3.0
2016年9月7日からYouTubeで配信開始された「Move On」は、兄妹の会話だけで構成された短編映画である。監督はヴィジャイ・バティヤー。キャストはアンシュマン・バティヤーとカージャル・ラーワト。三人とも無名の人物である。上映時間は5分ほどだ。
兄(アンシュマン・バティヤー)が10年前の思い出話を妹(カージャル・ラーワト)に語り出す。その頃、二人は父親の仕事の関係でウッタル・プラデーシュ州バレーリーにいた。兄が通っていた学校には「ハーティー」というあだ名の大柄なクラスメイトがおり、彼に暴力を振るっていた。兄は今すぐにでも復讐してやりたいと言う。だが、兄がFacebookで調べてみると、「ハーティー」ことジャヤントは彼らがバレーリーから引っ越してから2-3年後に交通事故で死んでいたことが分かった。兄は、そんなことも知らずに彼に復讐したいと考えていた自分を恥ずかしく思う。妹は、子供の頃のことだから気にすることはないと慰める。
兄と妹の間の些細な会話を実録したような映画だ。ほとんど製作費も掛かっていないだろうし、起用されていた俳優もプロではないかもしれない。だが、5分という短い尺の中に、兄と妹の関係性、幼少時に印象に残っていたいじめっ子、そしてFacebookを通して発覚する新たな事実というツイストなど、各種の動きを持たせていて、5分があっという間に感じる。未熟なところを挙げていけばキリがないかもしれないが、5分の映画を撮るとなった場合、こういう映画は上手な部類に入るのではなかろうか。
とはいえ、素人が作った映画という印象を覆すほどではない。何だかんだいって5分のみの映画なので、過度な期待は抱かず、気軽な気持ちで観ればいいのではなかろうか。