
「OCD: Once A Childhood Destroyed」は、2026年7月29日にYouTubeで配信開始された23分ほどの短編映画である。2026年5月12日から23日まで開催されたカンヌ映画祭などで上映されたとのことだが、正確な日付は不明である。実話にもとづくストーリーとされている。
監督はスボジート・マイティー。キャストは、アルサラーン・シェーク、カンチャン・サングローラー、アナンニャー・サンケー、アトゥル・クマール・スィン、アデーィブ・レヘマーン、ローシャン・シャー、カージャル・プジャーリー、ヴェード・マーン・スィン、スィカー・ゴーシュ、ガザーラー・シェークなど。
題名からは、児童虐待などを取り上げた作品なのかと予想する。確かに映画の冒頭では、主人公ハンニー(アルサラーン・シェーク)の幼年期が描かれる。彼の母親は出産時に死に、父親は再婚して、継母から虐待を受けていた。だが、叔父の家族が預かってくれるようになり、彼の人生は好転した。叔父の経営する塾を手伝いながら、彼は結婚もすることができた。一見すると、ハンニーは順調な人生を歩んでいる。
では、「OCD: Once A Childhood Destroyed」の中心的なテーマは何だろうか。叔父の家に移ってから、ハンニーは髪の毛が抜け落ちているのではないかという疑問を抱き始める。実際には抜け毛は正常の範囲内であった。その疑念は成長してもなかなか抜けきらず、妻(アナンニャー・サンケー)からは精神科医に診てもらった方がいいと助言される。思い切って精神科医アンジャリ・ラートール(カンチャン・サングローラー)に相談すると、それは「強迫性障害(OCD)」だと診断される。投薬による治療によりハンニーは快方に向かい、抜け毛の妄想を抱かなくなる。
題名で「OCD」が「Once A Childhood Destroyed」の頭文字だとほのめかされているため、てっきりその話かと思ってしまうのだが、実際には「Obsessive Compulsive Disorder(強迫性障害)」の頭文字であった。その原因として、幼少時に継母から受けた虐待が挙げられてはいたが特定はされておらず、むしろインドの人々に強迫性障害の存在を知らしめるという啓蒙的な目的で作られた映画になっていた。
ハンニーが叔父の家に移ってから彼が結婚し妻から精神科医の受診を勧められるまでには7-8年のギャップがある。時間が飛んでから、なかなかハンニーの頭部が映し出されず、頭髪がどうなったのか気になる時間帯がある。本筋とはあまり関係ない部分ではあるが、「OCD: Once A Childhood Destroyed」で映像的にもっとも工夫されていたシーンだった。ハンニーの頭髪は7-8年が過ぎても無事で、一体彼が抱いていたあの疑念は何だったのかという疑問が視聴者と共有された後、精神科医によって強迫性障害の説明がなされるという流れになっていた。
「OCD: Once A Childhood Destroyed」は、児童虐待などを取り上げた映画かと思いきや、実際には強迫性障害の存在を知らしめるための啓蒙映画であった。短編映画なのでさすがに多くのことを詰め込めていないが、映像的に盛り上げる工夫もあって、目的は達成されている。
