤は雑然としている上に大した事件もなく退屈だが、ジャッキー・シュロフが出て来る中盤以降は人間関係に動きが出て面白くなる。無理して観る必要はないが、部分的に見所はある作品だ。


गोविंदा और ऐश्वर्या की जबरजस्त कॉमेडी मूवी | Albela (2001) | Bollywood Comedy Movie