2016年9月24日からYouTubeで配信開始された「Laugh」は、1967年と2016年という2つの時間軸において「笑い」を対比した10分ほどの短編映画である。
監督はアクシャイ・チョウベー。キャストはサンジャイ・ミシュラー、シーバー・チャッダー、ヴラジェーシュ・ヒールジー、ブリジェーンドラ・カーラーなどである。監督は無名であるが、俳優たちはヒンディー語映画において脇役として存在感を発揮している演技派たちだ。
まずは1967年のシーンから始まる。舞台となっているのはどこかの農村だ。サンジャイ・ミシュラーはフッカー(水煙草)好きの初老男性だったが、妻のシーバー・チャッダーや医者からは止められていた。それでもサンジャイのフッカー友達であるヴラジェーシュ・ヒールジーやブリジェーンドラ・カーラーがシーバーを言いくるめて、週に2回は吸っていいことになる。三人はフッカーを吸いながら談笑している。サンジャイが話し出したのは、妊娠した16歳の女の子に関するジョークだった。三人は一斉に笑い、周囲にいたシーバーや娘、そして近所の人々もつられて笑い出す。
次にいきなり時間が飛んで2016年のシーンになる。サンジャイ、ヴラジェーシュ、ブリジェーンドラは都会に住むオシャレなおじさんたちで、別々の場所にいるが、スマホとSNSを使って会話をしている。前半と同じ、妊娠した16歳の女の子に関するジョークが英語で送られてくる。それを見て「LoL」とコメントをする。
たったそれだけの短いストーリーだ。昔と今で人と人とのコミュニケーションが劇的に変わったことを示唆しながら、昔の方がよかったというノスタルジーを感じ取ることができる。今は笑いの元になるジョークもスマホの画面に制限され、それを受け取った人しか楽しめない。しかも、「LoL」という無機質なメッセージの形で反応がやり取りされるだけだ。昔は、路上で人々が談笑し、その笑いに周囲の人々も加わることができた。そんな時代はとうの昔に過ぎ去ってしまった。
短い映画ではあったが、サンジャイ・ミシュラーやシーバー・チャッダーといった俳優たちの切れ味鋭い演技を楽しむだけの時間は確保されていた。特に何かが残る映画ではないものの、束の間の娯楽にはなる。