Junglee (1961)

3.0
Junglee
「Junglee」

 1961年10月31日公開の「Junglee」は、カルト的人気を誇るラブコメ映画である。題名の「ジャングリー」とは、「野蛮人」という意味だ。「森林」を意味する英語の単語「jungle」の由来となったヒンディー語の単語「जंगलジャンガル」から派生した。ラージ・カプール監督・主演の傑作「Awaara」(1951年)で、ナルギス演じるリターがラージ・カプール演じるラージに「ジャングリー」と呼びかけていたのを思い出す。

 監督はスボード・ムカルジー。ヒンディー語映画界の名門カプール家に匹敵する名家であるムカルジー=サマルト家に属する映画監督であり、男優のアショーク・クマール、アヌープ・クマール、キショール・クマールのガーングリー三兄弟や、カージョル、ラーニー・ムカルジーといった女優も一族である。音楽はシャンカル=ジャイキシャン、作詞はハスラト・ジャイプリーとシャイレーンドラ。

 主演はラージ・カプールの弟シャンミー・カプール。ヒロインは新人のサーイラー・バーヌー。他に、シャシカラー、アヌープ・クマール、ラリター・パーワル、アズラー、モニ・チャタルジー、アスィト・セーン、シヴラージ、マック・モーハン、ラジャン・ハクサルが出演している。また、ヘレンが「Aai Aai Aa Sukoo Sukoo」などでアイテムガール出演している。

 舞台はボンベイ。チャンドラシェーカル、通称シェーカル(シャンミー・カプール)は、死んだ夫の定めた掟を順守する厳格な母親(ラリター・パーワル)に厳しく育てられたため、病的なくらい規則正しく過ごし、他人にも極度に厳しく、少しも笑みを漏らさない非人間的な人物だった。シェーカルにはマーラー(シャシカラー)という妹がいた。マーラーは母親や兄に内緒で、シェーカルが社長を務める会社の社員ジーヴァン(アヌープ・クマール)と結婚し、密会を繰り返していた。

 母親は、マネージャー(シヴラージ)からマーラーが誰かとデートしていると聞き危機を覚え、シェーカルとマーラーをしばらくの間カシュミールに送ることにする。カシュミールでシェーカルは、天真爛漫な女性ラージクマーリー(サーイラー・バーヌー)と出会う。ラージクマーリーの父親(モニ・チャタルジー)は医者で、具合が悪くなったマーラーを診察する。そして、彼女が妊娠していると診断する。マーラーはラージクマーリーに頼み、兄や母親には内緒にしてもらう。マーラーが臨月を迎えると、ラージクマーリーは機転を利かせてシェーカルをシェーシュナーグに送る。だが、シェーシュナーグで嵐となり死人が出たとの知らせを受けて心配になったラージクマーリーはシェーカルを追いかける。二人は吹雪に巻き込まれ、吹雪が止むまでのしばらくの間、山小屋で一緒に過ごす。このとき、シェーカルは初めて恋を知り、全く性格が変わってしまう。

 シェーカルとラージクマーリーが戻ると、マーラーの子供が生まれていた。母親から呼び出しがあったため、マーラーは生まれたばかりの子供をラージクマーリーと彼女の父親に託し、ボンベイへ向かう。

 母親はシェーカルを、夫が生前にした約束に従って、ラームガルの王族の娘(アズラー)と結婚させようとしていた。カシュミールから帰ってきたばかりのシェーカルはラームガルに送られるが、そこでわざと奇行を見せて縁談を破談にさせようとする。だが、ラームガルの王族は経済的に困窮しており、シェーカルの財産が目当てで娘を嫁入りさせようとしていた。シェーカルの奇行にもかかわらず彼らは縁談を進める。

 ラージクマーリーは父親やマーラーの子供と共にボンベイにやって来た。シェーカルの母親は彼女をラームガルの姫だと勘違いし歓待する。だが、後から別人だったと知って追い出そうとする。ラージクマーリーもショックを受けるが、シェーカルは彼女と何としてでも結婚しようとする。一方、ラームガルの王族はマーラーの子供をラージクマーリーの子供だと吹聴してシェーカルとラージクマーリーの結婚を破談に持ち込もうとする。だが、マーラーがそれを自分の子供だと明かしたことで、母親も考えを変える。ラームガルの王族たちは金を持って逃げようとし、シェーカルがそれを止める。母親はシェーカルとラージクマーリーの結婚を認める。

