War… Chhod Na Yaar

2.5

 「Go Goa Gone」(2013年/邦題:インド・オブ・ザ・デッド)は「インド初のゾンビコメディー映画」を謳っていたが、2013年10月11日公開の「War… Chhod Na Yaar」は、「インド初の戦争コメディー映画」を自称している。ヒンディー語映画界において戦争映画の系譜はあるが、確かにコメディー仕立ての戦争映画というのは珍しいかもしれない。しかも、インドの戦争映画は愛国主義映画であることがほとんどだが、この「War… Chhod Na Yaar(戦争は止めようぜ)」は、その題名の通り、反戦映画である。

 「War… Chhod Na Yaar」の監督は、「Oye Lucky! Lucky Oye!」(2008年)で助監督を務めたファラーズ・ハイダル。長編映画の監督は初となる。主演はシャルマン・ジョーシー、ソーハー・アリー・カーン、ジャーヴェード・ジャーファリー。他に、サンジャイ・ミシュラー、ダリープ・ターヒル、マノージ・パーワーなどが出演している。ダリープ・ターヒルは、インド、パーキスターン、中国、米国の国防大臣を一人で演じている。

 印パ国境の砂漠地帯では、両軍が向かい合っていた。インド陸軍のラージヴィール・スィン・ラーナー大尉(シャルマン・ジョーシー)とパーキスターン陸軍のクライシー大尉(ジャーヴェード・ジャーファリー)は、夜な夜な国境を挟んでトランプをする仲だった。

 GBCニュースのレポーター、ルト・ダッター(ソーハー・アリー・カーン)は、国防大臣(ダリープ・ターヒル)に呼ばれ、もうすぐ印パ間で戦争が始まると告げられる。そして国境地帯に一緒に行くことになる。ルトは、ラーナー大尉などの取材をする。

 パーキスターンは、中国から核兵器の供給を受け、インドに攻撃を仕掛けようとしていた。しかも、予定よりも早く攻撃が始まった。国境を挟んで両軍の間で銃撃戦が起こる。だが、ルトは無益な戦争を止めさせようと思い立ち、ラーナー大尉とクライシー大尉の協力を得て越境し、パーキスターン側の兵士たちの気持ちを取材する。

 銃撃戦から一夜が明け、ルトは国防大臣の不正や兵士たちの戦争に対する気持ちを放送する。それを観た両国の人々の間に厭戦気分が広まると同時に、印パを争わせようとする中国や米国に対する反感が強まった。こうしてすぐに休戦となり、印パ関係は改善された。

 インドとパーキスターンは過去に3回、公式の戦争をし、非公式の戦争も1回行っているほど犬猿の仲ではあるが、元々同じ国であり、言語も共通しているため、気心の知れた隣国同士でもある。パーキスターン人はインド映画をよく観ているし、インド人はパーキスターンの音楽をよく聴いている。両国ではクリケットが人気で、お互いの国のクリケット選手はもちろんよく知っている。

 そんな両国であるため、国境地帯ではお互いに言葉が通じ、共通の話題で盛り上がることができる。「War… Chhod Na Yaar」はコメディー映画なので、さすがに現実と捉えることはできないが、国境を挟んで両国の兵士たちが会話をするというのは不可能ではない。映画の中では、アンタークシャリーと呼ばれる歌のしりとりまでしていて、微笑ましかった。

 結局、印パ間を争わせて得をするのは、その裏にいる二大国、中国と米国であり、また、軍需産業からおいしい蜜を吸うことのできる印パ両国の政治家であることが指摘されており、両国民は団結してお互いに争うことを止めなければならないというメッセージが発信されていた。

 また、FacebookなどのSNSの力も活用されていた。印パ間で若者同士がFacebookなどでつながっており、お互いの情報を交換し合う。インターネットを通して、生身の人間同士のコミュニケーションが取れる時代となっており、そういう時代には戦争を煽ろうとする政治家の意図は実現しにくくなっていることへの警鐘も鳴らされていた。

 反戦のメッセージや、若者とテクノロジーが戦争を止める原動力となる点などを見ると、2011年のアンナー・ハザーレーによる汚職撲滅運動や2012年の庶民党(AAP)の結党などの社会的な動きと連動する映画とも評価することができる。

 シャルマン・ジョーシー、ソーハー・アリー・カーン、ジャーヴェード・ジャーファリーなど、それぞれ堅実な演技を見せていた。だが、このような低予算映画に出演するところを見ると、あまり作品を選べないほど落ちぶれているのかとも心配してしまう。特にソーハー・アリー・カーンはヒロイン女優として一時期勢いがあったのだが、こんな映画に出ていていいのだろうか。

 「War… Chhod Na Yaar」は、インド初の戦争コメディー映画であり、戦争映画としては珍しい反戦映画である。印パ関係の改善や、インターネットを活用した草の根の交流の促進などが訴えられている。思わず笑ってしまうようなシーンがいくつかあるが、基本的には低予算映画の作りであり、退屈な時間が長い。無理して観る必要はない映画である。


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