NH-8: Road to Nidhivan

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NH-8: Road to Nidhivan
「NH-8: Road to Nidhivan」

 2015年4月17日公開の「NH-8: Road to Nidhivan」は、国道(National Highway/NH)8号を冠したホラー映画だ。国道8号はデリーとムンバイーをつなぐ大動脈である。ちなみに、この映画の直前に「NH10」(2015年)という似た題名の映画があったが、全く無関係である。

 ニディヴァンは、ウッタル・プラデーシュ州マトゥラー県ヴリンダーヴァンに実在する森の名前である。伝説では、ラーダーとクリシュナがラースリーラー(遊戯)を行ったのがこの森だとされている。そればかりではなく、現在でも夜になるとラーダーとクリシュナがニディヴァンに現れ、ラースリーラーを繰り広げるという。何者もラーダーとクリシュナのラースリーラーを見ることは許されず、ニディヴァンは夜になると立入禁止となる。その禁を犯してニディヴァンで一夜を明かした者は、無事ではいられないと信じられている。

 「NH-8: Road to Nidhivan」は、そんな実在するミステリースポットを題材にした映画だ。

 監督はムニンドラ・グプター。キャストは、アウリシカー・デー、ラヴニート、アルジュン・ファウズダール、サティヤカーム・アーナンド、スワルーパー・ゴーシュ、ジャティン・ダースなどである。ほとんど無名の俳優たちばかりだ。

 ムンバイー在住の映像作家のサミール(サティヤカーム・アーナンド)は、映像会社を経営するアーイシャー(スワルーパー・ゴーシュ)から、ニディヴァンのドキュメンタリー映画撮影を依頼され、仲間のラーダー(アウリシカー・デー)、アヌ(ラヴニート)、ラーフル(アルジュン・ファウズダール)と共に引き受ける。四人は自動車に乗り、国道8号を北上する。

 途中、突然自動車が故障したりしてトラブルに巻き込まれながらも四人はマトゥラーに到着し、ニディヴァンについて人々のインタビュー映像を撮影する。仕事が終わったところでサミールは、ニディヴァンで一夜を明かそうと言い出す。その夜、サミール、アヌ、ラーフルは忽然と姿を消す。

 ラーダーは警察署に駆け込み、警部補(ジャティン・ダース)に捜索を依頼する。ところが、奇妙なことにサミール、アヌ、ラーフルが存在した痕跡がなく、彼らが泊まったロッジも廃墟と化していた。

 3ヶ月後。アーイシャーはサミールたちが撮った映像を受け取る。そして、新たな映像作家をオフィスに招き入れ、同じようにニディヴァンのドキュメンタリー映画撮影を依頼する。

 もし幽霊など存在しないという前提に立つと、幽霊が登場するホラー映画は全てフィクション映画の扱いになる。つまり、ホラー映画で語られる出来事は全て嘘である。そんなこともあって、ホラー映画にロジックを求めるのは筋違いに思われるかもしれないが、逆に、嘘を本当らしく提示しなければならないホラー映画にこそ強くロジックが求められる。筋が通っていないホラー映画は、いくら怖くても納得がいかない。「NH-8: Road to Nidhivan」は低予算の未熟なホラー映画であったが、最大の弱点はロジックがないことだった。

 ムンバイー在住の四人の若者が、北インドのオカルトスポットのひとつであるニディヴァンに向かうというのが導入部だ。ホラー映画の王道的な展開のひとつだ。陳腐ではあるが、完成された構成であり、ニディヴァンで何が起こるのかワクワクする。ところが四人はニディヴァンに向かう道中で既に奇妙なトラブルに巻き込まれる。ニディヴァンに辿り着けないのではないかと心配するほどだ。それらの怪奇現象がニディヴァンに向かっていることと何か関係あるのか、よく分からない。最後まで観ても分からない。ここにまずロジックの欠如を感じさせられる。

 また、いつからか彼らを監視する視線が映像に入り始める。あたかも観客が監視者となったかのようだ。不気味さが増すが、この謎の主体が何なのか、これもまた説明されない。もちろん、ニディヴァンとの関係も不明である。

 ニディヴァンを訪れた四人の内、ニディヴァンについてもっとも不安がっていたラーダーだけが生き残る。3ヶ月後のシーンでは、どうもアーイシャーが全ての怪奇現象の黒幕であることが匂わされ、ラーダ-がその片棒を担がされている疑いも出て来る。だが、どうしてそうなったのか、これまた説明不足である。どうもアーイシャーの娘が15年前にニディヴァン近くのロッジで自殺したようなのだが、今回の事件との関連性について詳しく語られることはなく映画は終わってしまう。

 この映画より前には、北インド最恐のオカルトスポットとされるバーンガルを題材にした「Trip to Bhangarh」(2014年)という作品もあった。実在するオカルトスポットを映画化する試みは嫌いではない。だが、それだけでいい映画が撮れることは決してない。才能ある監督、キャスト、そしてクルーが揃わなければ、いいホラー映画すら作ることができない。

 「NH-8: Road to Nidhivan」は、マトゥラー近くにある実在するニディヴァンと、この森にまつわる逸話を題材にしたホラー映画だ。コンセプトは悪くないのだが、観客を納得させるロジックと共に作れておらず、怖くない上に理屈も通っていない失敗作になってしまっている。観てはならない映画である。


NH-8: Road to Nidhivan {HD} | डर की सच्ची कहानी - हिंदी हॉरर मूवी | Bollywood Full Movie