Horror Story

3.0
Horror Story
「Horror Story」

 2013年9月13日公開の「Horror Story」は、ヒンディー語映画界でホラー・ジャンルを牽引してきたヴィクラム・バットの脚本による直球のホラー映画である。

 監督はアーユシュ・ライナー。長編映画の監督は初である。起用されているのは新人ばかりだ。カラン・クンドラー、ニシャーント・スィン・マルカーニー、ラヴィーシュ・デーサーイー、ハサン・ザイディー、アパルナー・バージペーイー、ナンディニー・ヴァイド、ラーディカー・メーナン、シータル・スィン、ビクラムジート・カンワルパールなどが出演している。

 大学時代の仲間だったサム(ハサン・ザイディー)、マーゲーシュ(ラヴィーシュ・デーサーイー)、アチント(ニシャーント・スィン・マルカーニー)、ニール(カラン・クンドラー)、ニーナ(ラーディカー・メーナン)、ソニア(ナンディニー・ヴァイド)、マギー(アパルナー・バージペーイー)はバーに集まって飲んだ後、肝試しに幽霊が出るという廃ホテル、ザ・グランディオーズへ行く。このホテルではつい最近、オーナーのヴィクラーント・ナルラー(ビクラムジート・カンワルパール)が自殺したばかりだった。

 7人は裏口から建物の中に入る。特に呪われているとされる3046番の部屋へ行くが、そこのバスルームでサムが何者かに襲われて死に、次にマーゲーシュが殺された。残された五人は脱出口を探すが、来た道は塞がれており、どこからも外に出られなかった。そうこうしている内にソニアも連れ去られる。

 アチント、ニール、ニーナ、マギーの四人は部屋に閉じこもって夜明けまで待つが、ソニアの声が聞こえたため、部屋の外に出る。そこには傷だらけになったソニアがいた。だが、ソニアは自分たちを襲う幽霊の手掛かりを掴んでいた。幽霊の名前はマーヤー(シータル・スィン)だった。かつてこのホテルは精神病院で、マーヤーは家族7人を殺して入院した精神異常患者だった。死んだマーヤーはこの建物に取り憑き、来る者を殺していたのだった。

 アチント、ニール、ニーナ、マギー、ソニアは再び部屋に閉じこもって夜明けまで待とうとするが、やはりソニアは殺されていて、ソニアの振りをして一緒にいたのはマーヤーだった。アチント、ニール、ニーナ、マギーは逃げ出すが、ニーナはホテルの部屋からオカルトの本を探し出し、そこに亡霊を撃退するヒントを見つける。この世に未練を残して死に亡霊となった魂は、何らかの物体を力の源にしている。その物体さえ破壊すれば、亡霊を退治することができるとのことだった。

 彼らは、マーヤーの魂の源になっているのは、彼女に電気ショックを与えたマシーンだと気付く。そして、そのマシーンを燃やせばマーヤーの亡霊は消滅すると考える。ニールとマギーはキッチンまで可燃物を探しに行くが、マギーは殺されてしまう。ニールはケロシンを持って戻るが、そのときまでにアチントも殺されていた。ニールはマシーンにケロシンを掛けるが、戸棚の中に吸い込まれて殺される。残されたニーナはいったん逃げ出すが、レセプションで火を起こすことに成功し、その火を持ってマシーンのところまで行く。マーヤーは彼女を妨害しようとするが、ニーナは何とかマシーンを燃やすことに成功する。マーヤーは苦しみながら消滅する。

 上映時間は1時間30分ほど、キャストは新人のみ、監督もほぼ新人という、完全なる低予算映画である。また、古今東西のホラー映画ですり減るほど使われてきた幽霊屋敷モノのフォーマットにのっとっており、新規性はないに等しい。それでも、変に色気を出さず、基本に忠実にホラーシーンを構築しており、意外に盛り上がるホラー映画に仕上がっていた。奇をてらいすぎて失敗しがちなラーム・ゴーパール・ヴァルマー監督などのホラー映画よりよほど面白かった。

 呪われた廃ホテルに足を踏み入れるのは7人の若者のグループ。男性は4人、女性は3人である。大学時代の仲間で、久々に集まってアルコールを飲み、気が大きくなっている中で肝試しを思い付く。王道の導入部だ。

 インド映画なので、歌と踊りを入れるかどうかは作品のトリートメントを決める重要な岐路になるが、「Horror Story」ではホラーに集中するために一切のソングシーンやダンスシーンを排除している。また、ホラーにエロを混ぜるのも常套手段ではあるが、「Horror Story」には色恋沙汰が全くない。低予算映画ならではの断捨離だったとは思うが、その潔さが逆にホラー映画としての精度を上げていた。

 7人が全員生き残るというハッピーエンドも用意していない。一人、また一人と殺されていく。こうなって来ると最後に誰が生き残るかが楽しみになる。もしくは全滅か。結局は、もっとも奥手そうだった女性ニーナが生き残ることになる。

 中盤までは幽霊の姿を映し出さず、缶が転がったり車椅子がひとりでに動いたりするような怪奇現象の映像表現のみで恐怖を演出していた。これはこれでとても上手だった。中盤以降は、マーヤーという名前の亡霊が姿を現す。そして、マーヤーとは何者なのか、なぜ彼女が亡霊になったのかという背景もきちんと解明されており、すっきりする。マーヤーは「悪魔と結婚した」と主張する精神異常者であり、かつ大量殺人鬼であった。生前から異常者だったため、亡霊になった後も常軌を逸した行動を取るのは理にかなっている。

 キャストの中で、その後スターになった俳優は残念ながらいない。だが、ニール役のカラン・クンドラーやアチント役のニシャーント・スィン・マルカーニーあたりは一定の活躍をすることになる。女優陣ではマギー役のアパルナー・バージペーイーに光るものを感じたが、伸び悩んでいる。

 「Horror Story」は、超低予算のホラー映画だが、ホラー映画というのは元々低予算映画なのであり、原点だといえる。そして基本に忠実に作り上げたことで、意外にのめり込めるホラー映画に仕上がっていた。インドらしさは微塵もなく、スターパワーも全くないが、ホラー映画のあるべき姿を思い出させてくれる作品だ。


Bollywood Superhit Horror Movie Horror Story (2013) | Karan Kundra, Radhika Menon | हॉरर स्टोरी