Kranti

1.0
Kranti
「Kranti」

 2002年3月8日公開のヒンディー語映画「Kranti(革命)」を観た。監督はナレーシュ・マロートラー。ボビー・デーオール、アミーシャー・パテール主演の映画である。他にヴィノード・カンナー、カビール・ベーディーなどが出ていた。前評判はあまりよくなかったのだが、一応この映画のCDを買ってしまったので、上映打ち切りになる前に早急に観ておこうと思った。

 警視総監アヴァデーシュ・プラタープ・スィン(ヴィノード・カンナー)にはアバイ(ボビー・デーオール)という息子がいた。アバイも警官だったのだが、いわゆる暴力警官で、力で事件を解決する癖があったが正義感が人一倍強かった。あるときアバイは1人の泥棒を捕まえた。ところがそれはとてもかわいい女の子だった。泥棒の名前はサンジュナー(アミーシャー・パテール)。アバイとサンジュナーは恋に落ちる。

  インドでは不審なテロ事件が多発しているときだった。アバイはテロ組織の摘発に力を入れていた。そんなとき、大金持ちのラーナー・プラタープ(カビール・ベーディー)の家に泥棒が入り、アバイは駆けつける。アバイはその犯人を逮捕するが、そのときにラーナーの盗まれたカバンの中から、テロ組織と関係のある弾丸を発見する。そしてラーナーがテロ組織と深く関わっていることをアバイは直感する。ラーナーもアバイが危険な人物であることを悟る。

  ところがラーナーが取った手段は常人とは違った。なんとアバイを自分のボディーガードに指名したのだ。一生アバイをボディーガードとしてこき使うつもりだった。ところがアバイはラーナーを訪ねて来たマフィアの仲間を銃殺する。「あなたを守るためだ」と言って・・・。ラーナーも文句は言えず、仕方なくアバイをボディーガードから外す。

  ラーナーは今度も巧妙な作戦を立てる。部下の1人をアバイの元へ送って、アバイを見た瞬間逃げ出させた。アバイは自分の顔を見て逃げ出す不審人物を必死で追いかけ、公衆の面前でつかまえて暴行を加えた。しかしその男は何もしておらず、アバイは暴行の責任を取らされ謹慎処分となる。ところが、その謹慎処分中にもラーナーはアバイをうまく誘い出し、自分の部下をアバイに銃殺させる。これでアバイは殺人罪に問われることになり牢屋に入れられてしまう。

  父親のおかげでアバイは何とか助かり、ラーナーによるさらなるテロ事件を察知する。それは将軍を歓迎する記念式典だった。現場に駆けつけたアバイはテロリストを発見して追い詰め、ヘリコプターに仕掛けられた爆弾のことを知る。そのときちょうど将軍は父のアヴァデーシュと共にヘリコプターに乗り込もうとしていたときだった。アバイは全力疾走でそこまで駆けつけ、間一髪で2人を助ける。そして現場に来ていたラーナーを発見し、ボコボコに殴った後、父親と2人で拳銃を握って、ラーナーを射殺する。こうして2人の警官親子によって、インドの平和は守られたのだった。

 インドでは未だに「ダーディー・ハリー」タイプの無法者警官映画がもてはやされる国なのだ。とにかく観客は正義のヒーローのアクションシーンを見に映画館に来ているようだ。ストーリーは二の次である。この構成はAVビデオにも通じるものがある。アクションシーンさえ良ければ、ストーリーなんてあまり気にしない人が多そうだ。インド人の若者は悪い奴が打ちのめされるのを見て快感を得ているのだろうか・・・?もしそうだとしたら、日頃よっぽど悪い奴にいじめられているのだろう・・・。でもインド人すらこの映画は「ベーカール(失敗作)」と言っているので、少しは安心か。前評判通り、しょうもない映画だった。

 ヒーローのボビー・デーオール、ヒロインのアミーシャー・パテール、僕は双方ともあまり好きな顔ではない。むしろ悪役のカビール・ベーディーが光っていた。コメディーシーンらしきものもなかった。もし万が一あったとしても、とても笑えるようなものではないだろう。音楽はまぁまぁなのだが、ダンスシーンは最低レベルにつまらなかった。おそらく早ければ今週の金曜日に上映が打ち切られるだろう。そしてインド映画の歴史に埋もれて行く作品となるだろう。僕の記憶からも早々に消去されるだろう。この日記を後から読み返したときに、「あ、こんな映画観たっけ?」と首を傾げるくらいだろう。