今日は学校が終わった後、映画を観にPVRナーラーイナーへ行った。ターゲットは2002年2月15日公開の「Haan… Maine Bhi Pyaar Kiya」。PVRナーラーイナーは、高級シネマ・コンプレックスPVRチェーンのひとつで、コンノート・プレイスの西の方、ナーラーイナー・ヴィハール駅のすぐ近くにある。ガウタムナガルからリクシャーで75ルピーだった。初めて行く場所だったので、ほとんどリクシャーワーラーの言い値でOKしてしまったが、おそらくもうちょっと安くいけるはずだ。
今まで行ったPVRアヌパム(サーケート)やPVRプリヤー(バサントローク)は、映画館を中心に高級ショッピング街が出来上がっていたが、PVRナーラーイナーはちょっと力不足だった。マクドナルドやバリスタもないし、オシャレな店もひとつもない。普通の庶民的なマーケットの隅にシネマ・コンプレックスが出来てしまったような感じだった。映画館へ行ってみると今日からちょうどサルマーン・カーンの話題の新作「Tumko Na Bhool Paayenge」(2002年)が封切られていたが、早々に姿を消しそうな「Haan… Maine Bhi Pyaar Kiya」の方を優先することにした。チケットはやはり一律150ルピー。チケットと一緒に小さなカードをくれた。見てみると「Lagaan」(2001年)の絵が印刷されており、「To Aamir and team, Best of luck at the Oscars!」と書かれていた。今年度、アカデミー賞外国映画賞にノミネートされたアーミル・カーン主演の「Lagaan」の応援カードだった。インド中が一丸となって「Lagaan」の応援をしているような感じがして微笑ましかった。しかし僕の予想によると、クリケットを題材にした「Lagaan」はアメリカでは受けないと思われる。もし賞が獲得できたら僕も自分のことのように喜ぶのだが、どうなるだろうか?
「Haan… Maine Bhi Pyaar Kiya」は、やはり人気がない作品らしく、僕が見た回では20人前後しか観客が入っていなかった。題名の意味は、「そう、私も恋をした」。監督はダルメーシュ・ダルシャン。カリシュマー・カプール、アビシェーク・バッチャン、アクシャイ・クマール主演の映画である。カリシュマー・カプールには一度ウダイプルで会ったことがあり、今や思い出の人になっていることと、アミターブ・バッチャンの息子のアビシェーク・バッチャンの演技力・ダンス力を見てみたかったことから、この映画を観ることにしたのだった。ただ、先週公開され始めたばかりなのにも関わらず、今週からもう縮小公開されているところを見ると、あまり出来のいい映画ではないだろうことが予想できた。
プージャー(カリシュマー・カプール)とシヴ(アビシェーク・バッチャン)はデリー在住の若者で、二人とも職探し中に出会い、同じ会社に勤めることになり、そして結婚することになった。一度シヴがプージャーの誕生日をすっぽかしたりして夫婦仲はギクシャクするものの、何とか二人はうまくやっていた。プージャーとシヴはハネムーンでスイスへ行った。ホテルのフロントで偶然シヴは大学時代の知り合いの女の子と出会う。仕事の都合でシヴはその女の子と共にジュネーブへ出掛けるが、帰るときに雪崩で道が封鎖されてしまい、シヴと女の子は一晩モーテルに泊まることになった。その夜、シヴはその娘と不倫してしまう。その事実を知ったプージャーはシヴに一方的に離婚を申し付ける。プージャーは傷心状態のままムンバイーへ行き、そこで映画スターのラージ・マロートラー(アクシャイ・クマール)の秘書の職を得る。やがてラージはプージャーに惹かれていき、求婚するが、プージャーはラージのことが忘れられず、はっきり答えることができないでいた。しかし、結婚の準備は着々と進んでしまっていた。あるときラージ、プージャー、その他の映画スタッフが撮影のためにナイニー・ヒルへ行き、オシャレなホテルに泊まることになった。しかしそのホテルのマネージャーは実はシヴだった。シヴはプージャーと離婚して以来、独身のままでいた。シヴとプージャーは再会するが、プージャーはシヴの不倫のことをまだ怒っており、シヴと話そうとしなかった。ラージはプージャーとシヴの関係など露知らず、シヴに自分の結婚のことを無邪気に話し、シヴに結婚式のコーディネートを依頼する。シヴもプージャーへの責めてもの償いのために、全力を尽くして結婚式を準備することを誓う。結婚式はラージの自宅で行われ、シヴは結婚式を祝う歌を歌わされる。途中までは二人の結婚を祝う内容の歌だったが、堪え切れなくなったシヴは遂に「私も恋をしたんだ」と歌いだし、花婿を待つプージャーを迎えに行く。プージャーもラージとの結婚には乗り気ではなく、シヴを許さなかったことを後悔していた。ラージはそのとき初めてシヴとプージャーの仲を知り、自分の結婚の代わりにシヴとプージャーを結婚させる。こうしてハッピーエンドとなる。
インド映画にはよくある、「う~ん、本当にこれでいいのか」的な展開と終わり方の映画だった。シヴとプージャーの性格は結婚前と結婚後で全然違うし、離婚した夫婦同士がまた再婚するというプロットも何か説得力に欠けるような気がした。カリシュマー・カプールを映画館のスクリーンで見たのは初めてだったが、時々目が怖い人だなぁと思った。演技力はある人だと思う。アビシェーク・バッチャンの映画も初めて見た。聞いた話では演技も踊りも上手くないとのことだったが、端正な顔立ちだし、演技力も問題はなかったように思われる。しかしダンスシーンがなかったのは、やはり彼のダンス力の無さに配慮してのことなのだろうか?アクシャイ・クマールは後半からの登場となったが、存在感はあった。誰かに似てるなぁと思いつつ映画を観ていたが、多分彼はトム・クルーズに似ていると思われる。
PVRチェーンの映画館はチケットが高いだけあって設備は日本並みである。映像もきれいだし、音もクリアーだし、座席も心地よい。特に音がいいことが原因なのか、PVRで観た映画のヒンディー語は心なしか聴き取りやすく、映画の理解も深くなるような気がする。安いチケットの映画館で見ると陽気な観客たちの反応を楽しめるのだが、映画の理解を深めようと思ったらPVRに行った方がいいのかもしれない。また、女の子たちの情報によると、普通の映画館に一人で行くと痴漢に遭う可能性が非常に高いのだが、PVRなら客層がリッチなだけあって、ほとんど痴漢の被害には遭わないらしい。