 「Junglee」といえば何といっても「ヤーフー!」の掛け声である。亡き父親の掟を守り、一生に一笑もせずに生きてきたシェーカルが、雪深いカシュミールでラージクマーリーと恋に落ち、すっかり性格が変わってしまったとき、「Chahe Koi Mujhe Junglee Kahe(誰かが私を野蛮人と呼んだとしても)」が流れるが、この歌のシンボルになっているのが「ヤーフー!」という野生の叫びである。この歌自体はムハンマド・ラフィーが歌っているが、「ヤーフー!」の掛け声は、たまたま録音の場に居合わせたプラヤーグ・ラージという名前の「Junglee」とは関係ない脚本家が発したものだったという。

 また、「Junglee」はカシュミール渓谷でロケが行われたもっとも初期のもっとも有名な映画である。当時インドではまだ珍しかったイーストマン・カラーで彩色されたカラー映画であり、「この世の天国」と形容されるカシュミール渓谷の美しい景色がスクリーンに映し出される。物語の背景になっている光景も、「Junglee」が上映される映画館に多くの観客を呼び込んだことだろう。全体の半分くらいがカシュミールを舞台としており、上述の「Chahe Koi Mujhe Junglee Kahe」を含め、いくつもの歌と踊りが当地で撮影されている。その中でもカシュミールとサーイラー・バーヌーの美しさを引き立てているのが、シュリーナガルのシャーリーマール庭園やダル湖で撮影された「Kashmir Ki Kali Hoon Main(私はカシュミールの蕾)」だ。「Junglee」の後にシャンミー・カプールがシャルミラー・タゴールと共演した「Kashmir Ki Kali」(1964年)という映画があったために勘違いしやすいのだが、「Kashmir Ki Kali Hoon Main」は「Junglee」の曲である。

 世紀の大ヒット作になった「Junglee」の勝因をこれらに求めることは容易なのだが、改めてこの映画を観てみると粗も目立つのである。たとえば、シェーシュナーグで吹雪に見舞われ山小屋でラージクマーリーと二人きりで過ごすことになったシェーカルは、彼女への恋で性格が180度変わってしまうが、この変貌があまりに唐突すぎた。もう少し丁寧に変化の過程を描くべきだった。カプール兄弟の中でも特にハンサムだと見なされ、「インドのエルビス・プレスリー」と呼ばれていたシャンミー・カプールの持ち味は陽気なプレイボーイ役であり、「ヤーフー!」の掛け声とともに真のシャンミーが解放されたわけだが、それまでの仏頂面のシェーカルの演技はわざとらしく、かえって滑稽であったことも付け加えておく。

 ヒトラーのように独裁者然として振る舞う母親も負けず劣らず滑稽だった。いくら亡き夫の言い付けだとはいえ、息子に対して「少しも笑うな」と教える母親がこの世にいるだろうか。そういう物語だとしても、いまいち同意することができなかった。そしてこの母親の心変わりも突然である。ラームガルの王族が悪人だったことが分かったのはいいが、その直後にコロリと態度を変え、シェーカルとラージクマーリーの結婚を認め、マーラーとジーヴァンの子供を我が孫として受け入れる。非常に強引なストーリー運びだった。

 このように、「Junglee」は決して完成度の高い映画ではない。だが、時代に響き渡る「ヤーフー!」の掛け声とシャンミー・カプール得意のダンスが人々の心を捉え、サーイラー・バーヌーの新鮮な美しさやカシュミール渓谷の美観が目を楽しませたために、興行的な大成功を収めたのだろうと分析できる。そして、この映画がまとっているカルト的なオーラが、現代の観客まで引き付けていると思われる。ただ、やはり「Chahe Koi Mujhe Junglee Kahe」が人気なのであって、映画全体を真面目に評価している人は少ないのではなかろうか。


शम्मी कपूर, सायरा बानो की शानदार रोमांटिक फिल्म | Junglee (1961) | जंगली | Bollywood Classic Movie